
2024年9月7日(土)、第7回目を迎えるワイン講演会が開催されました。今年度のテーマは「ワイン神話の解剖学」で、本学経済学部の鈴木隆芳教授が講師を務めました。今回の講演には、対面とオンライン参加を合わせて119名の参加がありました。
講演の第1部では、まずパリ・オリンピックの自転車競技に出場したトマ・ブダ選手や、最近亡くなった俳優アラン・ドロン氏にまつわるワインに関連したエピソードが取り上げられ、ワイン界の最新の動向を交えたこの1年の話題が振り返られました。さらに、昨年末に鈴木教授が日本ブドウ・ワイン学会で発表した内容についても一部ご紹介しました。

次に行われたのは、この講演の1週間後にフランス海外実習に参加予定の学生たちによるショート・プレゼンテーションです。フランス実習の概要、および実習で訪れるラングッドック地方のワインをめぐる経済の現状について報告しました。フランスでの実習内容の紹介とともに、学生たちがワイン経済に興味を深めている様子がうかがえ、参加者に新鮮な視点を提供しました。

講演の中盤では、「ワインを表す言葉のしくみ」について言語学的観点から分析が行われました。ワインの資格試験やコンテストでは、ワインの風味をどのように表現するかが重要ですが、その言葉選びの構造や言語表現について詳しい解説が行われ、参加者からも関心が寄せられました。
メインテーマである「ワイン神話の解剖学」では、高級品としてのワインと日常消費用ワインの価格差が話題となり、ワインが奢侈品(贅沢品)として扱われる背景についても触れました。高級ワインのマーケティングにおいて、いかに価値を高める言説が構築されているのか、天才的な生産者、唯一無二のテロワール(風土)、規制のヴィンテージ(生産年)といった、ワインにおける特別感を演出する要素について、18世紀から今日にいたるまでの実例を交えての考察が紹介されました。
講演会の最後には、会場を移し試飲講座が行われました。今回も好評の「ブラインド・テイスティング」では、ピノ・ノワール品種の4本のワイン(最高価格1万6千円、最低価格700円)を用意し、銘柄を伏せた状態で価格を予想する企画が行われました。どれが高価格のワインかを巡って熱心な議論が交わされ、会場は非常に盛り上がりました。「経済を扱う大学ならではの講座」といった感想もいただき、多くの方々に本学の特色や魅力を感じていただけたようです。

閉会にあたり、本学卒業生や地域で活躍する関係者からも温かいスピーチがありました。さらに黒正洋史総務部長から、本学が今後推進する公開講座や文化関連事業の展望についてのスピーチがあり、講演会は大盛況のうちに幕を閉じました。