2026.02.02
学部・大学院
6つの学外コンテストで計7件受賞の快挙 — 情報社会学部 中村健二ゼミ

情報社会学部の中村健二ゼミは、「ICT(情報通信技術)のビジネスへの利用」が活動テーマです。ICTを活用した現代社会に求められるビジネスプランを学生たちが考え、形にしていきます。そしてゼミ生全員が、学外でのビジネスプランコンテストに参加。ただプランを考えるだけにとどまらず、実際にコンテストでの提案に挑戦することで、社会に出てからも必要となる実践力を身につけることを目指しています。
今回は、6つのビジネスプランコンテストで、計7つの賞を受賞した3チームを紹介します。

AIでマンガを描いて、日本の伝統工芸産業を救え!

読む・体験する・買える!工芸めぐり「技旅(わざたび)」
メンバー:二俣壮さん(リーダー)・大元葉琉さん・櫻井晴人さん・名本昂生さん・米田涼雅さん

二俣さんのチームは、衰退しつつある日本の伝統工芸産業に着目。現在、200を超える伝統工芸品が登録されているにもかかわらず、従業員数・生産額ともに減少し続けています。そうした現状の解決を目指したサービスが「技旅」です。

“AI×マンガ”がサービスの主軸。AIで伝統工芸品を紹介するマンガを描き、それを多くの人に読んでもらうことで、日本の伝統工芸の認知拡大につなげようと考えました。マンガをツールにすることで、気軽に伝統工芸に触れることができます。AIでマンガを制作する過程についても、自分たちで実証し、簡単に制作できることをアピールしました。また、AIを用いるため多言語でのマンガ制作が可能。海外への積極的な情報発信も実現します。マンガを読んで気になった工芸品を購入することや、そのワークショップに参加できるような仕組みがあるのも「技旅」の魅力です。

参加したコンテスト「関西NBCニュービジネスアワード2025」は、大阪・関西万博が発表会場でした。特別な場所での発表は学生たちにとって貴重な経験となっただけでなく、優秀賞という結果を残すこともできました。二俣さんは、発表用のスライドに英語で字幕を付けるなど、万博の外国人来場者にもわかりやすい工夫を施して発表に臨んだと話していました。
さらに「第3回 西播磨ビジネスプランコンテスト」の学生アイデア部門でも優秀賞に選出され、2つのコンテストで優秀賞獲得という素晴らしい結果となりました。

「関西NBCニュービジネスアワード2025」大阪・関西万博会場での発表の様子
廃棄物からモノを作り、土へ還そう!―廃棄物との新たな向き合い方

廃棄物から生まれる生分解型素材循環サービス「BioCle(バイオクル)」
メンバー:大元葉琉さん(リーダー)・櫻井晴人さん・名本昂生さん・二俣壮さん・米田涼雅さん

大元さんのチーム(「技旅」と同メンバー)は、環境問題に着目したビジネスプランも考案しました。日本では、廃棄物処理のほとんどを、焼却処分に依存しています。この現状を改善すべく、素材循環サービス「BioCle」を考案しました。

まずは、飲食店などで発生する植物性廃棄物(コーヒーかすなど)を用いて、植木鉢やコルクボードなど様々な製品を生産します。廃棄物から堆肥以外のものを作り出せることを証明するため、前例がない中で、何度も実証実験を繰り返したそうです。そして実際に生産した製品の保存性に問題がないことや、廃棄時に土に埋めておくことで生分解される(燃やす必要がない)ことも実験結果を基に示しました。
廃棄物を有効活用するだけでなく、廃棄物から生まれた製品の処分にまで環境に配慮していることが、このサービスの強みです。学生たちは、学校や自治体と連携し、サービスを運用させてみたいと話していました。

コンテストの参加結果は、「岡山ガス オープンイノベーションプロジェクト ビジネスプランコンテスト2025」の学生部門でサイエンスエコロジー賞、「第23回 学生ビジネスプランコンテスト」では優秀賞に輝きました。大元さんは、この経験を卒業論文の執筆に活かし、執筆した内容を学外で発表したいと語っていました。

