【人間科学部】人間関係の理論と実践「地域災害実習」(2021年度)

防災にとりくむ地域の現場を体験

「人間関係の理論と実践」は1年生を対象とした講義。大学で得た知識やスキルを実社会でどのように活かすかを考えるきっかけにするとともに、現場実習に取り組むことで、仲間や実習先の人たちとの人間関係を構築することを目的としています。実習は、地域災害実習、まち環境美化実習、登山による身体能力測定実習、地域メディア実習、自然カウンセリング実習などから選択します。
 
このうち髙井逸史教授が担当する地域災害実習では、防災士の出水季治さんを講師に迎え、受講生が防災活動の現状を知って地域の抱える課題を理解するために、講義に加えて実際に地域の防災活動に参加し、学びを深めました。

現場実習はグループで活動
事前学習では、大阪市内各地域で行われている防災活動の現状について学んだほか、若い世代が取り組む防災活動紹介として、市内の中学校で防災部を立ち上げた中学生、防災啓発活動を行う大学院生や防災をテーマに研究する大学院生から話を聞きました。
 
また現場実習では、東淀川区大桐地域、淀川区新東三国地域、阿倍野区常盤地域などから選択して、グループで参加しました。阿倍野区常盤地域の実習では、地域内避難所のひとつである文の里中学校に設置されている防災倉庫の備蓄品の確認作業を実施。倉庫内のすべての物品を運び出し、確認及び写真撮影を行いました。作業終了後には、地域役員との意見交換会も行われました。
 
事後学習では、実習の中で感じた防災活動の課題を挙げ、学生の立場からどのように改善につなげていくのか、また、防災活動だけでなく、地域の在り方としての課題についても考えました。

講義を終えて

奥 陽菜さん(人間科学部1年生)
実習に参加してみて、災害対策の必要性を改めて認識し、若者がもっと防災に興味を持たなければいけないということを実感しました。
特に深刻だと感じるのは、私のような若者は動けるので地域の先頭に立っていなければいけないのに、地域の防災活動に参加する人数が少ないということです。授業の中でも、どうすれば若者が防災活動に参加してくれるのかを考える作業で苦労しました。若者だからこそ考えつくことを提供するのが、私たちがまず出来る活動だと感じました。
 
髙井 逸史 人間科学部教授
これまで一度も地域の防災活動に参加したことがない学生にとって、実際の防災活動を目の当たりし、防災に対する意識、防災リテラシーが芽生えるきっかけになったと思います。「防災は他人ごとでなく自分ごと」という理解が深まった学生もいますし、受講生のほとんどが地域で行われている防災活動の課題に気づき、振り返り学習を通じて課題解決に向け具体的な提案を導くことができていました。今後も、防災について、生活の中で自分に何ができるか自問自答してほしいと思います。
 
出水 季治さん 人間科学部 特別講師(日本防災士機構認証 防災士)
「若い世代が来ない」。これが地域の防災活動における長年の課題です。内容の見直しや広報強化等の取り組みを行っていますが、なかなか進んでいません。今回の実習で、学生が実際に参加して目で見て肌で感じることで、取り組みを知り関心を持つひとつのきっかけになったのではないでしょうか。地域にとっても、若者の生の意見を聞くことができて、今後の活動にあたっての参考となりました。次世代を担う学生と地域との連携については継続した活動が必要だと改めて感じました。