2025年6月20日、図書館ラーニング・コモンズにて「第28回ビブリオバトル」を開催。いつもは静かな図書館も、このときばかりは盛り上がります。今回は、5名の学生がバトラー(発表者)としてバトルに出場しました。

ビブリオバトル(※)とは「書評合戦」を意味するイベントです。バトラーがそれぞれ、自分のおすすめの本を持ち寄り、観客の前に立ってその魅力をプレゼンします。持ち時間は1人5分。レジュメやスライドの使用は認められていないため、アドリブでの勝負です。プレゼン後には観客とのディスカッションの時間が設けられ、会場全体が一体となってバトルを盛り上げます。最後に観客とバトラーで投票(バトラーは自分以外のバトラーに投票)を行い「一番読んでみたくなった本」として最も票を集めた本「チャンプ本」を決定します。
(※)ビブリオバトル公式ホームページ https://www.bibliobattle.jp/
バトラーは、持ち時間である5分を厳守しなければなりません。時間が余ったからと早めにプレゼンを切り上げることや、話し足りずに持ち時間を延長することは、ルールとして認められていないのです。そのため、持ち時間が30秒ほど余ってしまったバトラーは、時間を使い切るためにもう少し本の内容を深掘りしようと試みますが、途中で時間切れに。5分という時間の長さと短さを、観客にも感じさせた瞬間でした。
今回のバトル中、緊張のあまり、途中で話す内容を思い出せなくなってしまったバトラーがいました。しかしそれでも、5分間は前に立ち続ける必要があります。そこで咄嗟に、自分の紹介している本を観客に手渡し、会場を驚かせました。観客は突然のことに戸惑いながらも、嬉しそうな笑顔で本に触れ、会場全体が和やかな雰囲気に包まれました。

投票の結果、今回のバトルでチャンプ本に選ばれたのは、尾崎心紀さん(経営学部3年生)が紹介した、ダニエル・キイス著『アルジャーノンに花束を』です。その作品を読んで得られた大きな感動を、堂々と観客の前で語る尾崎さんの姿は圧巻で、観客も聞き入っていました。尾崎さんは「あくまで“読みたいと思わせる”ことが大切なので、ネタバレは避けたかった。興味を持たせつつ、必要以上に内容の説明をしないように気をつけた」と伝える上での工夫を述べました。また、他のバトラーの発表から学びも得たようで「自分とは違う論理的なスタイルのプレゼンを見られたのが良かった。今回はアットホームな雰囲気の中での発表だったが、もっと多くの人の前に立つ際には論理的に話す必要があると思うので、勉強になった」と語りました。
今回、見事チャンプに選ばれた尾崎さんは、秋に開催予定のブロック決戦に出場します。
尾崎さんにとって本を読むことは、“誰かの人生を体験してみること”だといいます。「映画やアニメを見たときに、他人の人生を追体験した感覚になる人は多いと思う。私の場合は、読書もそれと全く同じ。“字がひたすら並んでいる”と身構えて本を読んでしまうと、“難しい”とか“わからない”と感じてしまうかもしれない。でも、読みながら頭の中でイメージを膨らませれば、映画のように誰かの人生を追体験でき、充実した時間になると思う」と読書に対する自身の向き合い方を語りました。

このビブリオバトルの運営は、図書館学生サポーターと呼ばれるボランティアスタッフが担っています。何が起きるかわからない本番中は、やはり不安も感じるそうですが、それ以上に、多くの人と関わりながら企画を進めていくことや、バトラーの頑張りを近くで見られることに、大きなやりがいを感じるといいます。サポーターたちに今後の課題について尋ねると、口を揃えて「観客をもっと増やして盛り上げたい」「本に興味がない人にも見に来てもらいたい」と熱く語っていました。“普段は静かな図書館が盛り上がる瞬間を、たくさんの人に見てもらうには?”という難題に立ち向かうサポーターたちが、バトラーたちの熱い戦いを支えています。
