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臨床心理学を専門とする常勤スタッフの自己紹介

臨床心理学を専門とする常勤スタッフの自己紹介

本専攻の、臨床心理学を専門とする6名の専任教員と、附属心理臨床センター主任カウンセラーの紹介をします。わたしたちスタッフの理論的指向性は、精神分析、東洋思想、トランスパーソナル心理学、来談者中心療法、ユング、行動療法、産業心理学と、多岐にわたっています。しかし基本として、探求型・洞察指向型セラピーというオリエンテーションをもっています。

教員名自己紹介[主な著書] 等
黒木賢一
(人間科学部教授)

※2016年度研究指導担当
わたしは米国のカルフォルニア州立大学(ヘイワード校)の大学院で臨床カウンセリングを専攻し,修士課程を終了しました。帰国後は,精神科クリニックで心理士として勤務したのち,芦屋にて「芦屋心療オフィス」を開設して,心理臨床一筋に臨床家としてキャリアを長年積んできました。大阪経済大学の人間科学部の新設に伴い,臨床心理学領域を創るためのメンバーの一人として赴任しました。その後、臨床心理士養成の大学院人間科学研究科「臨床心理学」専攻を作るのに専念し、大学院では「臨床心理学特論I、II」と「臨床心理学実習」を教え,心理臨床の実践面を担当しています。
 わたしは、サンフランシスコ市の対岸にあるバークリー市に住んでいたときにカルフォルニア州立大学(ノースリッジ校)のユング派の分析家の目幸默遷先生(僧籍をもつ)に出会うことで、ユング心理学と仏教に出会い、人生の転機が訪れました。そして、西洋の知識と東洋の智恵が含まれた最先端の「トランスーパーソナル心理学」に触れることで、自らの心理学の方向が定まったと思います。
 帰国してからは、精神科医の神田橋條治先生に師事し、「心理臨床の本質」を身体感覚をとおして学んできました。教育分析は3名のユング派の先生から受けました。心理臨床では青年から老人までの「成人を対象」に、DSMDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders精神障害の診断と統計マニュアル)の診断基準をベースに、精神科医と連携しながら多くの難治例のクライエントを対象に心理臨床を現在行っています。私の心理臨床の特徴は、西洋心理学に東洋思想を加えることで、「心、身体、魂」をホリスティック(全体的)に捉えた心理臨床です
  研究テーマとしては、太極拳を通して、「気」をキーワードに心理臨床の新たな「臨床身体論」の展開、密教(インド、チベット、ネパール、日本など)の曼荼羅研究とユングのマンダラ理論をリンクさせた「マンダラ・アートセラピー」の構築、四国の歩き遍路の実践(現在二巡目)を通して心理臨床学と脳科学における「マインドフルネス」と「スピリチュアリティ」の位置づけです。特に最近は、フィルドワークをするためにアジアの国々によく出かけるので、その地に住む「和僑(積極的に日本を飛び出して他国に住む)」の人達に出会うことが多く、彼・彼女たちのグローバルな生き方に興味を持っています。
[主な著書]
<気>の心理臨床入門(星和書店,2006年)
「自分らしさ」をみつける心理学(PHP研究所,1999年)
<自分発見>ワークブック(洋泉社,1996年)
 
[主な共編著]
心理療法におけるからだ(朱鷺書房,2006年)
日本の心理療法(朱鷺書房,1998年)
カウンセラーの仕事(朱鷺書房,1995年)

[主な共著]
仏教心理学キーワード事典(春秋社,2012年)
トランスパーソナル 心理療法入門(日本評論社,2001年)
マスコミ精神医学(星和書店,2001年)
臨床心理学①カウンセリングと心理療法(培風館,1999年)
癒しの森 ―心理療法と宗教―(創元社 ,1997年)

