2025.12.17
学部・大学院
5分間の白熱した戦い―経営学部生が第16回全国大学ビブリオバトル出場

2025年11月23日(日/祝)、アルカスSASEBO(長崎県佐世保市)にて「全国大学ビブリオバトル2025 inながさきピース文化祭(第16回全国大学ビブリオバトル)」が開催されました。
本学からは、経営学部・船越多枝ゼミの尾崎心紀さん(3年生)がセミファイナリスト30名の1人(関西Dブロック代表)として出場。尾崎さんは、本学図書館ラーニング・コモンズで開催された二度の予選を勝ち抜き、見事全国大会への出場を決めました。(6月に開催されたブロック予選の様子はこちら

左から4人目が尾崎さん

ビブリオバトル(※)とは「書評合戦」を意味するイベント。バトラー(出場者)は、自分のおすすめする本を、持ち時間である5分間でプレゼンします。レジュメやスライド資料は一切使用せず、身振り手振りや話術を駆使して、その本の魅力を観客に語ります。最後に投票を行い、最も多くの観客に「読んでみたい」と思わせたバトラーが優勝です。今回、全国各地で開催されたブロック予選・ブロック決戦には、合計約4,000人が出場しました。
(※)ビブリオバトル公式ホームページ https://www.bibliobattle.jp/

“読めばわかる!この本は紙だからいい!”―あえて難しい挑戦をしたワケ

全国大会で尾崎さんは、セミファイナル第4ブロックの5名と熱いバトルを交わしました。紹介したのは、杉井光著『世界で一番透きとおった物語』(新潮社)というミステリー本です。尾崎さんが語るこの本の魅力は、ストーリーもさることながら、「紙で読んで初めて良さが分かる本」という点だそうです。「今は電子書籍が普及し、紙の本の価値が見失われつつありますが、この本は“紙だからこそ”の魅力があります。電子化も映画化もできないと思います。読んでもらえれば、その意味がきっと伝わるはずです」と話していました。

しかし、プレゼンの中で語りすぎてしまうとネタバレになり、「読んでみたい」と思わせることはできません。そのため、ミステリー作品は特に紹介するのが難しく、尾崎さん自身もそれは感じていました。それでもあえてそこに挑戦したのは、「まだみんなが気づいていないこの本の魅力を、どうしても伝えたい!」という尾崎さんの強い思いがあったからです。家族の協力も得ながら、本番に向けて何度も練習を重ねました。

残念ながら今回はファイナルに進むことは叶いませんでしたが、「悔しい気持ちはあります。でも、自分の知らなかった本や、本を心から愛する人たちに出会えことに価値があると思います。挑戦して本当に良かったです」と笑顔で大会を振り返っていました。

左:尾崎さん/右:船越多枝 准教授

セミファイナルを勝ち抜いたファイナリスト6名による最終決戦は、ニコニコ動画の生配信とともに行われました。ファイナルの舞台はさすがの熱弁で、バトラーたちは「作者推し」「価値観が変わる」など、それぞれの視点で本の魅力を語っていました。どの本も読みたくなる熱いバトルが繰り広げられ、ゲストで脚本家の金沢知樹氏が「この決戦こそが物語」と語るほど、観客も一体となって大いに盛り上がりました。

会場の投票によって、グランドチャンプ本は、立正大学の兎澤友紀さんが紹介した村田紗耶香著『地球星人』(新潮社)に決定しました。実は、兎澤さんは尾崎さんと同じセミファイナル第4ブロックのファイナリスト。激闘を交わした戦友がチャンプに輝き、尾崎さんも嬉しさがひとしおだったようです。

安心して挑戦できたのは、船越ゼミのみんながいたから

尾崎さんは、経営学部の船越多枝ゼミに所属しています。船越ゼミについて尾崎さんは、「船越ゼミの良いところは、“絶対に受け入れてくれる”という安心感があるところ。先生も学生も、多様性や相互理解を大切にしています。誰かの意見や挑戦を笑ったり否定したりする人は、一人もいません」と話します。そんなあたたかい仲間たちからは、たくさんの応援の言葉をもらったそうです。その言葉に背中を押され、前向きに全国大会に挑戦することができたと、感謝の思いを述べていました。

そしてビブリオバトルについても、よく似た雰囲気の良さを感じているといいます。「ビブリオバトルの会場はアットホームです。本が好きな人たちばかりなので、どんな本をプレゼンしても、しっかりと聞いて興味を持ってくれます。もし参加を迷っている人がいたら、“怖がる必要はないよ”と伝えたいです」と話していました。

今回の挑戦がつなぐ、新たな挑戦

3年生の尾崎さんは、これから本格的に就職活動に取り組みます。ビブリオバトルで身につけたプレゼン力を活かせる、営業職を志望しているとのこと。「就活を頑張りながら、来年もまたビブリオバトルに挑戦できたらと思います。次は、全国大会で知り合った人に勧めてもらったホラー本を読んでみたいです。文字だけでどこまで恐怖を感じられるのか、興味が湧きました」と話す尾崎さんの表情は明るく、全国大会での出会いが、尾崎さんの新たな挑戦を後押ししているようでした。

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