2024.01.25
イベント・講演会
廃棄素材を使った商品開発に取り組み、「ハルカス学園祭」に出展
産学連携で開発した商品を「ハルカス学園祭」で展示・販売

11月16日~20日の5日間、あべのハルカス近鉄本店で「ハルカス学園祭」が開催されました。「ハルカス学園祭」は、産学連携によって開発した商品や、授業で制作した作品の販売や展示を行うほか、ゼミや部・サークルでの活動など学生たちの多彩な取り組みを紹介するイベントです。第3回目となる今回は、大阪・京都・和歌山の約30の大学や学生団体が参加。大阪経済大学からは、廃棄竹割り箸を使用した商品を開発するPBLに取り組んだ学生がブースを出展しました。

事業理念を理解したうえで、商品のアイデアを考案

ハルカス学園祭にブースを出展したのは、「捨てられる割り箸を素敵な商品に!」と題した商品開発&販売PBL(課題解決型学習)に取り組んだ学生たちです。自ら参加を希望した11名が9月下旬から取り組みを進めてきました。このプログラムは、本学卒業生の村上勇一氏が代表を務め、廃棄竹割り箸を再利用した家具を企画・製造・販売するTerrUPとのコラボによって実現したもの。TerrUPの協力のもと、学生のアイデアで新たな商品を開発し、完成した商品をハルカス学園祭で展示・販売します。

プログラムでは最初に、廃棄素材の再利用を通じ、環境負荷を軽減する社会づくりに寄与することを目指す、TerrUPの企業理念について学びました。竹割り箸は繊維が残ってしまうので紙の原料として再利用できず、そのまま廃棄されてしまうという現状に村上氏は着目。捨ててしまう物を素材として捉え、その魅力を活かした新しい商品を生み出しています。この企業理念を踏まえたうえで、学生たちは商品のアイデアを考えていきます。メンバーの一人、村田歩樹さん(経営学部2年)は、「TerrUPの村上さんからは、環境のことを考えて事業に取り組む熱意が感じられました。その思いをしっかりと受け止めて商品を企画しようという考えは、メンバー全員が共有できていたと思います」と話します。

企画発案の過程では、今回の企画に協力いただいた中小企業診断士の江畑英樹氏(本学中小企業診断士登録養成課程修了生)の助言が役立ったといいます。「商品にストーリー性を持たせるというアドバイスが印象に残っています。商品を一から企画するのは容易ではありませんでしたが、アドバイスのおかげで、ターゲットを明確に設定し、竹割り箸を新たな商品へと生まれ変わらせるという希少性を打ち出した商品の企画につながりました。また、グループで積極的に意見交換したからこそ、企画内容をより深められたと思います」と、村田さんは振り返ります。

それぞれのメンバーが出したアイデアの中から、全員で話し合った結果、名刺入れ、フォトフレーム、積み木の3点の商品企画を決定。名刺入れを発案した、大森のぞみさん(経済学部1年)は、「ビジネスの場で日常的に使う名刺入れなら、多くの人の目に触れます。使用する時に話題にしやすく、SDGsやTerrUPの活動について広めるきっかけになると思いました」と、商品企画の狙いを説明します。

積極的に意見を出し合い、商品企画、販売戦略を検討

次に、商品ごとにグループに分かれて、3グループで商品化の具体案を検討していきます。「強度を確保しながら持ち運びがしやすいようにできるだけ薄くすることや、開閉の仕方など、商品化するには多くの検討事項がありました。決して妥協したくなかったので、時間はかかりましたが、試行錯誤を重ねて商品を作り上げました」と、名刺入れグループの大森さんは取り組みの様子を話します。
また、同じく名刺入れを担当した細川真希さん(経営学部1年)は、「廃棄される素材を使っているのにも関わらず、高級感のある商品ができたと思います。村上さんからは、竹割り箸は色によって強度が異なることなど、商品化に必要な具体的なアドバイスをいただきました。助言を参考にして商品の色調を変え、良い商品ができあがりました」と、振り返りました。

積み木グループの村田さんは、「価格設定が難しかった」と話します。「最初に考えた価格設定では、利益の確保が困難だと村上さんから指摘を受けました。コストをしっかりと考えるなど、自分たちに足りていなかったビジネスにおいて必要な視点に気付くことができました」

ハルカス学園祭の出展に向け、販売戦略に関しても学生たちで考えました。どうすれば商品の魅力が伝わるかという観点から、全員で意見交換を行います。自分たちが開発した商品だけではなくTerrUPの魅力も伝わるよう、その理念や事業を紹介するポスターも作成。商品ごとのチラシは、使用する写真を厳選し、キャッチコピーを自作しました。

プログラムを通じて得た、学生それぞれの学び

ブースの準備・設営を行い、ハルカス学園祭の当日はメンバーも店頭に立ちます。ブースに立ち止まってくれる来場者には、商品の特長を自分の言葉でアピール。竹割り箸で作られていることを説明すると、驚きの声が返ってきます。「他の素材とは何が違うの?」という来場者からの質問には、「強度があり、竹ならではの手触りの良さが感じられます」と、丁寧に答えていました。「かわいいデザインですね」という褒め言葉に、学生の顔に笑みがこぼれました。

ブースを訪れた来場者は皆、学生たちの活動・商品の紹介に興味深く耳を傾けてくれたといいます。ただ結果的に、3日間の出展で売れた商品は数個にとどまりました。村田さんは、「商品の意義、良さは評価してもらえたものの、価格がネックとなって、なかなか購入には至りませんでした。環境を考えた活動とビジネスを両立させるのは簡単なことではないと実感しました」と話します。

販売実績から見れば満足のいく結果は残せませんでしたが、2カ月近くのプログラムを終え、学生たちはそれぞれに次につながる経験や学びが得られたといいます。「企画・販売に携わったのは初めての経験。実践してみて、授業で学んだマーケティングなどの知識の理解が深まりました。チームで協力して良いものを作り上げていく面白さも知りました」と村田さん。

大森さんは「アイデアを形にする難しさを知りました。以前よりも現実的に考えられるようになったと思います。また、グループでの取り組みでは十分に意思疎通を図ることが大切だと学びました。今後もいろいろなプログラムに挑戦したいと考えているので、この経験を活かしていきたいです」と語りました。

細川さんは、「まず、自分からプログラムに参加しようと行動できたのが私の成長の一歩」と話します。「全員でしっかりと意見を出し合えたのが良かったです。メンバーには先輩もいましたが、後輩だからといって先輩に任せるのではなく、自分の頭で考えて意見が出せるように私自身も頑張れました。そうすることで、より成長できたと思います。将来の目標は商品開発の仕事をすること。目標の実現に向けてもいい経験ができました」

取り組みをサポートしたTerrUPの村上氏は、「授業外の取り組みだったにも関わらず、学生たちがとても前向きに参加してくれ、姿勢がすばらしいと思いました。一人ずつ商品企画のプレゼンを行った際には、学年が上がるごとに論理的であり、納得感のある説明ができていたので、大学での学びの成果がきっちりと出ていると感じられました」との所感を述べられました。

今回のプログラムでは一連の活動を通じ、環境問題という社会課題に対する意識の向上、商品企画や販売のプロセスを学んで実践しての知識とスキルの獲得など、多様な学びを学生にもたらしました。

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