2026年10月4日(日)、「スマホ写真撮影講座&ペットのための遺言書の書きかた講座」を開催しました。本講座は、人の幸福と動物の福祉が相互に影響し合っているという考え方「One Welfare」に基づき、ペットとの暮らしをより豊かにする写真の撮り方と、将来に備える遺言書の書き方について2部制で学ぶ公開講座です。当日は、経済学部の本村光江教授が司会を務め、講座を進行しました。
第1部では、本学卒業生の吉川慎太郎氏をお迎えし、「スマホ写真撮影講座」を行いました。吉川氏は、保護猫をはじめ、人や風景を題材とした写真作品を制作し、国内外で写真展を開催するなど、写真家として活動しています。
講座では、まずは普段通りに参加者それぞれが私物を撮影。「スマートフォンで撮影をする時、どのように持っていますか? 実際にやってみてください」と会場に呼びかけ、参加者の持ち方をチェックしました。
「カメラのレンズは真ん中に付いていますから、カメラに慣れ親しんでいる世代ほど、スマホの両端を持つ人が多いです。ただ、これだと安定しません。手ブレを防ぐためにも、まずはしっかり持ちましょう」
その後は具体的な撮影の技術をレクチャー。中でも光の重要性を指摘します。
「光の向きで写真の印象は変わります。室内であれば、綺麗に撮影できるのは左右いずれかの斜め方向から光が入っている状態です。フラッシュを焚くと顔は真っ白でのっぺりし、逆に暗いと何も見えません。その中間を意識して光を当てると写真はグッとよくなります。ぜひ光がどこから来ているか、意識して撮ってみてください」
ここで部屋の照明を消し、自然光を意識して最初に撮った私物を再び撮影します。「写真に影が入る場合は撮るものを移動させるか、自分が移動します。それだけでずいぶん綺麗な写真になるはずです」と吉川氏。その上で、「真っ直ぐ水平に撮ることが大事」と続けます。
「つい被写体に意識を持っていかれますが、背景が水平になっているだけで写真は大きく変わります。設定により異なりますが、カメラを真下に向けて真上から撮影する場合、画面中央に2つの十字が表示されます。この2つの十字が重なる位置が、カメラの水平が取れている状態です。こうした補助ツールも活用しましょう」
ペットを撮影する際は、「ぜひペットと同じ目線までカメラを下げて撮影してみて」と吉川氏はアドバイスを送ります。
「スマホのレンズは上部に付いているので、スマホを上下反対にすると簡単に低い位置から撮れます。また、レンズの真上におやつを置くと自然とカメラ目線になりますよ」
講義の後は20分間の撮影タイム。各々が学んだテクニックを活かして自由に撮影を行い、撮った写真はLINEのオープンチャットでシェアし、吉川氏が講評を行いました。
第2部は、弁護士の細川敦史氏による「ペットのための遺言書の書きかた講座」です。細川氏は企業法務などを扱う一方、ペットに関する法務にも携わっています。
日本ペットフード協会の2025年度調査による推計では、犬猫の飼育頭数は1,566万頭。ペットの平均寿命は医療や餌の改善、室内飼育の普及により犬・猫ともに約14歳と延びる一方(アニコム調べ)、飼い主の高齢化や病気、施設入所によって、ペットの世話ができなくなるケースが増加しています。
「日本の法律上、動物は権利の主体にはなれず、ペット名義で預金口座を作ったり不動産を所有させたりすることはできません。ペットのために遺産を残すには遺言や死因贈与、ペット信託などの方法がありますが、いずれにしても『信頼できる第三者に、お世話とセットで財産を託す』必要があります」
自分が亡き後までペットを守る上で最も重要かつ難しいのは、「ペットを引き取って最後までお世話をしてくれる、信頼できる人を探すこと」だと続けます。
「特に、配偶者や子どもがおらず、相続人が疎遠な兄弟姉妹に限定されるようなケースでは、お金だけを取られてペットが放置される可能性があります。そのリスクを防ぐためにも、遺言書の作成を推奨します」
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言の大きく2種類があり、「公正証書遺言は公証役場の公証人が作成するため、不備による無効のおそれがなく最も確実」と細川氏。
「遺言書を作成する際は、ペットのお世話をしてもらう条件で財産を譲る負担付遺贈というかたちをとります。飼育費として渡す金額の設定や、遺言通りにお世話がなされているか確認する遺言執行者の指定も検討しましょう」
また、法的効力はありませんが、手軽に作成できるエンディングノートの活用も有効だといいます。ペットの名前、性別、マイクロチップ番号、病歴、かかりつけ医、フードの好み、性格、供養の希望など、細かく書き残しておくことで、ペットを引き取る人への引き継ぎがスムーズになります。
「ペットのお世話を託せる人が見つからない場合は、事前に専門家や信託団体などへ相談し、準備をしておく。そうすることで、万が一の場合にも愛するペットの未来を守ることができます」
講義後は配布された用紙を使ってペットのためのエンディングノートを作成するワークショップを実施。質疑応答では具体的な質問が多く寄せられ、参加者の関心の高さが伺えました。
スマホ撮影のコツでペットとの毎日をより素敵に残し、遺言書やエンディングノートで将来への備えを整える。「One Welfare」の考えのもと、日々の思い出を写真に残す方法と、万が一に備えてペットの未来を守る方法を学んだ本講座は、今と未来の両面からペットとの暮らしを考える貴重な機会となりました。