もともと英語は大の苦手。それでも大学受験のために必死で勉強してある程度できるようになったつもりでした。ところが、入学してすぐ、英語の授業でネイティブの先生の言っていることが全くわからなかったんです。あんなに勉強したのに一言も聞き取れないなんて!それがショックで、どうしても英語でコミュニケーションが取れるようになりたいと思いました。
英語力が全然ないのに留学したいと言うと、無謀だと反対されたり日本で勉強すればいいと勧められたりしました。でも今やらなかったら後悔すると思ったし、何より、私は「英語を」学びたいのではなく、「英語で」何かを学びたかったんです。
家族や国際交流課の方の応援、そして、留学しても帰国後は元の学年に復帰できる「認定留学制度」が私の挑戦を後押ししてくれました。親には絶対に4年間で大学を卒業するからと約束し、2年生の秋からカナダ・ヨーク大学附属英語学校へ。やるからには必ず英語を習得したかったので、留学中の半年は一切日本語を使わないと決めていました。ただ、出発当日の空港で「出口=EXIT」がわからなかった時は自分でも大丈夫かと焦りましたね…。案の定、カナダに着いてホットコーヒーを頼みたかったのに全然通じず、押し問答の末に出てきたアイスコーヒーを、寒さをこらえて飲みました。
留学先での最初の授業。クラスには日本人も何人かいて楽しそうに話していました。誰も知り合いがいない異国の教室で、心細さと不安から自分もその輪に入りたいと何度も思いました。そんな弱さを打ち消すために話しかけたのが、隣の席のアラブ人の女の子。お互い言葉はわからなかったけれど、身振り手振りでコミュニケーションを取り、その日から少しずつ仲良くなりました。
「母国語じゃないんだから下手でも仕方ない」とポジティブに考えて積極的にクラスメイトに話しているうちにだんだん友達も増え始めました。日本人の同級生にも英語で応対していたので、ずいぶん後まで私は日本人と思われていなかったそうです。
そんなある日、最初に友達になったアラブ人の子に「英語が上手いかどうかじゃなく、あなたが好きだから一緒にいるのよ」と言われて、ハッとなったんです。いつの間にか英語を使うことが義務のようになっていました。でも大切なのは周りの人とのコミュニケーションを楽しむ気持ちであり、英語はそのためのツールなんだと改めて気づきました。
移民の多いカナダは「サラダボウル」と呼ばれるほど、さまざまな人種が暮らしています。国籍の違う人々が交流しあえるのは英語という共通の言葉があるから。私もホストファミリーや友達と接する中で、言葉や文化の壁を超えてたくさんの刺激を受け、自分の個性や可能性を感じることができました。国にとらわれないという見識を得たことが、今回の留学の一番大きな成果だったと思っています。
帰国後も身につけた英語力を維持したい私にとって、海外の学生の案内ボランティアが必要な際に国際交流課の方から連絡があったり、ネイティブの先生と話せるカフェがあったりする大阪経済大学のサポート体制はありがたいです。
この留学経験と大学で学んだ情報社会学の知識を生かして、将来は国内外問わず、自分が望む場所で活躍できる人間になりたいです。