学部/大学院・教育内容

臨床心理士の資格をもつ常勤スタッフの自己紹介

臨床心理士の資格をもつ常勤スタッフの自己紹介

本専攻の、臨床心理学を専門とする5名の専任教員と、附属心理臨床センター常勤臨床心理士の紹介をします。わたしたちスタッフの理論的指向性は、精神分析、東洋思想、トランスパーソナル心理学、来談者中心療法、ユング、行動療法、産業心理学と、多岐にわたっています。しかし基本として、探求型・洞察指向型セラピーというオリエンテーションをもっています。

教員名自己紹介[主な著書] 等
中川一郎
(人間科学部教授)

私は京都に育ち、海外での生活にあこがれて1977年に渡米しました。カリフォルニアで英語を学びびながら、コミュニティカレッジに通い、初めて心理学に出会いました。その後、念願かなって入学したカリフォルニア大学バークレー校(University of California,Berkeley)では、臨床心理学では世界的に有名な Sheldon Korchin 博士から学んだり、California Personality Inventory(CPI)を開発された Harrison Gough 博士に卒論の担当教員になってもらったりしながら、とてもよい学びを得ることができました。
そして幸運にも、ニューヨーク州にあるロチェスター大学(University of Rochester)の大学院(臨床心理学部:アメリカ心理学会APA認定校)に入学し、スカラーシップをもらいながら5年間の学問と実践を積みました。その間、4年間のハーフタイム・インターンシップも修め、1990年に臨床心理学の博士号を取得することができました。
その後カリフォルニアに戻り、オークランドのカイザー医療センターにて病院臨床の経験を積みました。カリフォルニア州の臨床心理士の資格を取得し、サンフランシスコ総合病院(精神科リハビリ部門主任)やコミュニティ精神衛生センターなどで、約10年にわたり臨床、指導、教育などにたずさわりました。この時期、子どもと家族の支援、日本人や日系アメリカ人へのカウンセリング、依存症回復センター等での仕事もしています。
帰国後、立命館大学・心理教育相談センター(臨床心理士),関西カウンセリングセンター(スーパーバイザー),近畿大学工業高等専門学校(客員教授)、三重大学医学部看護学科(非常勤講師)、三重大学国際交流センター(客員教授)、鈴鹿医療科学大学医療福祉学科臨床心理コース(教授)、ホリスティック心理教育研究(所長)などを務めてきました。心理臨床としては、スクールカウンセラーとしての11年の経験も含め、約25年の臨床経験があります。
私の研究のテーマは、「ホリスティック(統合的)ケア」と「タッピングタッチ」です。タッピングタッチの開発者として、国内外において、心理、看護、介護、教育、被災者支援など多岐にわたる場で、ホリスティックケアに関する実践・研究・教育をおこなっています。
大学院では「臨床心理学特論」を担当しています。この授業では、ホリスティック(全体的・統合的)理論やアプローチを基礎に、臨床心理学の基本と実践をセミナー形式でおこなっています。心のケアの専門家は人間的な成長や社会性も求められるので、理論や知識の習得に偏らず、積極的なディスカッションや体験学習なども大切にしています。


[主な著書]
●心と体の疲れをとるタッピングタッチ(単著、青春出版,2012)
●タッピングタッチ―こころ・体・地球の為のホリスティックケア(単著、朱鷺書房,2004)
 
[主な共著]
●催眠トランス空間論と心理療法(遠見書房,2017)
●いのちに触れるコミュニケーション:ルネッサンス京都21・五感シリーズⅤ(オフィスエム,2009)
●セロトニン脳健康法―呼吸、日光、タッピングタッチの驚くべき効果(講談社,2009)
●心理臨床におけるからだ―心身一如からの視座(朱鷺書房,2006)

