2025.12.23
学部・大学院
スマホを活用して健康寿命を伸ばす―此花区で「スマホサポーター養成講座」開催

人間科学部の髙井逸史ゼミは、高齢者の健康づくりや孤立化予防をテーマにゼミ活動に取り組んでいます。活動は学内に留まることなく、自治体や企業と連携した「高齢者向けスマホ講座」や、警察署と連携した「交通安全エクササイズ講座」を開催し、産官学連携による実践的な地域貢献に力を注いできました。
今回は、リアルワールドゲームス株式会社・大阪市此花区と連携し、「スマホサポーター養成講座」を此花区民一休ホールで計3回開催しました。本記事では、2025年12月10日(水)の講座最終日の様子をお届けします。

本講座のメインの内容は、健康管理アプリ「カロママプラス」と、リアルワールドゲームス株式会社がリリースする位置情報ゲームアプリ「TRAIN&TRAIN(トレイントレイン)」を実際にインストールし、その操作や活用方法について、学生たちのサポートを受けながら習得していくというもの。その2つのアプリを活用し、健康づくりに役立ててもらうのがねらいです。

アプリの詳細はこちら
「カロママプラス」https://calomama.com/
「TRAIN&TRAIN」https://www.traintrain.net/

歩くことが健康への第一歩!―位置情報ゲームを活用した取り組み

「TRAIN&TRAIN」は、実際の公共交通機関が登場する位置情報ゲームアプリです。位置情報ゲームは、自分の今いる場所がアプリ上の地図と連動するため、実際に街を移動しながらプレイする必要があります。そのため、ウォーキングを促すツールとして活用することができるのです。
「TRAIN&TRAIN」を開発したリアルワールドゲームス社は、様々な自治体と連携し、その地域に合ったイベントをアプリ内で開催しています。此花区との連携では、アプリ内でコノハナポイントが貯まるイベントを開催する予定とのこと。集めたポイントは、区内のセブンイレブンで商品と交換することができます。

同社の酒井氏は、「健康寿命の延伸が重要だと考えます。私たちは、寝たきりになってしまった人を救うことはできませんが、そうならないようにサポートすることを目指しています。『TRAIN&TRAIN』を活用して楽しく歩くことで、健康になってもらいたいのです」と話します。
また「大学と連携することで、情報発信力のある若い人たちが健康に関心をもつきっかけにもなると思います。取り組みの中で身につけたヘルスリテラシーを、ぜひ家族や周囲に共有してほしいです」と、学生から社会への積極的な働きかけも期待していました。

区民同士で支え合って健康に過ごすために

担当教員である髙井教授はこの取り組みについて、「スマホ教室の“サポーターを養成するための講座”だということを、学生にも参加者の方にも意識してもらいたい」と話します。単に学生が高齢者にスマホの使い方を教えるというのではなく、学生のサポートを受けた高齢者の方々が、次は教える側(サポーター)として活躍できることを目指しているのです。

1月からは同会場で「スマホ教室」が開催される予定です。「スマホサポーター養成講座」の参加者が、次はサポーターとして、スマホの使用に不安のある高齢者をサポートします。髙井ゼミも継続して参加し、サポーターとしてデビューする区民の皆さんをお手伝いします。
此花区はこうした取り組みを通じ、“区民同士の支え合いの実現”、そして“此花区発の新たな健康促進モデルの確立”を目標として掲げています。

会場は終始、和気あいあいとした雰囲気に包まれ、学生も参加者の方々もリラックスした様子で交流を楽しんでいました。学生たちは取り組みを振り返り、「今どきの言葉をなるべく使わないよう気をつけた」「目を見て話すことを心がけた」と、自分たちなりの工夫を述べていました。
髙井教授は、「デジタル社会が深化する中、高齢者も当たり前にスマホを活用し、意識しなくとも健康に暮らせる社会になれば」と語ります。誰もが健康に生きられる社会の実現を目指し、髙井ゼミは今後も実践的なゼミ活動に取り組んでいきます。