2024.04.12
イベント・講演会
日本酒セミナー「京都の酒を造る──齊藤酒造の取り組み」

2024年3月30日(土)、京都伏見の齊藤酒造代表取締役社長、齊藤洸(ひろし)氏をお招きし、日本酒の酒造りについてお話しをしてもらいました。当日来場した受講者は60名。なお、本セミナーのコーディネーターは本学経済学部教授、鈴木隆芳が務めました。

日本酒を造る仕事

日本酒を造る作業の中で最も大きな部分を占めるのは清掃です、というお話しが印象的でした。醸造のプロセスで意図しない菌が繁殖し、味に悪影響を及ぼさないよう醸造現場では消毒殺菌の徹底が求められるのだそうです。「酒蔵は夏場は暇でしょ(笑)」と言われることもあるそうですが、実際は清掃で忙しくしているようです。

日本酒の競合相手とは

齊藤氏は、日本酒の競合相手はワインや他の酒類よりも、むしろテーマパークや多様化したレジャー全般だと説きます。皆で会して杯を片手に語り合う機会が減った昨今では、モノ商品からコト商品への転化が求められており、飲み比べや酒造見学といったイベントを通して体験できる機会を提供していきたいというお話しでした。

人口動態と日本酒消費

日本酒を最も飲む年齢層は70代だそうです。少子化や生活習慣の変化に伴い酒全般の消費が減る中で、齊藤氏は海外への輸出にも積極的で、シャンパーニュと同様の瓶内二次発酵によるスパークリングワインを自ら発案し商品化するなど、グローバルな観点から今後の市場を捉えているようです。人口動態までも視野に入れた齊藤酒造のマーケティング戦略は種々の卓見に富み、日本酒の分野を超えた示唆があります。

飲み比べて実感

試飲講座では齊藤酒造の5銘柄を試飲しました。米がちがえば味もちがう、造り方がちがっても味がちがう、ということがよくわかります。日本酒の味覚の二大要素キレとコクの由来を実感しました。

受講者の感想

齊藤氏のお話は聴いていて楽しく、時に会場の笑も誘いつつ和やかな雰囲気のセミナーになりました。氏には大学での出張講義の経験もあり、パワーポント資料も丁寧でわかりやすく、多くの受講者が惹き付けられたようです。受講者からも多くの質問がありました。アンケートでも「経営者目線のお話しが聞けてよかった」「さすが大学でのセミナーならでの内容の濃いものでした」といった感想が寄せられました。

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