本学と関西外国語大学(以下、関西外大)の学生が協同し、約半年間かけて課題解決型のコンテストに取り組む「ミラエガプロジェクト」。今回で3回目となる本プロジェクトは、“自分の思い描く未来へ”をテーマに掲げた1年、2年を対象としたキャリア教育プログラムです。在籍する大学が異なる学生同士が1つのプロジェクトを通じて互いの考えを出し合いながら視野を広げ、学生生活やキャリア形成につながる学びを得ることを目的としています。参加した学生たちはチームを組んで、ビジネスアイデアコンテストにチャレンジしました。
※昨年度のミラエガプロジェクトはこちらからご覧いただけます

ミラエガプロジェクトは、2024年9月にキックオフ。本プロジェクトでは、大学や学部、学年が異なる学生を組み合わせた5チームをつくり、株式会社マイナビ主催の「課題解決プロジェクト」にエントリーします。課題解決プロジェクトは、企業から出題されたテーマに沿って課題解決のアイデアを考え企画書を提出するという取り組みです。審査後には、結果のスコアとフィードバックコメントが応募者に伝えられます。今回は、日清製粉グループ、株式会社TBSホールディングスから与えられた課題を解決する企画書作成に取り組みました。
[出題テーマ]
日清製粉グループ:
世の中に「健康で豊かな生活を届ける」ために、日清製粉グループが持つリソースを活かした新しいソリューション・商品やサービスを提案してください。
株式会社TBSホールディングス:
東京・赤坂を世界の人が集う「エンタメの発信拠点AKASAKA」にするために、サステナビリティ・SDGsの視点をどのように盛り込んでいけばいいか、自由な発想で提案してください。
低学年のうちに未来に向けて一歩踏み出せるような経験をしてほしいとの考えから、ミラエガプロジェクトは1、2年生を参加対象としています。低学年が対象であるため、ビジネスアイデアの創出や企画書作成に初めて取り組むという学生も少なくありません。そんな学生たちに取り組みへのヒントを与えるべく、企画書作成セミナーやイノベーションの場を体感するツアーを実施。今回からの新たな取り組みとして、ゼミ対抗でプレゼンテーションの力を競い合う、本学の「ZEMI-1グランプリ」の決勝を見学する機会も設けました。また、前回のミラエガプロジェクト参加学生数名が身近な相談者としてフォローできる体制も整えました。
プロジェクト活動の主体は学生たちです。両大学の事務局の教職員が大まかな道筋を示し、相談があればサポートするものの、できる限り学生の自主性に任せられています。各チームはオンラインで打ち合わせを重ねるなど工夫をこらしながら徐々にメンバー同士の交流を深め、企画内容を検討して企画書を作成しました。参加学生らは「メンバーそれぞれの強みを活かし、試行錯誤しながら企画内容を深めていくことができた」と話します。

11月末には中間発表を行い、東海澱粉株式会社様、株式会社大伸社ディライト様にご協力いただきフィードバックをいただきました。企業視点からのアドバイスは学生にとって参考になることばかりで、新たな課題や改善点を見出して企画内容を大幅に見直したチームもあったといいます。中間発表を経てブラッシュアップし、12月中旬に企画書を提出。今年1月に審査結果が発表されました。結果的に上位入賞したチームはなかったものの、やり遂げた学生たちに大きな達成感をもたらしました。
プロジェクトの締めくくりとして、2月10日にはゲスト審査員を招いて、本学キャンパスで振り返りセミナーを実施。都合により参加できなかった1チームを除いた4チームがプレゼンテーションを行い、企画内容を他チームと共有しました。10分間のプレゼンテーションで、チームの力で作り上げた企画内容を発表しました。
ゲスト審査員として中間発表でもご協力いただいた東海澱粉株式会社様、株式会社大伸社ディライト様、課題解決プロジェクトを主催する株式会社マイナビ様、関西外国語大学のキャリア教員をお招きし、各チームの発表に対して講評の言葉をいただきます。「現状分析がしっかりできていた」「自分たちで調査・行動したことが伝わってきた」「聞き手を引き込む発表だった」「着眼点が良い」といったプラスの評価が述べられた一方、「ターゲットを絞ればより具体性が深まった」「その企業にしかできないオリジナリティの打ち出しが必要」「テーマに対する理解をもっと深く図ることが大切」「学生ならではの身近な意見があればより納得感が増す」など、改善点も示されました。
