学長・野風草だより

No.680

No.680 2016年2月25日(木)

学生の視点で考える防災ボランティア

 「大経大防災協議会」というのをご存知ですか。原田多美子客員教授の「ボランティア論」の履修学生とボランティアサークル「サークルピース」の有志で、学内における防災の現状を学習し、災害発生時の一次避難所としての大学の果たす役割と学生のできる活動を議論しようと、2015年10月に発足しました。原田先生の指導の下で、毎週金曜日に研究会を行い、予測される大地震や津波被害を想定して、大学と地域が密接に連携を取ることで、防災成果を高めるシステム構築を考えていく勉強をしています。ボランティアサークル「サークルピース」は、東日本災害ボランティア活動を3年間続けており、水害支援活動、介助犬支援街頭募金など多彩な活動をしています。最近では「学生サポートセンター」から表彰もされています(野風草だよりNo.677)。

 当日は、大阪市危機管理室、東淀川区役所市民協働課、大阪市と東淀川区の社会福祉協議会の方々にも来ていただき、行政と地域、大学がどのように連携できるのかを一緒に考えました。大阪市危機管理室の黒田和伸参与は、学生たちの発表を聞いて、当日次のようにコメントしていただきました。
 「今回、大経大防災協議会に、東淀川区職員をはじめ、東淀川区社協職員、市社協ボランティアセンター職員、危機管理室職員と大学の学長さんをはじめ、学部長や総務部長以下の職員の皆さんが参加され、合同で防災施策や防災ボランティアに関する事項について意見を交わす場を、大学が主催して開催されたことは大変意義深いことだと感謝しております。市内の大学では、大阪市立大学や常翔学園などですでに本格的な防災の取り組みとして地域や行政等との連携が進んでいます。また、ボランティアについても市内の大学や専門学校単位で現在も被災地で活動されています。しかしながら、大経大での取り組みのように学生の皆さんが主役となり、今回のような大規模な「協議会」が実施されるのは今回が大阪では初めてですし、東京や京都などでは、ボランティアや防災に関する大学間の連携が進んでいますが、大阪市においては未だそのような学生を主体とした連携や大学間連携などは進んでいません。
 今回の学生の皆さんの災害時避難所や地域との連携に関する発表やこれまでの取り組みは、予想以上に具体的で、災害時避難所に指定されている施設だけでなくその周辺の大学の施設まで現場で確認し、避難所としての使用の適否を考察するとともに、大学周辺の地域を歩いて、地域の防災上の特性を分析し、今後の大学と地域との連携を進める基礎を確立されており、大変有意義なものだと感じました。今後の「協議会」への期待として、①今回の参加者に大学周辺の自主防災組織の皆さんも加えて、災害時の大学と地域との協力体制を確立するとともに、大学の災害時避難所の具体化など施策の実現に進んでいただきたい。②大阪の大学や専門学校の、防災やボランティアに取り組む学生さんなどの連携の核となっていただきたい。また、大学間連携へと発展させていただきたい。以上2点をお願いしたいと思います。「協議会」の皆さんは中心となりうる取組み実績と能力を持っておられると思いましたので、来年度は一歩前進されるよう期待しております。」
 高く評価していただいたことに感謝するとともに、今後ともご支援よろしくお願いいたします。

 学生の発表は、「大阪経済大学体育館―一次避難所として現状と課題」として、本学の体育館が一次避難所としてどのように活用できるかを、実際に隅々まで歩いて実地検討したものでした。そして「防災講座―大隅西小学校と本学の合同避難訓練の成果と課題―」として、昨年の12月に行った避難訓練の報告でした。小学校の1~6年生の350名が、小学校から本学までの避難経路を確認し、D館の1~8階まで上がりながら学生たちが作成した低学年、中学年、高学年向きの防災講座を学びました。そして講座終了後は、再び小学校まで誘導をしていました。
 聞いていて、素晴らしい報告内容に本当に感動しました。こうした活動をしている学生が大経大にいることを誇りに思いました。学生の皆さんは、大経大の宝で、まさに”大経大プロフェッショナル”です。原田先生のご指導、行政の皆さまのご支援に感謝するばかりです。本学としては地域とのつながりを重視しており、最近では本学のゼミと企業と行政が協力した企画発表会を行いました(野風草だよりNo.673)。今後とも地域連携を深めていきたいと思います。

 学生の発表の後は、参加者全員でクロスロードゲームで、身近な防災の基礎を学びあいました。防災に関する質問に、「Yes」、「No」で答え、何故Yes、Noなのかをグループで討論します。もちろん正解というのはありません。たとえばこんな質問です。「あなたは、食料担当の職員。被災から数時間。避難所には3,000人が避難しているとの確かな情報が得られた。現時点で確保できた食料は2,000食。以降の見通しは、今のところなし。まず、2,000食を配る?→【YES(配る)/NO(配らない)】」
 楽しみながら、とても勉強になりました。

○経済学部1回生丹生千晴さんのコメント
 大経大防災協議会に参加して、多くのことを知った。そのきっかけとなったのはクロスロードというゲームである。私たちがしたクロスロードのルールは、ある質問に対して、「はい」か「いいえ」を選び、なぜその答えを出したのかを意見し合う。というもので、質問の内容は、実際災害時に起こった出来事だった。この協議会には学生と、防災に関するエキスパートの方々も参加して頂いており、クロスロードを通じて、色んな視点から防災を見つめることができた。そして、ゲームをしていて気づいたことがある。それは「地域連携」という言葉が飛び交っていたということだ。
 実は、災害時に近所の方に助けられた人が多くいらっしゃる。これは、助けた人と助け出された人との間に、関係が築かれていた証である。このことから私は、大阪経済大学だけで防災協議会をするのではなく、地域の方はもちろんのこと、大阪府内の大学とも連携して、防災を考えることは出来ないかと考えている。そうすれば、もっと広く、深く防災についての知識を共有できる。もっと多くの命が救われるかもしれないのだ。 今後来ると思われる大きな地震のことも考えて、地域とのつながりを考慮し、防災を考えていきたい。

○経済学部地域政策学科4回生の畑中 亮君のコメント
 今回の「大経大防災学習会」では、発表者として1年目の活動報告をさせて頂きました。発足してまだ5ヶ月ほどしか経っていないため、大経大防災協議会が目指している目標には及びませんでしたが、目標を達成するための土台づくりはできたのではないかと考えています。発表終了後、参加してくださった方々からは、学内の防災や地域の防災体制を見直す機会となったとのお声を頂いたので、大変嬉しい結果だったと思います。来年度は学内での体制も変わり、また一からの活動になりますが、本学が地域防災の拠点となり、より良い体制となることを望みます。