第2回中小研セミナー【開催報告】

第2回 中小研セミナー【開催報告】

このたび「第2回中小研セミナー」を開催致しました。
    日  時:  2014年10月4日(土) 14:00~16:00
    場  所:  大阪経済大学C館3階 C31教室
    参加者:  102名
    テーマ : 社 史-その魅力と活用策-」
    講  師:  村橋 勝子 氏(社史研究家)
 
 昨年度中小企業経営・研究所の開設50周年記念事業の一環として、中小研セミナーがスタートしました。このセミナーの趣旨は、中小企業に関する様々な問題について、各回特定のテーマを設けて、一般の人々に対する講演会形式で行うことにより、研究者だけではなくより広く情報を発信し、中小企業問題に接してもらおうというものでした。今回はその二回目であり、本学が積極的に蒐集している「社史」をテーマとしてとりあげ、日本の社史研究の第一人者である村橋氏に講演いただきました。

 まずはじめに、社史とはどのようなものであるかが紹介されました。日本では明治以降1万3,000点以上が刊行され、現在も毎年200点ほどが刊行されており、日本は世界に例を見ない社史大国です。次に、社史の要件として①提供する主体が企業である、②自社の歴史を社内資料に基づいて語っている、③自社の責任において提供している、という3つが述べられました。また、その刊行目的として、経営者や従業員教育、資料・情報の整理と保存、企業のPRとイメージづくりなどがあげられました。活発に社史を発行している企業の要因としては、経営資源に余裕がある、内部資料を公開しうるオープンかつ強い体質、企業の横並び意識、社史産業の台頭と販促による需要の掘り起こし、などがあります。
  後半では、関西の企業の社史を中心に、企業の先人の志、企業創業者の個性と迫力、社史が語る企業トリビアなどが紹介されました。最後に、社史の読み方として、1冊の社史を読む場合には、序文でその企業ができた目的がわかり、特に創業期の部分はドラマ性に満ちて面白く、資料編にはユニークなデータや情報がいっぱい詰まっていて、同じ会社の社史を読む場合も、新しいものは書き下ろし部分を読むのが面白く、普及版も軽やかで読みやすいのでお勧めです。企業に勤めている場合にはまず、自社の社史を読み、次に自社と密接な関係にある会社の社史へと広げていくのが面白く、一般の人の場合には、地元企業や地域密着企業の社史を読むと面白いです。社史は大部であることが多いので、必ずしも始めから終わりまで読む必要はなく、無理をせずに興味のあるところから読んでも構わないし、その時代状況を意識して読むことも重要です。

  以上のように、社史は意外と面白く、その活用策として、①企業経営に関する具体的な教材・ヒントになる、②経営史・産業史の研究に役立つ、③日本の文化史・生活史の資料となる、④専門用語辞典や文献目録として役立つ、⑤営業活動に活かすことができる、⑥ 職業選択や入社試験の備えになる、などが示されました。限られた時間の中で多くの内容と具体的な事例が参加者にもわかりやすく説明され、きわめて好評なセミナーとなりました。
以上
中小企業・経営研究所