【2023年度】若吉浩二ゼミ 大阪府能勢町教育委員会で研究発表

学校水泳の新たな指導法の提言、幼児用オノマトペ体操の研究結果を報告

2024年2月2日(金)、能勢町役場で令和5年度「大阪経済大学×能勢町:体力向上の取組報告会」が開催され、能勢町教育委員会、能勢ささゆり学園とみどり丘幼稚園、のせ保育所の先生方が出席する中、人間科学部若吉ゼミの3名が発表を行いました。この報告会は①能勢町の子どもの体力向上について考える②体力向上の取組を生かして地域の活性化を図ることを目的としており、定期的に行われています。
 
能勢町教育委員会 加堂恵二教育長によるご挨拶の後、竹中綾一さん(4年生)と岩崎那南さん(3年生)が能勢ささゆり学園で2022年度と2023年度に実施したトビウオ教室(夏休みの水泳教室)での成果報告として「学校水泳の新たな指導法の提言 ~短期水泳教室を通して~」をテーマにそれぞれが報告を行いました。

竹中さんは、伏し浮き時間とけのびの到達距離、伏し浮き時間とクロール泳の到達距離、けのびの到達距離とクロール泳の到達距離にも相関があるという分析結果を踏まえ、クロール泳の習得には伏し浮きとけのび、およびストリームラインの改善が重要であると報告しました。
続いて岩崎さんは、クロール泳の指導方法に着目した研究について発表し、伏し浮きや背浮きの練習を重点的に行うことで、クロール泳が習得しやすくなることや安定した泳ぎにつながることを示唆しました。

次に、村上春菜さん(4年生)が「幼小連携に向けた体力づくり~幼児用オノマトペ体操の取組~」をテーマに報告。2022年度から実施している幼児向けオノマトペ体操について、1年間継続した場合の疾走能力と体力向上に関する研究結果を発表しました。全年齢で25m走タイムが短縮され全国平均を上回った一方で、50m走では全国平均を下回っていること、夏の暑さによる運動制限で著しい体力低下がみられることなどの課題を指摘し、年齢に合わせたオノマトペ体操の再編の必要性や、季節や気候に対応した運動量を確保するための創意工夫について言及しました。

学生の研究発表後、若吉教授は学生の研究への協力について、能勢町教育委員会やささゆり学園、みどり丘幼稚園、のせ保育所の皆さんに謝辞を述べ、「今日の学生たちの発表は、私自身の研究テーマに直結する内容でもあり、全国の水泳の授業にも反映できる成果が得られたのではないかと思っています。幼小連携という課題を研究テーマにすると、世の中の役に立つ成果が出てくるのではないかと考えているので、次年度も継続して実施できるようご協力をお願いします」と話しました。
 
フリーディスカッションでは学生と能勢町関係者が3グループに分かれ、それぞれが感じる課題を中心に意見交換を行いました。「指導要領には伏し浮きと背浮きの回転運動がないため、学校全体でどのように水泳指導方法についての情報共有していくのか」といった意見や「泳ぐ前段階として保育所などで水を楽しいものだと思えるような指導ができるといいのでは」といった提案のほか、「夏の酷暑の中で、どのように運動の要素を取り入れていくのか」といった簡単には解決できない課題についても活発に意見を出し合っていました。

報告会の最後に、能勢ささゆり学園が大阪府教育庁から体力づくり優良校として表彰されたことが報告されました。そして若吉教授が能勢町の子どもたちの体力向上の取り組みに長年貢献してきたとして、加堂教育長から若吉教授に感謝状が贈呈されました。