11月11日(火)、経営学部「租税法」の講義(担当:古賀敬作教授)に東淀川税務署職員の皆様をお迎えし、講演会を開催しました。
国税庁は、毎年11月11日〜17日を「税を考える週間」とし、国民が税についての理解を深められるよう、啓発活動に取り組んでいます。今年は「これからの社会に向かって」をテーマに、日常生活と税の関わりについての理解、そして納税意識の向上を目標としています。
はじめに森田宏明署長から、財政の現状のほか、税務行政の仕組みや運営についての解説がありました。なかなか触れることのない国の財政状況については、家計の支出に例えて説明するなどのユニークな工夫が施され、学生たちもスムーズに理解できている様子でした。
また、“確定申告”や“年末調整”といった身近なトピックについては、スマートフォンを利用した申告方法が紹介され、学生たちは実際にスマートフォンで申告書類の作成に挑戦。実践を通して、改めて学生たちの納税意識も高まりました。
講演の中で森田署長が話題に上げたのは、査察調査についてです。査察調査とは、悪質な脱税者に対する特別な調査のことをいいます。脱税者に税金を納めさせるだけでなく、懲役又は罰金という刑罰を科すために、国税査察官は徹底した証拠収集を行うのです。講演では国税庁のWeb-TAX-TV(インターネット番組:「脱税を見逃さない!~国税査察官の仕事~」)も鑑賞し、“脱税は犯罪である”ということを、学生たちは改めてしっかりと認識したようです。
また中沢隆浩副署長は、BEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトについて言及。企業のグローバル化が進み、電子商取引も急増する昨今、そのビジネスモデルの変化に、国際課税ルールや各国の税制が追いついていないという現状があります。多国籍企業がその現状を利用して租税回避を行なわないよう、国際課税ルール全体を見直そうという世界規模の動きが、BEPSプロジェクトです。
あまり聞きなじみのないプロジェクトですが、自国の問題として考えてしまいがちな税について、グローバルな観点から考える貴重な機会となりました。
そのほか、今年度から大幅に見直しがなされた国税専門官採用試験の概要や、採用後の研修の流れ、各部署における業務内容の紹介など、「税のスペシャリスト」(国税専門官)を志す学生へ向けた具体的なお話もありました。
また国税庁では、ワークライフバランスの充実を目指しており、育児休暇をはじめとした様々な支援体制が整った環境下で、キャリアアップを目指せるとのこと。国税専門官を志す受講生もおり、学生たちのモチベーションアップにも繋がる有益な講演会となりました。
・講演を聞き、税が私たちの生活と直接結びついている事を改めて実感した。日本の財政状況の歳出歳入の円グラフは見たことがあったが、ここまで詳しく見たのは初めてで興味深かった。
・査察調査については聞きなじみのない言葉だったが、動画を鑑賞して、脱税が実刑や罰金にまでつながることを知った。「そんなに重大なことになるんだ」と少し怖さも感じた。
・国税専門官を第一志望として考えているので、どれも興味深い話で参考になった。国税専門官になりたいという目標は、正直まだぼんやりとしている部分もあったが、実際の仕事内容ややりがいを知ることができ、とても有意義な講演だった。
・国際的な取り組みであるBEPSプロジェクトについて学び、世界全体で税の公平を守る努力が行われていることに驚いた。税の問題が世界規模で議論されていることを知り、視野が広がった。
・先日アルバイトの年末調整をし、今はまだ扶養内なので難しくはなかったが、これから経験するであろう確定申告についてしっかりと説明を受けることができたので、今日の講演がきっと今後役に立つと思う。