経済学部・藤原忠毅ゼミの3年生はグループに分かれて研究に取り組んでいます。 山下怜大さん・寺田結愛さん・石原葉奈さん・安達楓香さん・杉浦舞以斗さんのグループは「地域活性化」をテーマに研究を進めています。その取り組みの一環として、2025年8月4・14・15・18・20日の5日間、千林商店街(大阪市旭区)の千林ふれあい館にて「あそびば☆」を開催しました。学生たちは、地域の子どもたちが楽しく過ごせるよう、夏休みの宿題サポート・ビンゴ大会などのレクリエーション・千林商店街グルメを楽しむランチタイムなど、盛りだくさんな内容でイベントを企画しました。
藤原ゼミは昨年から継続して、千林商店街での地域活性化に取り組んでいます。昨年は、グルメとスタンプラリーを掛け合わせた「千林推しメシ祭り」を開催し、新規顧客獲得にも貢献しました。今回の「あそびば☆」では1日約10人の小学生が参加し、中にはリピート参加者も。大好評の中、幕を閉じた「あそびば☆」最終日の様子、そして舞台裏をお届けします。

この企画の発案者である安達さんは、学童でのボランティア活動から着想を得て「あそびば☆」を提案したといいます。子どもが好きなことや、何か新しいことに挑戦したいという思いから、学童で子どもたちに宿題を教えるボランティアを始め、今も続けているそうです。
他にも様々な企画案がありましたが、安達さんのボランティア活動に関心を寄せていた藤原准教授からの推薦もあり、「あそびば☆」開催に向けての活動が本格的にスタートしました。
しかし、実際に自分たちで企画を形にしていく苦労は想像以上だったようで、「子どもたちを受け入れる環境を自分たちで一から作り上げることは、簡単なことではありませんでした。費用のことや地域の方への協力要請など、考えるべきこと、やるべきことの多さに頭を悩ませました。もうすでに子どもたちを受け入れる環境が整っていて、そこに自分が足を運ぶだけの学童ボランティアとは、全く違いました」と安達さんは話します。ゼミの授業時間以外にもメンバーで分担して準備を進め、学生たちは一つひとつ課題を乗り越えてきました。
企画を形にするまでの苦労もさることながら、実際の運営においても苦労は多かったといいます。
学生たちが特に苦労したと話すのは、すべての子どもたちと平等に関わりを持つこと。「参加者の多かった日に、学生の数が足りず、十分に交流してあげられなかった子がいました。寂しい思いをさせてしまいました」とリーダーの山下さんは反省点を述べていました。
また、遊びの選択肢を子どもたちに十分に提供してあげられなかったことへの反省もあったようです。石原さんは「室内での遊びとして、折り紙やトランプくらいしか提案ができませんでした。子どもたちが持ってきてくれていたボードゲームをしたりしましたが、あまり楽しませてあげられませんでした」と話します。
参加してくれたすべての子どもたちにとって居心地のいい場所を作ることの難しさを、学生たちは身に染みて感じた様子でした。

そのような反省点もありつつ、寺田さんは「私はすごく人見知りなのですが、子どもたちのおかげで楽しく過ごすことができました。感謝しています」と話します。レクリエーションなどを通じて子どもたちと接する中で、自身の人見知りな性格を少し克服できたと感じているそうです。
現場では、子どもたちから学生への“ありがとう”も多く聞かれました。最終日ということで、感謝の手紙を学生たちに用意してくれていた子も。子どもたちに感想を尋ねると、「大学生のみんなが優しかった」「レクリエーションが楽しかった」「全部来ました!また来たい!」と嬉しそうに話してくれました。
参加者の傾向として、元々一日のみの予約だったものの、参加後に別日の予約を入れるケースが多かったそうです。そのリピーター率の高さからも、今回のイベントが子どもたちに好評だったことがわかります。
今回の「あそびば☆」を今後も継続していくことについて山下さんは、「商店街を盛り上げるために続けていきたい気持ちはあります。ただ、平日は大学で授業がありどうしても十分に時間を割くことができないなど、学生による運営には時間的な制約も多いです。これはまだ個人的な構想ですが、学生の代わりに、地域のご年配の方々に協力をお願いするのもいいのではないかと考えています。子どもたちが、地域のおじいちゃんおばあちゃんと関われる場所を作ることで、地域の活性化につながると思います」と語りました。

昨年「千林推しメシ祭り」を開催した際に、千林商店街を盛り上げる活動をしている非営利団体「1000ピースプロジェクト」と藤原ゼミとのつながりが生まれました。
今年も様々な面で学生のサポートをしていただき、「食事提供やチラシの配布、社会福祉協議会の保険の紹介など、たくさんのご協力がありました。それだけでなく、『1000ピースプロジェクト』の方が商店街組合の方に掛け合ってくださったおかげで、本来レンタル料が発生する千林ふれあい館を無料で利用させていただくことができました」と学生たちは次々に感謝を口にしていました。その様子からは、「1000ピースプロジェクト」なくして「あそびば☆」の成功はなかったことが窺えました。
「千林商店街の皆さんのあたたかさを感じました」今回の取り組みを経て、学生たちは口を揃えてそのように話します。杉浦さんは「毎回断られてしまう前提でアポに向かっていたのですが、商店街の皆さんは嫌な顔ひとつせずに話を聞いてくださりました。人とのつながりの大切さを実感しました」と商店街の方々への感謝を述べていました。
自分たちのアイデアを実現させるために、実際に現場へ足を運び、緊張しながらも交渉を重ねる中で、学生たちは千林商店街があたたかい商店街であることを改めて知ったのです。そして、そんなあたたかい人たちに支えられ、学生たちは無事に「あそびば☆」を開催することができました。

10月7日(火)に開催される「第48回千林まつり」でも、藤原ゼミの学生たちがミニゲームのお店を出店する予定です。千林商店街との継続したつながりで、さらなる地域活性化を目指します。