2026.11.04
学部・大学院
AI運用のプロによる特別講演「講義資料を音楽に」― 目的に沿った活用法と伝える力とは何かを考える
講義資料を音楽にする方法について説明するKaleido Future代表・伊藤真里氏

2026年10月27日(火)、経営学部の本間利通教授が担当する「演習Ⅰ」「特別演習」の2限連続ゼミにて、Kaleido Future代表の伊藤真里氏を講師に迎えた特別演習が行われました。本間ゼミでは、集団討論やプレゼンテーションを通じて論理的思考や伝達力を養うとともに、組織運営を多角的かつ実践的に学んでいます。

今回のテーマは「講義資料を、覚えるための曲にする ― 変換できることが、理解している証拠になる」。ゼミに所属する2年生11人は、登録した資料のみを引用して回答する「Gemini Notebook」と音楽生成AIサービス「Suno(スーノ)」を活用し、講義資料から要点を選んで歌詞と曲に仕上げる場合に問題となる課題に挑戦しました。

AIの要点と自分の視点を比較する

演習前半ではまず、講義資料をGemini Notebookに読み込ませ、内容の要点を抽出しました。その際、AIの回答をそのまま受け入れるのではなく、引用元を確認しながら資料に書かれている内容と照らし合わせる手順を学びました。続いて、学生自身が重要だと考えた要点とAIが提示した要点とを比較し、歌詞に盛り込む内容を3つに絞り込みます。

ここでは単に正誤を確認するだけでなく、人間とAIの着眼点の違いに気づき、どの情報を重視するか、その理由まで掘り下げて考えました。学生からは「AIは資料全体の枠組みを捉え、自分はグラフやキーワードなど細部に注目していた」といった声が聞かれました。

スライド資料より抜粋/©Kaleido Future
歌詞を整え、Sunoで曲にする

後半では、選定した要点をもとに歌詞を作成し、Sunoで楽曲を生成しました。伊藤氏は、歌詞の構成をAI任せにせず、要点の並べ方やサビで強調する内容を自ら考えることの重要性を説明。また、歌詞をカタカナ表記にする、助詞の読み方を調整する、各行の長さをそろえるなど、生成AIが歌いやすい形に整える工夫も紹介しました。

曲ができた後も、意図した言葉が正しく歌われているかを耳で確かめ、必要に応じて歌詞や曲調を修正。AIに任せる部分と自ら判断する部分を行き来しながら、学習内容を自分なりの完成形へと再構築していきました。

「分かった」を「説明できる」へ

授業後の無記名アンケート(11件)では、「今日の内容を理解できた」の5段階評価の平均は4.4、「今後の学習に今日のやり方を活用したい」は4.3という結果でした。 一方で、要点を選ぶ難しさに加え、用語同士の関係性やグラフの内容を言葉で説明する難しさを感じたという意見も寄せられました。

今回の演習は、曲を作ること自体を目的とするものではありません。作成した歌詞を用いて講義内容を説明できるかを確認し、自身の理解が曖昧で不十分な箇所に気づくことが狙いです。生成AIを学習に活用する際には、情報の出典を確認しながら要点を選び、「なぜ選ばなかったのか」という理由まで整理することが求められます。その過程を体験することで、学んだ内容を他者に納得感を持って伝えるのに必要な「変換できる力」とは何かを考える機会となりました。

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