2025.09.17
研究・産官学連携
呼気ガス分析で見えた課題と可能性 ― 科学的データを陸上競技力向上へ

2025年9月9日(火)、大阪経済大学と摂南大学の「施設・設備の共同利用に係る連携協力」に基づき、人間科学部・江藤幹准教授の指導の下、摂南大学学生部・スポーツ振興センターの竹澤健介講師(摂南大学陸上競技部ヘッドコーチ)と陸上競技部長距離パートの学生2名が、呼気ガス分析器エアロモニター(肺運動負荷モニタリングシステム)とエルゴメーター(固定式自転車)を用いて、最大酸素摂取量の測定を行いました。

データと感覚を組み合わせた測定

呼気ガス分析器は、運動中の酸素摂取量を測定することで、スタミナの指標となる「最大酸素摂取量」を評価できます。測定にはエルゴメーター(固定式自転車)を使用。エルゴメーターは運動負荷を段階的に設定できる装置であり、一定のリズムで徐々に負荷を強めていくことで、選手の持久力や疲労の蓄積過程を正確に捉えることが可能です。

エルゴメーターを漕ぐ選手に対して、江藤准教授が1分ごとに「全身」「呼吸」「足」の負荷具合を聞き取り、主観的な感覚と分析データを照らし合わせながら進めました。その後、測定データと回帰解析報告書を全員で確認し、精緻な分析に基づいた選手ごとの特性を明らかにしました。

測定結果が示した強化ポイント

竹澤講師は「本学にはない設備を使用させていただけることは大変ありがたく、選手の現状把握に役立っている」と語りました。さらに今回の測定について、「2名の選手とも呼吸よりも筋肉(足)に大きな負担がかかっており、加えて追い込みの局面で持ちこたえる力に改善の余地があることが分かった。貴重なサンプルデータが得られたので、今後の練習メニューや指導に活かしていきたい」と振り返りました。江藤准教授は「フィールドでの経験だけでは得られないデータを競技生活に役立ててほしい」と強調しました。

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