左から順に、中村教授・米田さん・櫻井さん・大元さん・二俣さん(一名は欠席)
“お隣さんがうるさい!”を、データで解決

騒音検知・通知サービス「しずまるサポート」
メンバー:山本蒼和さん(リーダー)・大久保優帝さん・加藤瑠菜さん・谷口礼史さん・山口智大さん

山本さんのチームが着目したのは、多くの人が経験したことのある近隣住民との騒音トラブル。目に見えない騒音は、個人の主観や感覚に左右されてしまい、平和的な解決が難しい問題です。そのため、客観的なデータ解決モデルが不可欠だと考え、「しずまるサポート」を提案しました。

サービスの概要は、部屋に設置したセンサーで検知した騒音をdB(デシベル)として数値化し、そのデータを基にしたクレーム代行まで一貫して行うというもの。実は、山本さんたちは実際に不動産会社に足を運び、騒音トラブルについてのヒアリングを行っていました。現場の声を聞く中で分かったのは、クレーム対応が管理会社にとって大きな負担になっている現状です。「最後まで騒音問題の解決に併走してくれるサービスなら導入したい」という担当者の声も受け、騒音検知からクレーム対応までのすべてがワンストップで完結するサービスを考案しました。
また、数値化したデータを蓄積することで、従来の不動産の評価指標である「築年数」「立地」などに加え、「静かさ・住みやすさ」という新たな評価指標を設けることもできるようになります。

参加した「第27回 キャンパスベンチャーグランプリ大阪」では見事、近畿経済産業局長賞に輝きました。審査員からは、「火災報知器のように、初めからすべての部屋に設置する必要があるのでは」といった課題点の指摘もありつつ、サービスの独自性や必要性が高く評価され、ぜひ実現してほしいとの声が。
加えて、「第23回 学生ビジネスプランコンテスト」でも努力賞を受賞。学生たちの自信につながる結果となりました。

左から順に、谷口さん・加藤さん・山本さん・大久保さん・山口さん
曖昧な日本語にもう悩まない!―外国人労働者のための画期的な翻訳サービス

日本で働く外国人向け支援サービス「ことぱLink」
メンバー:濱口慎也さん(リーダー)・佐川颯一さん・西澤一翔さん・正垣知秀さん・山田航大さん

濱口さんのチームは、日本で働く外国人に向けたサービスを考案しました。日本の外国人労働者数は年々増加していますが、職場での意思疎通に頭を悩ませている外国人労働者は少なくありません。特に日本は、ハイコンテクスト文化(=言わずとも伝わるとされる、空気を読む文化)が深く根付いています。そのため、日本語は曖昧で遠回しな表現が非常に多く、それを正確に理解するのは、外国の方にとって容易ではありません。

そこで濱口さんたちは、日本で働く外国人を支援するサービス「ことばLink」を考案。“やさしい日本語×AI×短編動画”をサービスの軸におき、従来の翻訳サービスとの差別化を図りました。契約企業から提供を受けた、社員の顔写真や会社独自の規則といった素材とAIを活用して、その企業で働く外国人社員専用のコンテンツを作成、提供します。また、日本語の習熟度に応じたレベル別の翻訳を表示でき、曖昧な日本語表現の解説動画も見られるなど、今までにない機能で外国人労働者をサポートします。

「ことばLink」は、「テクノアイデアコンテスト テクノ愛2025」の書類審査で健闘賞に選出されました。企画内容がしっかり伝わるよう、専門用語を避けるなどの工夫を重ねた企画書が評価され、学生たちの自信につながったようです。
濱口さんは今後の展望として、外国人労働者に限らず、曖昧な表現の理解に困難を抱える発達障がいの方にも使いやすいサービスにするなど、さらに利用者に寄り添ったサービス設計に挑戦し、ITを活用した社会貢献を継続していきたいと語っていました。

左から順に、佐川さん・正垣さん・濱口さん・西澤さん・山田さん