発表終了後に審査を行い、優れたプレゼンテーションを行ったチームとして、1位に「MAK」チーム、2位に「フロムガイケイ」が選ばれ、表彰されました。
振り返りセミナーの最後に参加学生たちが、すべての取り組みを終えた今の気持ちを表明しました。取り組みを通じて感じたことや学んだこと、その経験を今後どのように活かしていきたいか、言語化してプロジェクト参加者の前で表明することで、未来へと一歩進んでいく意識を高めます。
「複数の異なる意見をまとめる難しさを知りました。次はリーダーの役割を担えるようになりたい」「リーダーシップが自分には足りないと認識し、自信を持って発言・行動することが大事だと思いました」「社会人の方々の意見から気づきが得られました。指摘された点も多く、この学びを今後に活かしていきたいです」「悔しいの一言。この気持ちを忘れず、次は上位入賞を目指して再チャレンジしたい」といった今後の目標を学生たちは述べました。どの学生も、次のチャレンジを見据えて決意表明をしていたのが印象的でした。
学生たちの言葉を受け、事務局の教職員、ゲスト審査員からは、「最後までやり遂げ、まず一歩を踏み出せたことだけでも素晴らしいこと」「取り組みを通じて見つけた課題を意識しながら、さまざまなことに挑戦してほしい」「いろいろな経験を積み重ねてステップアップしていくと、納得のいく進路選択やキャリア形成が実現するでしょう」といったエールの言葉がおくられました。
事務局の一員として取り組みを見守ってきた本学教職員は、「約6カ月の長期間にわたり、他大学の学生との協同は負荷のかかる取り組みではありますが、その分、最後までやり遂げた時の成長は大きいと感じています」と話します。また、これまでの参加者の中には、プロジェクト終了後に他の外部コンテストに応募する学生がいたり、チームのメンバーとの交流が続いている例も多いといいます。「プロジェクトが学生の可能性を広げるきっかけとなっていることをうれしく思っています。今後も取り組みを継続し、より多くの学生たちに参加してほしいと期待しています」と語りました。
1位チームの発表内容と学生の声
「MAK」チーム
課題解決企業:TBSホールディングス
赤坂というエリア自体の知名度をアップさせるため、幅広い世代や国内外の人々を対象に、SDGsの視点を取り入れた体験イベントを実施する企画を提案。月ごとにテーマを変え、多様な課題に触れ、飽きさせない工夫をする。同時に、より多くの人にSDGsの情報を広めるべく、SNS発信体験イベントも行う。TBSのエンターテイメント分野における強みを活かし、動画やドラマ撮影を体験できるコンテンツを用意。
中尾和貴さん(大阪経済大学2年)
企業の方からフィードバックを受け、単に思いつきのアイデアではなく、もっと考えを深めていく必要があると気づきました。チームの中で自分にできることを考え、これまでよりも積極的に関わろうと意識して実行できたところに自身の成長を感じました。簡単ではなかったけれど、楽しさも感じられたプロジェクトでした。
中村歩未さん(関西外国語大学2年)
チームのリーダー役を担った私は、活発な話し合いのために、まずメンバーがお互いを知ることから始め、発言しやすい環境づくりに努めました。現状分析をしっかり行った上で企画を考えられたのが私たちのチームの良かったところ。一方、斬新さに欠けるなどアイデアの創出に関しては反省点もあり、もっと創造力を身につけていきたいです。
伊藤未羽さん(関西外国語大学1年)
チーム3人でたくさん意見を出し合い、その積み重ねで企画書を作り上げることができました。一人ではやり遂げられなかったと思います。感性を重視しがちな私にとって、論理的な思考ができる他のメンバーと一緒に活動できたのは良い学びになりました。自分の得意分野は残しつつ、今後の課題だと感じた部分は克服していきたいと思います。