 [主な論文]
●"Tapping Touch:a holistic-care technique used in psychological care for disaster victims in Fukushima"「タッピングタッチ(ホリスティックケアの技法)による福島での被災者への心理的ケアについて」(ロシア語・英語)The 2nd International Scientific-Practical Conference, "Psychology of Crises and Extreme Situations"(Pacific State Medical University, Vladivostok, Russia,2013)
●痛み、不眠、不安など、がん患者の心身症状を緩和するリラクセーション法&リスニング(ケースセミナー 27巻12号,2006)
●がん看護に活かすタッピングタッチとリラクセーション法・看護士が主体的に取り組める補完的な緩和ケア(消化器・がん・内視鏡ケア 11巻2号,2006)
●臨床催眠のこれからの役割と可能性―日常と臨床における変容意識(トランス)の一考察から(臨床催眠学 Vol.3,2002)

古宮昇
(人間科学部教授)
※2018年度研究指導担当
わたしは米国University of Missouri-Columbiaの博士課程を修了し、米国では子ども家庭センター、精神病院、大学の学生相談室などで臨床家としてキャリアを積みました。日本では開業オフィスで心理療法をしています。心理臨床の実践はわたしにとってすごく大切なものです。
わたしはカール・ロジャースが大好きです。米国でわたしはブリーフセラピー、家族療法、認知療法などいくつもの流派のトレーニングを受けて実践をしました。その貴重な経験を経て、わたしの人間観と技法は来談者中心療法が主になりました。それとともに、クライエントを深いレベルで共感的に理解するために精神分析の概念を多く使います。
わたしのもう一つの主な関心はスピリチュアリティです。わたしにとってスピリチュアリティとは、頭で理解するものでもなければ、この世と離れた事柄についてのものでもなく、この現実の世界で人が自分らしさを輝かせながら生きてゆくことに深く関連しています。わたしの人生観と心理療法の実践の基盤に、スピリチュアリティがあります。
大学院では、「心理療法特論」、「臨床心理基礎実習」を担当しています。これらは心理臨床の大切な根幹の部分であり、そこを担当できることがうれしいです。大学院教育には意味を感じ、楽しくありがたく担当させていただいています。
個人的なことでは、わたしは動物が好きです。犬も猫も好きですが、大きな犬がとくに好きです。

 [単著]
「一緒にいてラクな人、疲れる人 ~人に会いたくなる心理学~」(PHP出版,2015年)
「共感的傾聴術 ~精神分析的に”聴く”力を伸ばす~」(誠信書房,2014年)
「ぶり返す、怒り、寂しさ、悲しみは捨てられる ~知られざる大人の”愛情飢餓”」(すばる舎,2012年)
「症状はどう生まれるか ~共感と介入のポイント~」(岩崎学術出版社,2011年)
「傾聴術 ~自分で磨ける“聴く”技術」(誠信書房,2008年)
「やさしいカウンセリング講義」(創元社,2007年)
「大学の授業を変える」(晃洋書房,2004年)
「しあわせの心理学」(ナカニシヤ出版,2003年)
「心理療法入門」 (創元社,2001年)
鵜飼奈津子
(人間科学部教授)
※2018年度研究指導担当
わたしは、大阪府の子ども家庭センターで臨床心理士として勤務した後、ロンドンのTavistock Clinicに留学し、児童・思春期を専門とする精神分析的心理療法の訓練を7年間にわたって受け、日本では3人目となる、Child & Adolescent Psychotherapistの専門職資格を得ました。訓練期間中と、資格取得後の約3年半を含めた10年半にわたるロンドン生活の間、Tavistock Clinicの他、公的機関である児童・思春期精神保健サービスや、移民・難民のためのセラピーセンター、日本人のための一般外来クリニック等で臨床を行ってきました。
2008
年に日本に帰国し、本学に赴任しました。同時に「NPO法人子どもの心理療法支援会」の顧問として、発達障がいを持つ子どもや被虐待経験のある子どもへの精神分析的心理療法、またそうした子どもたちを取り巻く家族や関係者へのサポートの普及・発展に携わっています。
大学院では、「臨床心理面接特論Ⅰ,Ⅱ」(心理支援に関する理論と実践)、「地域発達相談実習Ⅰ,Ⅱ」(心理支援実習)と「臨床心理実習」(心理支援実習)を担当しています。いずれも、臨床心理士/公認心理師として仕事をしていくうえで、とても大切で実践的な科目です。私が日英の両国で受けた教育のそれぞれが持つ良い面と、日英両国での臨床経験を生かしながら、大学院生と共に日々、楽しく研鑽を積ませていただいています。
 [著書]
子どもの精神分析的心理療法の基本<改訂版>(誠信書房,2017年)
子どもの精神分析的心理療法の応用(誠信書房,2012年)
子どもの精神分析的心理療法の基本(誠信書房,2010年)