 [主な論文]
「マンダラ・コラージュ技法(1)―時空における方形と円形―」(大阪経大論集 64(6),2014年)
「マンダラ塗り絵に関する心理臨床学的研究(1)」(大阪経大論集636),2013年)
遍路セラピー ―歩き遍路体験における心の変容―(トランスパーソナル心理学精神医学12(1), 2012年)
中医心理学の視座(大阪経大論集614),2010年)
お遍路は心理療法(日本仏教心理学会誌,2010年)
心理臨床に役立つ太極拳(大阪経大論集61(4)2010年)
四国遍路における臨床心理学研究(1)(大阪経済大論集596),2009年)
シャーマニスティックな芸術療法を求めて(日本芸術療法学会39(1)2008年)
心理臨床における心身―如の視座(心理臨床学研究22(4) 日本心理臨床学会,2004年)
古宮昇
(人間科学部教授)
※2016年度研究指導担当
わたしは米国University of Missouri-Columbiaの博士課程を修了し、米国では子ども家庭センター、精神病院、大学の学生相談室などで臨床家としてキャリアを積みました。日本では開業オフィスで心理療法をしています。心理臨床の実践はわたしにとってすごく大切なものです。
わたしはカール・ロジャースが大好きです。米国でわたしはブリーフセラピー、家族療法、認知療法などいくつもの流派のトレーニングを受けて実践をしました。その貴重な経験を経て、わたしの人間観と技法は来談者中心療法が主になりました。それとともに、クライエントを深いレベルで共感的に理解するために精神分析の概念を多く使います。
わたしのもう一つの主な関心はスピリチュアリティです。わたしにとってスピリチュアリティとは、頭で理解するものでもなければ、この世と離れた事柄についてのものでもなく、この現実の世界で人が自分らしさを輝かせながら生きてゆくことに深く関連しています。わたしの人生観と心理療法の実践の基盤に、スピリチュアリティがあります。
大学院では、「心理療法特論」、「臨床心理学基礎実習」、「臨床心理学実習」を担当しています。これらは心理臨床の大切な根幹の部分であり、そこを担当できることがうれしいです。大学院教育には意味を感じ、楽しくありがたく担当させていただいています。
個人的なことでは、わたしは動物が好きです。犬も猫も好きですが、大きな犬がとくに好きです。
 [単著]
「一緒にいてラクな人、疲れる人 ~人に会いたくなる心理学~」(PHP出版,2015年)
「共感的傾聴術 ~精神分析的に”聴く”力を伸ばす~」(誠信書房,2014年)
「ぶり返す、怒り、寂しさ、悲しみは捨てられる ~知られざる大人の”愛情飢餓”」(すばる舎,2012年)
「症状はどう生まれるか ~共感と介入のポイント~」(岩崎学術出版社,2011年)
「傾聴術 ~自分で磨ける“聴く”技術」(誠信書房,2008年)
「やさしいカウンセリング講義」(創元社,2007年)
「大学の授業を変える」(晃洋書房,2004年)
「しあわせの心理学」(ナカニシヤ出版,2003年)
「心理療法入門」 (創元社,2001年)
鵜飼奈津子
(人間科学部教授)
※2016年度研究指導担当
わたしは、大阪府の子ども家庭センターで臨床心理士として勤務した後、ロンドンのTavistock Clinicに留学し、児童・思春期を専門とする精神分析的心理療法の訓練を7年間にわたって受け、日本では3人目となる、Child & Adolescent Psychotherapistの専門職資格を得ました。訓練期間中と、資格取得後の約3年半を含めた10年半にわたるロンドン生活の間、Tavistock Clinicの他、ロンドン市内の公的機関である児童・思春期精神保健サービスや、移民・難民のためのセラピーセンター、日本人のための一般外来クリニック等で臨床を行ってきました。
2008
年に日本に帰国しました。それと同時に「NPO法人子どもの心理療法支援会」の顧問として、発達障がいを持つ子どもや被虐待経験のある子どもへの精神分析的心理療法、またそうした子どもたちを取り巻く家族や関係者へのサポートの普及・発展に関わっています。
大学院では、「臨床心理面接特論Ⅰ,Ⅱ」、「地域発達相談演習Ⅰ,Ⅱ」と「臨床心理学実習」を担当しています。いずれも、臨床心理士として仕事をしていくうえで、とても大切で実践的な科目です。私が日英の両国で受けた教育のそれぞれが持つ良い面と、日英両国での臨床経験を生かしながら、大学院生と共に日々、楽しく研鑽を積ませていただいています。
 [著書]
子どもの精神分析的心理療法の応用(誠信書房,2012年)
子どもの精神分析的心理療法の基本(誠信書房,2010年)

[
主な論文]

