2024.03.29
学生生活
「DAIKEI創発プロジェクト」から生まれた、防災情報を発信する「DAIKEI防災ネット」
教育・学習支援センター(SCTL)が学生グループの活動を支援

本学では、学生たちの可能性を広げるべく、「創発」が生まれる場になるというミッションを掲げています。このミッションを体現する取り組みとして、2022年度より、教育・学習支援センター(SCTL)主管の「DAIKEI創発プロジェクト」がスタートしました。所属学部やゼミの壁を越えて学生たちが協働し、自分たちの掲げた目標に果敢に挑戦することで、未知なる「創発」を本学キャンパスから生み出すのがプロジェクトの狙いです。

本プロジェクトでは、学内外の諸問題を解決するための「チャレンジ部門」、学内外の人や団体と連携しながらSDGs実現に向けて取り組む「SDGs部門」、学内外のイベント・コンテストで優秀な成績を収めるために活動する「イベント・コンテスト部門」の3部門を設定。いずれかの部門にエントリーし採択された団体は、活動場所や備品の優先利用、消耗品類の提供、SCTLスタッフによるサポートなどの後方支援を受けながら学生主体で活動を進めていきます。初回となる2022年度は2団体が採択され、プレゼンテーションイベントの開催、不登校支援フリースクールの立ち上げを実現しました。

防災情報を発信する「DAIKEI防災ネット」

2023年度は、起業を視野に入れてプロダクトの開発に挑む「Oprol」、不登校の子どもたちの居場所づくりに取り組む「Class C」、ポスターセッションの実施や防災訓練参加などの活動を行い、防災情報を発信する「DAIKEI防災ネット」の3団体が採択されました。このうち、「DAIKEI防災ネット」の取り組みを紹介します。

「DAIKEI防災ネット」は、椹木涼さん(人間科学部3年)の呼びかけで集まった、学部・学年の異なる4名で活動しています。椹木さんが防災に関心を持ったのは本学での授業がきっかけだったと言います。「授業で学んだのは、災害に備え、一人一人が防災の知識を持っておく大切さです。災害が少ない大阪で、特に阪神淡路大震災を経験していない若い世代の防災意識が低いことが課題だと感じました。そこで、知識を広めるために自分にも何かできないかと考えていたところ、『DAIKEI創発プロジェクト』を知って応募し、活動を始めることができました」

2023年7月から活動をスタートした「DAIKEI防災ネット」のメンバーは、兵庫県の「人と防災未来センター」を訪れて地震や防災・減災に関する知識を学び、本学の災害対策について調査。まずメンバー自身が知識を深めた上で、2024年1月15日から2月9日までの期間、本学の図書館ラーニング・コモンズでポスターセッションを実施し、学生や教職員に防災情報を発信しました。阪神淡路大震災から始まった災害関連の取り組み、災害に備えて準備しておきたいこと、防災グッズなどの知識を伝えるポスターを作成してプレゼンテーションを行ったほか、能登半島地震で被災した卒業生の体験談を聞く機会も設けました。

メンバーの一人である山下雄雅さん(人間科学部1年)は、ポスターセッションを振り返り、「防災グッズの説明をした際、『知らなかった。家族にも伝えたい』といった反応が返ってきて、調べた知識を広められたことをうれしく思いました。また、教職員や卒業生の方とも対話をする中で、過去の災害の話を聞くなど、自分自身も新たな知識を得られて有意義な時間でした」と話します。

2月14日、本学で実施された消防訓練・防災訓練にもメンバーが参加しました。火災を想定しての避難誘導、怪我人の応急救護、初期消火訓練、AED操作の講習を体験。椹木さんは、実際にやってみることで事前に知識を得ておく重要性を改めて実感したと言います。「初めての経験だったので、怪我の応急措置に時間がかかったり、スムーズにできないことが多かったです。事前に経験しておかないと、災害の時に行動できないだろうと思いました」

「DAIKEI防災ネット」では、これらの活動から得た情報をInstagramで発信し、防災意識向上の一助となることを目指しています。今期の活動は3月で終了しますが、山下さんは、「情報発信することの大切さが分かったので、新たな仲間を募って活動を継続したい」と今後の活動にも意欲を示しました。

学生たちの成長を促す、学生主体の取り組み

「DAIKEI創発プロジェクト」での活動は、教職員の指導や指示を受けずに学生の自主性に任せられています。自分たちで考えて行動するからこそ、得られる学びや気付きがあると言います。山下さんは、「どうすれば相手にうまく伝えられるか、自分で考える力が付きました。若い世代に伝えるなら気軽に読んでもらえる工夫をするなど、相手に応じたコミュニケーションを意識できるようになりました。自分たちの活動によって、周囲の人の意識を少しでも変えることができると実感できたのも、良い経験になったと思います」と語ります。

椹木さんは、自身に不足しているところに気付いたと話します。「事前準備をしっかり行っておけば、もっと段取りよく進行できただろうと思う場面がありました。社会人になってからもプロジェクトをうまく進行する力が求められると思うので、今回の反省点を踏まえて自分の力を伸ばしていきたいと考えています」

また、学生の主体的な活動が基本となっているものの、SCTLの「DAIKEI創発プロジェクト」担当者のサポートに助けられたことも多くあったと、椹木さんは活動を振り返ります。「SCTLの職員の方はイベント主催の経験が豊富なので、頼りになる存在でした。相談すると、どのような準備が必要なのか、多くの人に活動を知ってもらうための方法など、的確なアドバイスをくださいました。教職員や卒業生の方との橋渡しもしてもらえたおかげで、より充実した活動ができたと思っています」

SCTLの担当者は、「活動中、学生たちの思い通りにいかないことも多くあります。そんな時、活動を継続して目標を達成できるように、寄り添ってサポートするのが私たちの役目。最後までやり遂げることで、主体的に活動することの難しさや達成感を実感できるでしょう。その経験が学生たちを成長させてくれると考えています」と話します。

そして、「大学のリソースをうまく活用すれば、活動の幅が広がるはず」と、より多くの学生が「DAIKEI創発プロジェクト」に参加し、さまざまな目標にチャレンジしていくことに期待を寄せます。「7000人を超える本学学生の中には、多様な目標を持ち、活動をしている学生が存在するでしょう。そうした学生たちを今後も応援していきたい」と語りました。

学生たちの自由なアイデアと協働によって、何が生み出されるのか。「DAIKEI創発プロジェクト」の活動に今後もご注目ください。

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