2025.12.05
学部・大学院
日本臨床スポーツ医学会学術集会で「小学生野球におけるスポーツ障害予防」をテーマに学生がポスター発表

2025年11月2日(日)~3日(月/祝日)に、幕張メッセ 国際会議場にて「第36回 日本臨床スポーツ医学会学術集会」が開催され、人間科学部・江藤幹ゼミの野上裕司さん・政田葉太さん(4年生)が発表者として参加しました。野上さん・政田さんの研究テーマは、「小学生野球におけるスポーツ障害発生状況と医療機関受診の実態」についてです。研究内容を丁寧にポスターにまとめ上げ、学会での発表に挑戦しました。

左:政田葉太さん/右:野上裕司さん
スポーツ障害を研究し、予防を目指す

野上さんと政田さんが注目しているのは、スポーツ障害とその予防について。スポーツ障害とは、スポーツによって関節や骨などに外的な力が継続的に加わることで引き起こされる障害を指します。

今回は、関西の小学生野球チームの選手32名、ならびに日本整形外科学会専門医の協力のもと、研究を進めました。小学生野球におけるスポーツ障害のリスク因子について明らかにすべく、まずは選手たちの関節可動域測定などを実施し、研究に必要なデータを収集しました。そして集めたデータを基に、二次検診の必要性について専門医に診断を依頼。診断結果から、二次検診が必要なグループとそうでないグループに分け、データの分析を重ねました。また、二次検診が必要だと診断された選手には、医師から診療情報提供書を交付し、病院への受診を促しました。

今回の研究では、幸いにも重度のスポーツ障害が発覚することはありませんでしたが、病院受診率の低さが浮き彫りに。未受診者の中に、スポーツ障害発症者やそのリスクを抱えた選手が含まれている可能性を否定できないと結論付けました。

小学生野球チームでの測定の様子
かつてスポーツ障害に苦しんだ自分にできること

研究の背景にあるのは、成長期の野球選手に肘・肩の骨軟骨障害が多発していること。早期対応が必要ですが、現場では指導者らの知識不足や予防策の不徹底といった問題が散見しているのが現状です。
野上さんは小学生から高校生までの12年間、野球に打ち込んできました。その中で、自身もスポーツ障害に悩まされたといいます。「少しでも同じ悩みを抱える子どもたちを減らしたい、笑顔でスポーツに取り組んでほしいという思いで、この研究に取り組みました」と野上さんは語ります。

発表当日は、協力してくれた子どもたちへの感謝の思いを学会発表で体現すべく、落ち着いて堂々と発表することを心がけたといいます。質疑応答の場面で、自身の考察を十分伝えきれなかったことなど反省点もあったようですが、「気持ちで負けないように、自信を持って臨みました。ご協力いただいたチームの皆さんに感謝の気持ちを込めて、スポーツ障害予防のためのストレッチやトレーニングの講習会を実施したい。子どもたちが今後も楽しく野球ができるよう、少しでも力になれれば」と話しました。

学会参加という貴重な経験をし、多くの学びを得て成長できたと話す、野上さんと政田さん。卒業論文発表会に向けて、より充実した内容の論文を完成させたいと、意欲を見せていました。

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