2026.06.29
学部・大学院
近畿税理士会による特別講演「What’税理士?」― 税理士資格取得の現在地

2026年6月9日(火)、経営学部「租税法Ⅰ」の講義(担当:古賀敬作教授)にて、近畿税理士会の方々をお迎えして講演会を実施しました。

前半は「What’s 税理士?」をテーマに、大阪国税局や税理士事務所勤務を経て独立開業された山崎弘喜氏より、税理士になるためのプロセスについて解説が行われました。

後半にはLive!アンケートによる税理士の方々との質疑応答を実施。内容豊富な特別講演の様子をご紹介します。

 近畿税理士会広報部
 部長  田部 純一 氏(近畿税理士会 常務理事)
 副部長 荒尾 正久 氏(下京支部)
 部員  藤野 扶季子 氏(芦屋支部)
     黒川 敦史 氏(東住吉支部)
     龍 奈穂美 氏(北支部)
     山崎 弘喜 氏(奈良支部)

若手が活躍できるのが税理士の魅力

まずは税理士の業務内容や資格試験についての説明が行われました。

税理士は、経営コンサルティングや成年後見支援のような社会貢献業務のほか、税理士法によって定められた「独占業務」を行っています。

<税理士だけが行う3つの独占業務>
1. 税務代理:税務署等への確定申告などを納税者に代わって行う
2. 税務書類作成:確定申告書などの税務書類を専門家として作成
3. 税務相談:税金に関する相談に対しアドバイスを行う

監査を行う公認会計士と異なり、税理士は税金の専門家としてアドバイスを行うことから、税理士の魅力やどのような人が向いているのかなどの解説がなされました。

20代~30代のうちに税理士になるには、4つのルートがあります。5科目すべて合格する人が最も多く(全体の45%)、その次に多いのが司法書士や会計士試験を取得する人(全体の15%)です。大学院に進み論文を執筆することで、科目の免除を受ける方法は、2つのパターンを合わせて全体の10%です。

1)税理士試験を受験して合計5科目合格(官報合格)
2)税理士試験で3科目合格

+大学院で修士論文を執筆して税法2科目免除
3)税理士試験で2科目合格
(簿記論または財務諸表論で1科目+税法科目から1科目)

+大学院×2で修士論文を2度執筆して会計学1科目と税法2科目免除
4)司法試験または公認会計士試験に合格して資格を取得する

※その他、税務署で23年以上の実務経験(もしくは実務経験10~15年+会計2科目受験)を行い資格を取得する方法もある(全体の30%)

画像提供:近畿税理士会

講演では税理士試験科目合格の概要の説明があり、各税法科目の令和7年度合格者率は各受験者数の10%程度という数値が示されました。それを受け、山崎氏は「受験スタートは早いほうが絶対有利」と語ります。

一方で、税理士の年齢構成も示されました。20代は全体の0.5%、30代は全体の6.5%とわずかです(近畿税理士会員 令和8年5月27日現在)。理由は、税理士事務所で働きながら少しずつ合格科目を積み上げていく人が多いためです。

山崎氏は「多様化するビジネスシーンに若手ならではのセンスや知識が求められるものの、若手税理士は少数派。若手であることで差別化され活動の場が広がります」と、若手だからこその税理士の魅力を伝えます。

【動画視聴】若手税理士ってけっこう面白い

近畿税理士会製作の「税理士ってけっこう面白い その魅力 数珠つなぎ」というタイトルの動画も視聴しました。

この動画は、近畿2府4県で働く税理士を数珠つなぎで紹介したものです。

税理士の仕事の重要性、女性税理士の多様な働き方の実践、若い人材の必要性などについて、アニメ調のショートストーリーで紹介しています。

多様化するビジネスシーンに伴い、税理士に求められるニーズも税務という枠を超えて多様化してきていること、税理士は幅広い個性や能力が発揮できる、より面白い仕事になってきていることを伝えています。動画には、元々IT企業や経営コンサルタント会社に勤務していた税理士も登場します。

来春、銀行に就職が内定している学生からは“税理士は金融関係との融資の調整など企業を助けることができるスペシャリスト”だという動画の内容に感銘を受け「今後のキャリア形成の参考になった」との声も聞かれました。

率直な疑問が集まったLive!アンケートの質疑応答

講演の後半には、アプリを使った質疑応答が行われました。
学生からは非常に多くの質問が飛び出し、現役税理士の方々が一つひとつ丁寧に応答していく中で、税理士という職業についてより深く理解をしたようです。

集められた受講生の声をいくつかご紹介します。

◆受講生の声

●税理士の先生方が、自分で1日の働き方を決めながら仕事をしており、一人でコツコツするものでなく顧客とコミュニケーションをとりながら働いている話が印象的でした。

●「税理士は楽しいか?」という質問で印象に残っているのは、税理士は営業みたいに物を売る仕事ではないので、無理に商品を勧める必要はなく、正確さや誠実さが求められる仕事でやりがいがあるとおっしゃった事です。

●AIで「税理士という職が必要でなくなってしまうのではないか?」と私も不安に思いましたが、お客様が自分でチャットGPTにきいていた質問への解答が本当に正しいのか判断するなど、まだまだ人の手が必要と聞いて安心しました。

●公認会計士よりも税理士の方が自分に向いていると気づくことができました。自分の予定に合わせ易いところやいろんな出会いがあると聞いて、いいなと思いました。

●個人で開業する場合、PC1台で自宅開業することができるため、初期費用を抑えながら、自分のペースでできる点が魅力的だと思いました。

参考資料:日本税理士会連合会「動画で観る税理士"What’s税理士"

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