2025年7月12日(土)、甲南大学にて、大阪経済大学と甲南大学による経済学部合同ゼミを開催しました。大阪経済大学からは萩原誠ゼミ、藤原忠毅ゼミ、水野伸宏ゼミ、二本杉剛ゼミの4ゼミ・9チームが、甲南大学からは5ゼミ・14チームが参加し、それぞれが日頃の研究成果を発表しました。
午前中は4つの会場に分かれて予選ブロックを実施。予選を勝ち抜いた6チームが午後の決勝ブロックに進出し、大学教員による審査のもと、上位3チームが選出されました。
決勝に進んだ各チームの発表は、いずれも社会的意義が高く、独自の着眼点をもった研究テーマが並びました。自ら収集したオリジナルデータをもとに、複数の要因を同時に分析できる「多変量解析」などの手法を用い、丁寧に検証された、説得力のある質の高い研究が目立ちました。

決勝ブロック進出チームの研究テーマ(発表順)
1.大阪経済大学 萩原ゼミ
キャッシュレスじゃだめですか? ~現金とクレジットカードの付き合い方~
2.甲南大学 石田ゼミ
仮想通貨は伝統資産ポートフォリオのリスク・リターンのトレードオフを改善するか?
3.甲南大学 荻巣ゼミ
夜空が映す AI 普及の経済効果
4.大阪経済大学 藤原ゼミ
商店街の活性化 ~千林の魅力を子どもたちへ~
5.甲南大学 鎰谷ゼミ
企業のゾンビ化に影響を与える財務要因の実証分析
6.大阪経済大学 萩原ゼミ
オフピーク定期券に関する行動経済学的分析
発表後の質疑応答では、学生たちから活発な質問が寄せられ、予定時間を超えるほどの熱のこもった議論が展開されました。こうした自由な意見交換こそが、合同ゼミの醍醐味といえます。
閉会式での講評では、審査を務めた教員より「適切な調査手法や分析の実施も重要だが、それと同様に理論的な背景や因果メカニズムの理解も欠かせない」との指摘がありました。閉会後には懇親会も行われ、大学の垣根を越えて教員・学生間、そして学生同士の交流が深まり、大変有意義な一日となりました。
受賞チーム
優勝
甲南大学 鎰谷ゼミ:企業のゾンビ化に影響を与える財務要因の実証分析
準優勝
大阪経済大学 萩原ゼミ:オフピーク定期券に関する行動経済学的分析
第3位
大阪経済大学 萩原ゼミ:キャッシュレスじゃだめですか? ~現金とクレジットカードの付き合い方~

教員の声
萩原誠 准教授(大阪経済大学)
「大阪経済大学と甲南大学による経済学部合同ゼミ」は、毎年7月に開催される学部生による研究発表大会です。審査員は全員大学教員で、学生たちは自身の研究成果をプレゼンテーション形式で発表します。
今年の大会では、例年と比べて以下の3点が特に印象的でした。
1. 審査員だけでなく、学生自身も発表を真剣に聴き、積極的に質問していたこと
2. 他チームの発表や寄せられた質問から学び、自身の研究に取り入れようとする姿勢が見られたこと
3. 「なんとなく結果を出す研究」から、「なぜそうなるのかを仮説に基づいて検証する研究」へと、意識が大きく変化していたこと
現在はZEMI-1グランプリ(ゼミ活動の成果発表の場として実施される大阪経済大学全学部対象のプレゼンテーション大会)など、さらに上位の研究発表会を見据えた段階にあり、どのチームにも粗削りな部分は残っていますが、それもまた成長の証。今後の飛躍が大いに期待される内容でした。
学生の声
萩原ゼミ 吉野光流さん(準優勝チーム)
合同ゼミでは、多様な研究発表を通じて、独自の視点や分析手法を学ぶことができました。また、他大学の学生や教員の方々からいただいたコメントは、自分たちの研究を見直すうえで非常に貴重なものでした。
萩原ゼミ 橋本彩希さん(3位チーム)
私たちでは気づかなかった新たな視点から質問をいただき、研究の改善点が明確になりました。発表後には、普段お話しする機会の少ない他ゼミの先生方とも直接意見交換ができ、有意義な経験となりました。
藤原ゼミ 山下怜大さん
入賞ゼミの発表を見て、研究の完成度に大きな差を感じました。鎰谷ゼミ(甲南大)や萩原ゼミ(大経大)の発表を参考に、秋の「ZEMI-1グランプリ」本番までに研究をさらに深めていきたいと思います。
水野ゼミ 岡田悠希さん
すべてが初めての経験で、テーマ決めから苦戦しましたが、最後までやり遂げることができました。審査員の先生方からいただいた助言を、今後の研究にしっかり活かしていきたいです。
二本杉ゼミ 小原菜月さん
他のゼミによる分析手法や資料作成の工夫など、多くの刺激を受けました。いただいたご意見をもとに、今後さらに研究の質を高めていきたいと感じています。