教員免許の取得を目指す学生は4年次に、「教職実践演習」を履修します。この授業は教職課程における学びを振り返り、教員としての資質を高めることを狙いとしています。藤澤宏樹教授(経営学部)が担当する授業では、振り返りの手段として動画制作を取り入れています。制作の過程では、学生がそれぞれの教育実習を振り返って言語化し、履修生同士で経験を共有。教員という仕事への理解を深めます。また、教員免許の取得を目指している後輩学生に向け、リアルな体験と応援メッセージを伝える内容となっています。

今年度(2024年度)は9名の学生が藤澤教授の授業を履修しました。全15回の授業のうち前半は、教職課程でのこれまでの学びを振り返りながらグループディスカッションや発表を重ね、教員という仕事全般についての理解や資質向上を図ります。
授業後半では教育実習をテーマにした動画を、学生が主体となって企画・制作します。完成した作品が本学ホームページ上で公開されることを想定して内容を考えます。
学生たちの話し合いの結果、プレゼン形式とインタビュー形式の2つの企画を合わせた動画を作ることに決めました。プレゼン部分の動画は、教育実習での経験を本人のナレーションで紹介するスタイルで、パワーポイントを使用して作成します。インタビュー部分は、テレビのバラエティ番組を模してテーマごとに学生たちがインタビューに答える形でそれぞれの経験を語ります。
2025年1月22日の授業では、完成した動画を全員で視聴しました。苦労したこと、うれしかったこと、自身の中高生時代とのギャップなど、リアルな教育実習での体験が動画の中で語られます。「準備不足でうまく授業ができなかった」「授業内容に対する指導教員からの指導に心が折れそうになった」「授業以外の仕事も多い」といった厳しい面も経験しつつ、「頑張って準備したら、授業での生徒の反応が良かった」「生徒に頼ってもらえたのがうれしかった」「指導教員に授業内容を評価してもらえた」と、教員という仕事の喜びも実感できた教育実習であったことが伝わってきます。
後輩学生に向けては、「念入りな準備と度胸があれば乗り越えられる」「計画性が身につくなど、自分の成長を実感できる」「やりきったら自信になる」「最後まで頑張ればやってよかったと思える」と、動画を通じて教育実習へのチャレンジを後押しするメッセージが届けられました。
動画は約40分と長尺ながら、2つの形式を採用し、デザイン面にもこだわったり、遊び心を取り入れたりといった工夫をこらすことで、最後まであきずに視聴できる作品に仕上がりました。
ぜひ動画を視聴し、学生たちにたくさんの学びと成長をもたらす教育実習の世界に触れてみてください。
オリジナル動画はこちらからご覧いただけます。
プレゼン方式の動画を作成した学生は、「教育実習でもパワーポイントを使って授業資料を作成しました。色使いや文字の配置など見やすい資料作りのポイントを指導教員から教わり、その学びを活かしました」と話します。「教育実習は大変だと思われがちですが、楽しさややりがいを感じられました。ただ、安易な気持ちではやり遂げられません。後輩たちには、魅力と厳しさの両方を伝えたいと考えました」と、思いを語る学生もいました。後輩学生のことをしっかりと考えて取り組んだ際に、教育実習で生徒に向き合った経験が活かされたことでしょう。
また、動画制作を含め、授業を通じて「教育実習の振り返りの時間を持てたことが良かった」と学生たちは口を揃えます。自身の経験を他者に共有する中で、教育実習での学びを自分の中で整理することができました。また、自分以外の多様な経験を聞くことで、より多くの学びや気づきが得られたといいます。
藤澤教授は、「動画制作に取り組むことで、記憶に残る振り返りができたと思います。動画制作中の学生たちは、自分の経験をしっかりと発表し、人の意見も聞きながら話し合いができていました。完成した動画を見ても、ユーモアを交えるなど見る人のことを意識して制作できていました。こうした姿から、学生たちは教育実習を経て成長できたのではないかと感じました」と話します。「教職にチャレンジしてみたいけれど、不安な気持ちがあって踏み出せない学生もいるでしょう。今回の動画が、そうした学生が一歩踏み出せる助けになることを期待しています」と締めくくりました。
