2024年6月20日、大和高田市立高田商業高校と大阪経済大学人間科学部による高大連携授業が行われました。このプログラムは高校生に大学での学びを体験してもらうことで、将来の進路をより明確に考える機会にすることを目的としています。人間科学部の髙井逸史教授が同高校を訪問したことがきっかけで企画がはじまり、今回が初めての開催となりました。
この日は高田商業高校の2年生、3年生の生徒20名が来校。少し緊張した面持ちながら元気なあいさつとともにスタートしました。
体験授業に先立ち、人間科学部の3つのコース(臨床心理学コース、スポーツ科学コース、社会ライフデザインコース)のそれぞれの担当教員より、各コースについての概要説明が行われました。
臨床心理学コースでは国家資格に挑戦して心理職に進む道があること、実務経験を積んだ教員が揃っていることなどについて同コースの森岡陽介准教授が紹介。スポーツ科学コースの田島良輝教授からは3つの領域(スポーツコーチング、スポーツ健康、スポーツビジネス)について説明があり、どの分野に興味があるかを考えながら参加するとよい、とアドバイス。大学の授業では調査活動など、実習を重視していることなどの紹介がありました。社会ライフデザインコースの髙井教授からは、2つの領域(社会健康学・社会安全学)の説明と、いずれも座学だけでなく現場で調査を行い、社会課題へのアプローチ法を学べることなどが紹介されました。

次のプログラムでは、いよいよスポーツ科学コースの模擬授業です。同コースの田島教授より、スポーツビジネスを学習する目的と意義について「スポーツの力を活用してまちをより良くしていく勉強」と解説があり、実際にゼミで現在進行中のプログラムを体験することに。テーマは大阪府交野市で行われる「交野マラソン」の集客アップの方法を考えました。
交野マラソンを盛り上げるためには、まず交野マラソンを知ることが必要です。田島教授はイベントのパンフレットやホームページ、交野市が作成したイベント紹介の動画を見せながら考えるべきポイントを提示し、魅力的だと感じたことをメモするよう呼びかけました。イベントの概要を理解できたところで、イベント参加者を対象としたアンケート結果を見ていきます。参加者の属性、参加回数、満足度や参加理由など、データの読み取り方を田島教授が丁寧に解説しました。
この後、各グループでミーティングを実施。高校生は4人1組のグループとなり、各グループに田島ゼミの学生2名が入って進行を手助けします。高校生がアンケート結果のデータをもとに参加者の特徴をワークシートに書き込み、グループ内で共有。大学生は高校生の意見を聞き出しながら、他に気づいたことはあるか、改善ポイントは何か、など声をかけて進行をサポート。各グループで話し合った内容を取りまとめ、最後に一つのグループが結果を発表しました。
田島教授は「こうした活動では正解がなく、違った考えを出し合って最適解を求めていくことが大切」と解説。生徒のみなさんからは「視野を広げて考える大切さを学べた」「マーケティングの奥深さを知れて興味が湧いた」などの声が聞かれました。

昼食時には、臨床心理学コースの岡村香織講師によるランチョンセミナーが開催されました。テーマは「健康と幸福のつながり」と「幸福度を上げるコツ」の2つで、どちらも身近な内容であり、高校生たちは熱心にセミナーを受講しました。
その後、社会ライフデザインコースの実際の授業でも協力いただいているUR新豊里団地を訪問。住民のみなさんに聞き取りを行う社会ライフデザインコースのプログラム「団地住まいの高齢者にインタビュー体験 -アクティブエイジングを目指して-」が行われました。
はじめに、社会ライフデザインコースの髙井教授より大阪市内の団地には一人暮らしの高齢者が多いことが説明され、団地住まいのみなさんに日ごろの生活のこと、健康や趣味などについて聞き取りを行うよう呼びかけがありました。
高校生は4人1組となり、各グループに団地住まいのシニアの方が2名着席。髙井ゼミの学生らも各グループに入って進行をサポートします。
グループ内で簡単な自己紹介をした後、インタビュー開始です。日常の楽しみや運動習慣、困っていることなどについて高校生から住民のみなさんに質問。身を乗り出して話を聞く様子も見られました。

インタビュー後は聞き取った内容を付箋に書き、模造紙に貼り出してグループごとに発表します。「趣味は大切」「三味線が楽しみ」「忘れっぽくて困る」「隣人と話したり行事に参加したりするように心がけている」などの意見に、会場から共感の声や笑い声が上がっていました。高校生たちはシニアの方々と直接触れ合い、地域における人の関わりの大切さを実感していました。
最後に高田商業高校の先生と住民代表の方からの挨拶があり、和気あいあいとした雰囲気の中、プログラムは終了しました。
今回の企画を振り返り、髙井教授は「オープンキャンパスとは違う形で学部の内容を知ってもらう大変いい機会になったと思います。ゼミ体験でも、高校生のみなさんは思っていた以上に積極的に発言していて驚きました」と手ごたえを語りました。参加した高校生からは、各コースの学習内容について「イメージが湧いていなかったけれど、実際にやってみてとても楽しいものだと感じた」「さらに知りたい気持ちになった」といった声も聞かれ、プログラム終了後にも質問に来る積極的な姿も。高校生のみなさんにとっても進路を具体的にイメージできる、またとない機会となりました。
