2024年10月3日、経済学部 臼田利之准教授が担当する「地域政策」の授業で、「新大阪駅エリアまちづくりのキャッチフレーズ」を考える取り組みを実施しました。この授業では、地域の課題を自分のこととして考え、課題解決の方向性を提示できることを目標としています。今回の授業は大阪都市計画局の吉﨑博史氏を講師に招き、新大阪駅エリアのまちづくりに関する講義とグループワークを行い、後日、「新大阪駅エリアまちづくりのキャッチフレーズ」に応募するという流れで行われました。

講師の吉﨑氏は、大阪都市計画局で新大阪駅周辺地域のまちづくりに取り組んでいます。新大阪駅エリアでは、官民が連携して、リニア中央新幹線の大阪までの開業等を見据えてまちづくりの検討が進められており、今般、まちづくりを効果的にPRするためのキャッチフレーズを募集(10月15日で募集終了)。今回は、この募集に応募するキャッチフレーズをグループワークで考えます。
講義に先立ち、吉﨑氏が新大阪駅のイメージについて学生に問いかけると、「交通の中継地というイメージ」「新幹線や夜行バスの発着場所」という意見のほか、「ビジネス街で遊ぶところがない」「なにかをする目的で新大阪に行くことはない」「ぱっとしないイメージ」などの回答がありました。
吉﨑氏は「新大阪は駅からまちに出たくなる目的地が少ないのが課題」と話し、このエリアは新幹線、JR在来線、地下鉄の線路によってまちが分断され、歩行者にとって移動しづらくなっていることを解説しました。
将来的にはリニア中央新幹線と北陸新幹線の新駅開業、さらには私鉄の新線開業による関空への利便性向上により、新大阪駅を行き来する人の数は飛躍的に増えることが見込まれます。こうした背景から、周辺の十三駅、淡路駅を含む新大阪駅周辺地域は「広域交通の一大ハブ拠点」「世界につながる関西のゲートウェイ」を目指していること、新大阪駅エリアは、税制や法制などの面でさまざまな支援措置を受けられる「都市再生緊急整備地域」に指定されていることを解説。制度を活用しながら「人が移動しやすくし、エリア全体の価値を高める」「国内外から集まる人の交流を促進し、新しい価値を生み出すまちを目指す」と、まちづくりの方針と将来像を紹介しました。
まちづくりキャッチフレーズは一般投票などを経て正式決定され、新大阪駅エリアのまちづくりをPRするため、さまざまな広報媒体で使われることになります。「20年、30年後の新大阪駅エリアを想像し、まちづくりが動き出すこと、まちが生まれ変わることをキャッチフレーズとして表現してください」と吉﨑氏が呼びかけ、学生たちはグループで話し合いを開始しました。
「新大阪と聞いて思いつくキーワードをなるべくたくさん挙げてみて」「CMなどでよく耳にするキャッチフレーズも参考に、『こんなまちになる!』と情景が思い浮かぶようなものを考えてもらえたら」などのアドバイスを受け、活発に意見を交わしました。
グループワークの後、いくつかのグループがキャッチフレーズ案を発表。「冒険しよう、新大阪」「未来が交錯する新しい大阪へ」「日本の架け橋、新大阪」「未来へつなぐ大阪の玄関口」などの案が発表され、吉﨑氏は「いいですね」「カッコいい!」と講評。「20年、30年後を担う地元のみなさんからのいいキャッチフレーズを期待しています」と積極的な応募を呼びかけ、講義を締めくくりました。
今回の講義を通じて、学生たちの新大阪に対するイメージはどのように変わったのでしょうか。授業の後、「新大阪のイメージが大きく変わった」「素晴らしい価値のある地域へ変貌していくイメージが湧いた。これからの新大阪が楽しみ」「大阪の新しい顔になると思った」など期待する声が多く寄せられ、また、まちづくりについて「エリアごとに特色のあるまちにするという話に感銘を受けた」「20年、30年という長い時間をかけてまちづくりに取り組んでいると初めて知った」「キャッチフレーズ募集はまちづくりを効果的にPRする良い手段だと思った」などの気づきがありました。
授業後にも新たなキャッチフレーズ案が寄せられ、なかには「すでに応募しました」という学生も。授業に参加した学生の案からキャッチフレーズが選ばれるかもしれません。
まちづくりの実務や課題の話を聞き、「まちづくりを担うのは自分たち自身」という臼田准教授の言葉どおり、学生たちの意識に変化をもたらしたようです。新大阪駅エリアの未来を自分たちのこととして考える貴重な機会となりました。