2026年8月19日(水)~28日(金)の平日7日間、「Internship & Creationship Study(以降、ICS)関西」が開催されました。ICS関西とは、関西5大学の1~2年生が参加する合同企業理解イベントです。これは2011年から始まり、15年続いている取り組みです。
2026年度は4企業の協力を得て、各企業が企画したプログラムを参加者全員で一斉に体験。本学D館の会場では、初日の開講式のほか、8/27(木)のプログラムと最終日の修了式を執り行いました。
参加者は本学学生6名を含む、関西外国語大学、京都産業大学、京都女子大学、初参加の大阪電気通信大学から選抜された計5大学総勢29名です。
ICS関西は、企業で働く際の基礎となる心構えを身に付け、複数の業界で生の情報を体得することを目指して実施されています。他大学の学生とともに各企業の用意した講義やグループワークに参加し、企業担当者との交流を通じて、コミュニケーション力を含めた社会力のスキルアップを図ります。
1日目は個人・法人の資産運用を手掛けるいちよし証券株式会社、2日目は機械機器メーカーの日東工器株式会社、3日目はシステム開発やITインフラの構築・運用を手がける旭情報サービス株式会社、4日目は老舗ライフスタイル提案型商社の株式会社ツカモトコーポレーションがプログラムを実施しました。
修了式では、「なじみのないBtoB企業の仕事内容を知ることができた」「調理実習とものづくりには共通する視点があると気付き、視野が広がった」「特定の業界に限らず、どの企業にもアイデアを生み出す場面があることを知った」といった声が上がり、就職活動に対する視野の広がりを実感する感想が多く聞かれました。
また、短期間で他大学の学生と協力して取り組んだグループワークは、大きな刺激になったようです。「一人では思いつかなかったアイデアを、仲間と協力して形にできた」との声もあり、自分の意見を伝えるだけでなく相手の考えをくみ取りながら発展させることで、より良い成果につながることを体感した学生が目立ちました。
企業担当者から受けた言葉の中で印象に残っているフィードバックとしては、「いいものがあっても、それを広げる“人”がいなければ意味がない」「文系・理系の枠を越え、『これだけは負けない』という自分だけの武器を見つけてほしい」といった言葉が特に印象に残った、との振り返りが発表されました。
生活面全般においても、合う・合わないを判断する前にまずは人と積極的に話したくなった、という意識変化を実感する声も聞かれ、企業担当者の仕事への向き合い方を通じて、顧客満足度の追求を目指す仕事に魅力を感じたと語る学生もいました。
修了式の最後には、受け入れ企業代表として、ツカモトコーポレーション代表取締役社長の田中文人氏より修了証とともに激励の言葉が贈られました。
田中氏は「AIが業務の多くを代替する時代が到来しており、直近ではメガバンクの採用人数も大幅に削減される予定です。こうした時代において最も重要なのは『人間力』です。コミュニケーション能力や判断力といった、人間にしかできない能力を磨くことが不可欠だと考えています。具体的にはまず『笑顔であいさつすること』。そこから会話・コミュニケーションが生まれます。意識的・無意識的の両面でこれらの力を身につけることで、2〜3年後の就職活動においては、AIに負けない形で勝負できると思います。引き続き頑張ってください」と締めくくりました。
修了式後はB館2階のHUBCAFEに会場を移して、企業担当者や参加者との懇親会の時間が設けられました。より多くの交流を図れるよう企業担当者が10分ごとに座席を移動する形式で、学生たちは最後まで働くことに対する生の声を聴き、理解を深める時間を楽しみながら刺激を受けていました。
【1日目:いちよし証券】形のない商品を扱う金融業界での信頼構築
8月20日(木)、いちよし証券で実施されたプログラムのテーマは、「資産アドバイザー体験プログラム」です。企業紹介と株式についての基礎知識を学んだ後、4人グループで1案件を担当する形でヒアリング体験を1時間、提案業務体験が1時間半にわたって実施されました。
参加した学生は、資産アドバイザーとしてお客さま役の社員との会話を通じ、株式銘柄を2つ提案。談笑する中から株式の提案に必要な情報を入手することが難しく、商品提案に踏み込むタイミングがつかめなかったそうです。提案する銘柄を決めた後も、比較提案時に必要なメリットや特徴を調べる時間が足りなくなったことを反省点として振り返りました。休憩時間にもコミュニケーションをとって話しやすい雰囲気を作り上げ、2人で1銘柄について調べるなど、時間効率化を図ったといいます。
【2日目:日東工器】BtoB製品企画ミニ学生コンペを実施
8月21日(金)、日東工器で実施されたグループワークのテーマは「企画力を身につける」です。学生たちは既存商品について学んだあと、約2時間という限られた時間の中で、企業の課題解決につながる新製品企画書の作成と質疑応答を含む発表を実施しました。発表後には審査が行われ、順位発表や景品の授与に加えて企業担当者からのフィードバックも受けました。
