2025.10.31
研究・産官学連携
若吉浩二教授が日本水泳水中運動学会にて「最優秀論文発表賞」を受賞

人間科学部の若吉浩二教授が、日本水泳水中運動学会2025年次大会(10月24日~26日 於:中京大学)において「最優秀論文発表賞」を受賞しました。論文タイトルは「ペットボトル・フラットヘルパー活用による小学校水泳授業での実践的取組~泳力の二極化問題解消に向けて~」です。

本研究の目的は、小学生を対象に若吉教授が自ら開発した水泳補助具「フラットヘルパー(※)」を活用し、「安全水泳」と「泳法習得」という二つの要素を取り入れた水泳授業(出前授業)を実施し、その学習内容と指導方法が“泳力の二極化問題”の解消につながるかを検証することにあります。泳げる子どもと泳げない子どもが同じ授業に参加する学校水泳は、教員にとって非常に難しい課題であり、本研究はその解決に取り組んだものです。

(※)「フラットヘルパー」とは、ネット素材のパンツの両側に浮力体を装着して使用する水泳補助具で、ペットボトルやビート板素材の浮力体いずれも利用可能です。これらの浮力体が下半身を支えることで体を水平に保ちやすくし、“浮く感覚”を自然に身につけることを助けます。泳ぎの苦手な児童でも安心して水に親しむことができ、教員が安全に指導を進めやすくなる点が特徴です。

授業では、水難事故から身を守るための基本姿勢「大の字浮き」をはじめ、「安全水泳」と「泳法習得」を両立させた学習内容を展開しました。授業後のアンケートでは、「楽しかったですか」「分かりやすかったですか」「うまく浮くことができましたか」「今後の水泳学習に生かせますか」「考えながら活動できましたか」といった質問に対し、95%以上の児童が肯定的に回答しました。特に、水泳を習った経験のない児童や泳げない児童においても、本授業を肯定的に受け止めていることが明らかになりました。これらの結果から、「フラットヘルパー」を活用した本授業は、“学校水泳の二極化問題”の解消につながる学習内容および指導方法として有効であると位置づけられました。

若吉教授は「本研究は、科学研究費および本学の教育改革支援研究費より助成を受けております。改めて、ここに感謝の意を表します」と話しました。
教育現場での安全水泳指導は全国的にも重要課題とされています。今回の受賞は、限られた授業時間の中で、すべての子どもが安全で主体的に学べる水泳教育の在り方を探求した実践的研究が高く評価されたものです。

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