人間科学部の集中講義 「スポーツ実務実習a(企業PBL型)」では、プロバスケットボールチーム「神戸ストークス」のホームアリー ナであるGLION ARENA KOBEを運営する株式会社One Bright KOBEの協力のもと、学生たちが実社会の課題に挑みました。
同社は、アリーナを拠点に 「スポーツ×地域」をテーマとしたまちづくりやイベント運営を行う企業で、学生たちはその活動を通して、スポーツビジネスが地域に果たす役割を学びました。
本実習は、PBL(Project Based Learning :課題解決型学習)の手法を用い、学生自身が現場調査や情報収集を行い、課題の整理、企画立案、検証・改善提案までを行う実践的なプログラムです。企業との協働を通じて、社会で求められる思考力や発信力を養いました。
3チームが各テーマに沿って調査と提案を重ねました。8月27日にはGLION ARENA KOBEで中間発表を行い、One Bright KOBEの担当者や神戸ストークスの社員から 「経済的な波及効果も意識してほしい」といった実務的な指摘を受けました。 学生たちはその後、提案内容をより現実的かつ魅力的な形へと磨き上げ、10月2日に株式会社One Bright KOBE コミュニティマネージャー ・馬場胡々路氏を迎えて最終発表を実施しました。
第1班:「欲しかった×斬新告知」 一 巨大QRコードでアプリの新たな出会いを演出
TOTTEIアプリの認知度向上とダウンロー ド促進を目的に、「ライブ来場者向けの新規ユーザー獲得企画」を提案。 アリーナ入口に巨大QRコードを設置し、来場者が「思わず読み取りたくなる仕掛け」で自然にアプリヘ誘導するアイデアを考案しました。アプリ内ではライブのセットリストやイベント情報を連携し、‘‘使って楽しい’'体験を演出。アンケート調査(n=139)をもとに20代のライブ参加者をターゲットに設定し、 インパクトと機能的価値を両立させた提案として評価されました。
第2班:「スポーツ×教育」 ー アリ ーナを舞台に地域と未来をつなぐイベント
GLION ARENA KOBEを 「スポーツと教育の懸け橋」として活用する合同進路説明会を企画。アリーナという‘‘体験の場’'を生かし、 中高生・大学生・企業・地域を結ぶキャリアイベントを構想しました。地元出身選手のトークショーや学生団体によるブース出展、 夜には神戸港ウィ ークエンド花火との連携企画も構想するなど、 来場者が一日を通して楽しめる空間づくりを提案。「スポーツ施設X教育イベント」という新しい視点の活用案は、One Bright KOBEが掲げる‘‘地域に開かれたアリーナ'という理念に通じるものでした。
第3班:「ECOBE×BOUREN」 一 学生発SNSで地域と防災・環境をつなぐ
SNSの発信力を活かし、 学生主体でアリーナと地域を盛り上げるインターンシップ型プロジェクトを企画。「ECOBE」では、 アリーナで発生するプラスチックごみをリサイクルしてグッズ化し、 アプリと連携したポイント制度を考案。「BOUREN(防練)」では、 防災体験と遊びを融合したイベントを構想し、子どもたちが‘‘楽しく学べる防災’'をテーマに提案しました。震災30年を迎える神戸という地域性を踏まえ、 社会的意義と現代的アプローチを兼ね備えたアイデアとして評価されました。
馬場氏は、「学生たちが単にアイデアを出すというだけでなく、アリーナという場がどう地域社会に貢献し得るのか、自分たちなりに構造的に考えてくれた。事業を考える上で大事なコンセプトからその後までを意識する機会となったことが大きな成果だったと思う」と語ります。
リーダーの学生は、「思うようにいかない場面も多かったが、 自分の考えを持ちつつ、 メンバーの意見を柔軟に取り入れることの大切さを学んだ」と話しました。
企業と協働しながら課題に向き合うなかで、 学生たちは自ら課題を見つけ、 仲間と考え、 社会に提案する力を養いました。教室の外に広がるリアルな社会との接点が、 一人ひとりの成長を確かに後押ししています。