[分担執筆]
精神分析から見た成人の自閉スペクトラム(誠信書房,2016年)
仏教心理学キーワード事典(春秋社,2012年)

[
主な論文]

アタッチメントと神経科学(臨床心理学 第18巻第2号,金剛出版,2018年)
アタッチメントの問題と親子のレジリエンス(精神療法 第43巻第4号,金剛出版,2017年)
愛着と虐待の世代間伝達(教育と医学 773号,慶應義塾大学出版会,2017年)
児童養護施設に暮らす子どもと心理療法、そして職員の支援(子育て支援と心理臨床 第10号,福村出版,2015年)
子どもの心理療法の結果研究とプロセス研究(臨床心理学 第13巻第3号,金剛出版,2013年)
子ども理解の複合的視点 ―精神分析的観察、生育史と生活環境という文脈、そして心理テスト―(児童心理 NO.942,金子書房,2011年)
面接中の諸問題とその対応(臨床心理学 第11巻第6号,金剛出版,2011年)
ほか

[
訳書]

子どもの心の発達支えるもの(監訳)(誠信書房,2016年)
ワークディスカッション(監訳)(岩崎学術出版社,2015年)
乳児観察と調査・研究(監訳)(創元社,2015年)
児童青年心理療法ハンドブック(監訳)(創元社,2013年)
子どもの心理療法と調査・研究(監訳)(創元社,2012年)
学校現場に生かす精神分析(共監訳)(岩崎学術出版社,2008年)
被虐待児の精神分析的心理療法(共監訳)(金剛出版,2006年)
自閉症とパーソナリティ(共訳)(創元社,2006年)


村山満明
(人間科学部教授)
わたしは、広島大学大学院教育学研究科博士課程前期を修了し、その後は、保育士を養成する学校や大学などで心理学を教える仕事をしてきました。心理臨床に関しては、大学院修了後も引き続き大学の心理教育相談室で研修を積み、また大学の学生相談室、総合病院精神神経科、精神病院などで実践をしてきました。
 大学院では「臨床心理基礎実習」を担当しています。大学院生の皆さんが2年間で心理臨床の基礎的な事柄を学び、実践の世界に出ていけるようになればと考えています。特定の理論志向を明確にもっているわけではありませんが、精神分析学やユング心理学を理解の基本としています。また、保育士養成にかかわってきた関係もあって、子どもの成長・発達に関する問題などに関心を持っています。
 また最近では、法心理学の分野において、供述の心理学鑑定などを中心に研究や活動をしています。
[主な著書]
供述をめぐる問題(分担執筆)(岩波書店,2017年)
尼崎事件 支配・服従の心理分析(共編著)(現代人文社,2016年)



[主な論文]
虚偽自白事件の裁判員裁判における法曹と心理学者の協働(共著)(法と心理 第15巻第1号,2015年)
心理学からみた法の現場のディスコミュニケーションの諸相(共著)(法と心理 第15巻第1号,2015年)
広島港フェリー甲板長事件心理学鑑定書(法と心理 第7巻第1号,2008年)
アクチュアリティの問題群序論(県立広島女子大学子ども文化研究センター研究紀要 第10巻,2005年)
気にかかる子どもの理解と援助について ─発達障害に関係する用語の整理と保育者や教師のための基本的指針─ (広島女子大学子ども文化研究センター研究紀要 第9巻,2004年)
少年事件における反社会的傾向の起源はどこにもとめられるか(広島女子大学子ども文化研究センター研究紀要 第5巻,2000年)

