2025.01.14
学部・大学院
臼田利之ゼミ 自治体運営シミュレーションを通じて地方財政を議論

2024年12月12日、経済学部の臼田利之ゼミは、自治体や企業の方を講師として迎え、自治体運営シミュレーションゲーム「SIMULATIONおおさか2025+」を体験しました。

「SIMULATIONおおさか2025+」とは

「SIMULATIONおおさか2025+」は、架空の自治体「おおさか市」の事業予算を話し合いで決めていく「対話型自治体運営シミュレーションゲーム」です。大阪市の職員がコアメンバーとなり、「SIMULATION熊本2030」、「SIMULATIONふくおか2030」をもとに、「SIMULATIONおおさか2025+」が作られました。

2025年の大阪万博後の2030年・2040年に直面する問題に対し、参加者が地方自治体の幹部職員となってロールプレイをします。このシミュレーションゲームでは、自治体財政の重要性や事業の優先順位のつけ方、対話の必要性を学ぶことができ、大学生が体験するのは初めての試みとなります。

(左写真)臼田准教授による地方財政講義の様子、(右写真)山中氏によるゲーム説明の様子
実施内容

天王寺区役所保健福祉課担当係長の山中正則氏よりゲームの進め方についての説明が行われた後、学生は2つのグループに分かれ、おおさか市の幹部職員となり、予算編成と市議会について議論を進めました。

予算編成では、幹部職員役の学生同士が、新規事業の実施や既存事業の廃止を議論しました。新規事業の実施には財源と人員が必要ですが、「この事業は役割を終えたので廃止する。代わりにこの新規事業をやりたい」、「職員募集の活動は必要、この事業はやめられない」など、実際の予算編成さながらの白熱した議論が行われました。

予算編成の議論が終わると、市民への説明責任を果たすために、予算案を市議会で説明します。幹部職員役の学生が、予算案を市議会議員役の学生に説明しました。議員役の学生から「なぜ、これまでやってきた事業を今やめるのか」等の厳しい質問が寄せられ、幹部職員役の学生からは「過去は変えられないが、未来は変えられる」といった熱のこもった答弁もあり、学生・講師一同とも大いに盛り上がりました。

議会での答弁経験がある大阪市港区長の山口照美氏と臼田准教授からは、「こんな拍手をもらえるような答弁をやってみたい」との発言がありました。

(左写真)予算編成時の山口区長と学生の様子、(右写真)市議会時の学生の様子
学びと気づき

「SIMULATIONおおさか2025+」を通じて、学生は地方自治体において、限られた財源と人員の中で何を優先するのか、何をやめるのかを考える必要性を理解しました。さらに、役職になりきりながら熱心に議論を重ねる中で、政策の実行より廃止が難しいことや、自分の意見を相手にわかりやすく伝える難しさなど、多くの気づきと学びを得ました。議論を通じて仲間との絆も深まり、この取り組みが楽しく貴重な経験になったとの声が多く寄せられました。

「SIMULATIONおおさか2025+」の資料
講師の声

山口 照美 氏(大阪市港区長)
公務員志望の学生も多く、事業の幅広さと判断の難しさ、対話の意義に気づいてもらえました。楽しかったです。

山中 正則 氏(天王寺区役所保健福祉課担当係長)
大学生の発想は柔軟で、事業の選択も大人とはかなり違うのが本当に面白かったです。

吉田 武司 氏(株式会社Plan-B代表取締役)
学生のみで実施するのは初めてでしたが、とても楽しそうにプレイされていたのでよかったです。行政の仕事に対する興味・関心が少しでも高まったらうれしく思います。

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