
経済学部で開講している全学オープン科目である『海外実習(フランス)』では、フランスに渡り、現地の農業セクターの経済実態を実践的に学びます。温暖化、過剰生産、人員不足といった諸問題がある中で、ワイン生産、オリーヴ栽培、チーズ製造等の経営戦略を知ることで、地球規模のグローバルな観点から経済を考えるための知見を培います。
2024年は、南フランスのモンペリエ市で9月13〜9月21日に海外実習を実施しました。この実習は京都大学および摂南大学との合同で行い、本学からは学生10名が参加、経済学部教員、鈴木隆芳が引率しました。
主な実習先は、フランスの最高学府グラン・ゼコルに属する農業系の政府機関アンスティチュ・アグロ・モンペリエです。世界各国からの留学生も多く、講義はすべて英語で行われます。
実習地モンペリエ市のあるエロー県の農業セクターの主要部門は圧倒的にブドウ栽培とワイン造りです。そのため、出発前の事前授業(水曜6限)では、世界ブドウ・ブドウ酒機構(O.I.V.)等の国際機関の資料を参照しつつ、学生自らが主体となってプレゼンを行う等、ブドウ栽培およびワインを取り巻く社会や経済について見聞を深めました。

また、参加大学合同での事前授業も実施され、教員各々の専門に応じた講義が行われました。

さらに出発前週には、本学で毎年開催しているワインセミナー「ワインはなぜわかりにくいのか」で、一般の来場者に向けて、学生らがショート・プレゼンを行い、南フランス・ラングドック地方のワイン産業の課題について発表しました。

実習中は地中海性気候特有のカラっとした天気が続きました。昼の日差しは強いものの、夜はやや肌寒いほど。鈴木教授は「この昼夜の寒暖差こそが良いブドウ、ひいては良いワインを作るのだなあと実感した」と言います。
現地の実習では、教室での講義のほか、農場や製造現場を訪問し、その締めくくりとして、学んだ内容を英語で発表します。
ワイナリーでは、試飲を通して、製法によるワインの風味のちがいについて学びました。
また、原産地呼称付き青かびチーズ、ロックフォール・チーズの製造所ではレクチャーに続き、熟成度合いの異なるロックフォール4種の試食をしました。



政府試験農場では羊の酪農についてレクチャーを受けました。耳についたICタグで集中管理されており、ミルクの出る量によって餌の量が自動で調整されるとのこと。また鈴木教授によると、現地の羊は「め〜」ではなく「ベェ〜〜〜〜」、と低く太い声で鳴くのだそうです。



実習終盤には、名誉なことに、モンペリエ市にあるオクシタニ州庁舎でのレセプションに招かれました。パーティーは盛り上がり、学生らも楽しく交流していたようです。鈴木教授は「スピーチでは、本学のこともさりげなく宣伝してきましたよ(笑)」と教えてくださいました。



実習最終日の英語でのプレゼンは、全員が発表をやり遂げ、さらには質問にも英語で応じることができました。

また、引率した教員にも各々の大学や研究内容について現地の学生や教員に話す機会があり、鈴木教授は自らの研究テーマに加えて、黒正巌先生や本学の歴史のこともお話ししたそうです。

授業や訪問やイベント等が目白押しのスケジュールでしたが、全員が怪我や病気もなく、全プログラムに参加することができました。参加した学生からは「もう少しゆっくり各々の現場を見たい」という声もあったそうで、鈴木教授は「改善点は来年度以降の実習に反映していきたいと思っています」と話します。
海外実習にはフランスの他にも、韓国、タイ、ドイツもあり、いずれもが充実したプログラムを用意しています。これを読んだ在学生のみなさんも海外実習に参加しませんか。