古賀恵里子
(人間科学部准教授)
※2018年度研究指導担当
わたしは信州大学で心理学を学び卒業した後、滋賀県大津市にある明和会・琵琶湖病院に就職し、20153月末までの29年間、精神科医療の現場で仕事を続け、その間、様々な心理社会的困難を抱える患者さんたちと出会いました。臨床心理士として心理査定、個人心理療法、集団精神療法等に従事しましたが、医師、看護師、精神保健福祉士等の多職種でチームを組んで治療に取り組む姿勢を大切に考えてきたつもりです。
 私が特に興味をもって勉強してきたのは集団精神療法です。1997年に日本集団精神療法学会に入会し、その後、学会認定のグループサイコセラピスト、更にスーパーヴァイザーとして認定されました。病院で実践していた集団精神療法では、患者さん同士の相互作用が生み出す治療的な力を目の当たりにすることができました。
一方で、さまざまな治療的アプローチが有効に機能するためには、それぞれの治療法を包み込む「環境」が大切であることを長い臨床経験の中で実感しました。ここで言う環境とは、人と人との関係が織りなす環境のことです。人と人がしっかりと情緒的に関わり続けることを可能にする環境です。そこでは、時に痛みを伴うような局面が生じますが、そこにきちんと向き合って「自分に何が起こっているのか」「自分と他者との間に何が起こっているのか」を考え続けることが大切だと考えています。
大学院では「臨床心理査定演習Ⅰ(心理的アセスメントに関する理論と実践」「臨床心理査定演習Ⅱ」「臨床心理実習Ⅱ」を担当しています。クライエントへの理解を深めようとするのであれば、自分自身を探索する作業は不可欠です。大学院生も教員も率直に話し合いながら学習を進めることができれば嬉しく思います。
 [共著]
「聴覚障害者の心理臨床・2」(共著,日本評論社,2008年)
「聴覚障害者の心理臨床」(日本評論社,1999年)
「学びやすい精神保健」(金芳堂,1999年)


 [主な論文]
「精神科病院を覆う集合的防衛に関する考察 ―Robert Hinshelwodの組織的現象に関する理論から―」(大阪経大論集 68巻6号,2017年)
「精神疾患をもつ聴覚障害者の集団精神療法」(聴覚障害者のメンタルヘルスとケア,聴力障害者情報文化センター発行,2017年)
「治療環境においてアクションから学ぶために ―Learning from Action Working Conferenceの体験を通した考察―」(集団精神療法 33巻1号,2017年)
「グループセラピストとは何者か」(集団精神療法 282, 2012年)
「私はグループをどう体験してきたのか」(集団精神療法 242, 2008年)
「精神科通院中のろう者を対象とした集団精神療法」(集団精神療法 212, 2006年)
「手話と臨床心理士」(こころの臨床alacarte 244, 2005年)
「長期入院患者のグループにおけるリーダー交代」(集団精神療法 211, 2005年)



中澤鮎美
(常勤臨床心理士)
私は、本学の人間科学研究科附属心理臨床センターのカウンセラーです。本学の人間科学研究科臨床心理学専攻を修了しました。その後は、児童養護施設で子どもを対象にしたセラピーや、保健センター・発達支援センターでの発達検査、大学での非常勤講師、また、高校のスクールカウンセラーや電話教育相談の相談員、働く人のメンタルサポートなど、教育、福祉、産業とさまざまな領域で仕事をしてきました。
 私がカウンセラーを目指したのは、高校の担任の先生の言葉がきっかけでした。また、大学生の時に行った教育実習も、大きな経験となりました。
 心理臨床センターは、私自身も学生時代にたくさんのことを学ばせてもらった場所です。大学院生が、実習を通して何を体験し、考え、実践されていくのか、私自身も楽しみです。そして、同時に、心理臨床センターを利用される地域の方々のニーズを知り、どのように社会貢献していくかを考えることも大切だと考えています。

 [主な論文]
児童養護施設に入所する子どもが抱える問題とその情緒的傾向、および心理士の役割(大阪経済大学心理臨床センター紀要 第11号,2017年)
登校しぶりをする小学生男児との面接過程(大阪経済大学心理臨床センター紀要 第6号,2013年)
絵本の読み聞かせ体験とクライエントの語り(大阪経済大学心理臨床センター紀要 第5号,2012年)


注)教員の担当科目は変更する場合があります。