1位を取ったグループは、エコノミー症候群対策ができる座席を企画。現実的かつ独創的なアイデアを生み出すのは難しかったと振り返ります。発表では製品の使用場面を再演して見せるなど、工夫を凝らしました。また、3位を取ったグループは、医療施設向けに車椅子が変形するベッドを考案。どんなに小さな意見でもアウトプットし合い、形にする達成感を得たと振り返りました。
【3日目:旭情報サービス】自動化に必要なプログラム設計を体験
8月25日(火)、旭情報サービスでは「RPA※ツールを用いてチームで1つのプログラムを作成し、発表する」という課題に取り組みました。RPAツールの特徴や注意点、使用例について学び、ビジュアルプログラミングの手法を使ったRPAツールの入力から動作確認までの基本演習問題を解いた後は、グループ課題としてビジネスシーンを想定したプログラム開発を行いました。
※RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション )…人間がパソコンで行っている定型的な事務作業を、ソフトウェアロボットに代行・自動化させる技術
初心者の多いチームは、ビジネスマナーに関する3択クイズを製作しました。本学情報社会学部の学生が参加したチームは、複雑な条件分岐が必要な「旅行先診断」という難易度の高いテーマに挑戦しました。しかし予想以上に時間がかかったため完成に至らなかったといい、「モノづくりをするときは設計図からつくるとよい」というフィードバックを受けたと振り返りました。
【4日目:ツカモトコーポレーション】“ユニフォーム”を使った課題解決
8月26日(水)、ツカモトコーポレーションでは「企業の課題を“ユニフォーム企画”で解決する営業を体験しよう」というテーマで、複数の切り口からコンセプトを考えるグループワークを行いました。
最大手小売企業グループが抱える課題について「未来」という切り口を担当したグループは、SDGsの観点や役職の変遷に注目してユニフォームを企画。課題解決のためのリサーチから仮説立案、潜在需要をデザインに落とし込むところまで、グループで話し合いました。学生たちは、装いが持つ文化的意味合いや心理的側面だけでなく、消費者側の視点も交えて検討を重ねたといいます。
経済学部2年 石川颯斗さん
企業訪問に向けて、金融・製造・ITなど各業界の特徴や企業の事業内容を事前に調べ、基礎的な社会人マナーやインターンシップで意識すべきポイントについても準備をして参加しました。企画提案では、高校時代にプレゼンテーションやグループワークを多く経験したことが、円滑なコミュニケーションに役立ちました。また、大学1年次の基礎演習で産業の課題を調査し、解決策を考えた経験から、多角的な視点で課題解決に取り組む力を生かすことができました。懇親会では、日東工器の担当者の方の「今したいことを全力でする」というアドバイスを受けて、今の経験が将来につながることもあるという言葉に励まされました。興味のあることは何でもやっておこうと思います。また、旭情報サービスの担当者の方の「焦らなくていい」という言葉で就職活動への焦りや不安が和らぎました。
経営学部2年 五島結愛さん
企業訪問前には、各企業の事業内容や特徴、商品・サービスについて調べ、現場のお話を聞いて「どのような価値を顧客に提供しているのか」がより深く理解できるよう、質問を準備しました。また、「企業の方に必ず質問する」「グループワークで自分の意見を発言する」といった目標を自ら設定して臨みました。企画提案では、大学で学んでいる競争戦略論やマーケティング、企業分析の知識に加え、高校時代の課題研究やプレゼンテーションの経験が役立ちました。特に印象に残ったのは、いちよし証券の社員の方から伺った「まずは自分を知ってもらうことが大切」という言葉です。営業は商品を売る仕事だと思っていましたが、実際には信頼関係を築くことが出発点だと知り、仕事は人と人とのつながりの上に成り立っていることを学びました。
情報社会学部1年 菅沼梨桜さん
有価証券報告書などの公式情報を活用し、企業理念や事業内容、同業他社との違いを調べ、自分なりに整理した上でインターンシップに参加しました。そのおかげで当日は社員の方々の話に集中でき、仕事に対する考え方や価値観を深く知ることができました。また、小学生の引率などボランティア活動で培った対話力や協調性を生かし、グループワークではメンバーの意見を引き出しながら議論を進めることができました。印象に残ったのは、ツカモトコーポレーションの方からいただいた「無駄なことの中に自分らしさ・気づきがある」という言葉です。私はAIの発展によって人間の仕事が減るのではないかという不安を抱えていましたが、この言葉を聞き、遠回りに思える経験の中にこそ人間ならではの強みや価値があることに気付かされました。効率だけを求めるのではなく、自ら考え行動する経験を大切にしたいと思うきっかけとなりました。