子どもの心理療法の結果研究とプロセス研究(臨床心理学 第13巻 第3号 金剛出版,2013年)
子ども理解の複合的視点 ―精神分析的観察、生育史と生活環境という文脈、そして心理テスト―(児童心理NO.942 金子書房,2011年)
面接中の諸問題とその対応(臨床心理学 第11巻 第6号 金剛出版,2011年)
分析家との出会い(遊戯療法学研究 第5巻 第1号,2006年)
クライン(現代のエスプリ 468号 ―対人関係の再発見,2006年)
児童虐待の世代間伝達に関する一考察(心理臨床学研究 第18巻 第4号,2000年)

[
訳書]

ワークディスカッション(岩崎学術出版社,2015年)
乳児観察と調査・研究(創元社,2015年)
児童青年心理療法ハンドブック(創元社,2013年)
子どもの心理療法と調査・研究(創元社,2012年)
学校現場に生かす精神分析(岩崎学術出版社,2008年)
被虐待児の精神分析的心理療法(金剛出版,2006年)
自閉症とパーソナリティ(創元社,2006年)
村山満明
(人間科学部教授)
わたしは、広島大学大学院教育学研究科博士課程前期を修了し、その後は、保育士を養成する学校や大学などで心理学を教える仕事をしてきました。心理臨床に関しては、大学院修了後も引き続き大学の心理教育相談室で研修を積み、また大学の学生相談室、総合病院精神神経科、精神病院などで実践をしてきました。2006度より本学に赴任し、大学院では「臨床心理学基礎実習」と「臨床心理学実習」を担当しています。大学院生の皆さんが2年間で心理臨床の基礎的な事柄を学び、実践の世界に出ていけるようになればと考えています。
特定の理論志向を明確にもっているわけではありませんが、精神分析学やユング心理学を理解の基本としているということは言えるかと思います。また、保育士養成にかかわってきた関係もあって、子どもの成長・発達に関する問題などに関心を持っています。(ちなみに、今はわたし自身が子育てに追われています。)
[主な著書]
少年事件における反社会的傾向の起源はどこにもとめられるか(広島女子大学子ども文化研究センター研究紀要,第5巻,2000年)
気にかかる子どもの理解と援助について ─発達障害に関係する用語の整理と保育者や教師のための基本的指針─ (同,第9巻,2004年)
アクチュアリティの問題群序論(同,第10巻,2005年)
古賀恵里子
(人間科学部准教授)
わたしは信州大学で心理学を学び卒業した後、滋賀県大津市にある明和会・琵琶湖病院に就職し、20153月末までの29年間、精神科医療の現場で仕事を続け、その間、様々な心理社会的困難を抱える患者さんたちと出会いました。臨床心理士として心理査定、個人心理療法、集団精神療法等に従事しましたが、医師、看護師、精神保健福祉士等の多職種でチームを組んで治療に取り組む姿勢を大切に考えてきたつもりです。
私が特に興味をもって勉強してきたのは集団精神療法です。1997年に日本集団精神療法学会に入会し、その後、学会認定のグループサイコセラピスト、更にスーパーヴァイザーとして認定されました。病院で実践していた集団精神療法では、患者さん同士の相互作用が生み出す治療的な力を目の当たりにすることができました。
一方で、さまざまな治療的アプローチが有効に機能するためには、それぞれの治療法を包み込む「環境」が大切であることを長い臨床経験の中で実感しました。ここで言う環境とは、人と人との関係が織りなす環境のことです。人と人がしっかりと情緒的に関わり続けることを可能にする環境です。そこでは、時に痛みを伴うような局面が生じますが、そこにきちんと向き合って「自分に何が起こっているのか」「自分と他者との間に何が起こっているのか」を考え続けることが大切だと考えています。
大学院では「臨床心理査定演習」を担当しています。クライエントへの理解を深めようとするのであれば、自分自身を探索する作業は不可欠です。大学院生も教員も率直に話し合いながら学習を進めることができれば嬉しく思います。
 [著書]
「聴覚障害者の心理臨床」(共著, 日本評論社, 1999年)
「学びやすい精神保健」(共著, 金芳堂, 1999年)
「聴覚障害者精神保健サポートハンドブック」(共著, 聴力障害者情報文化センター, 2005年)
「聴覚障害者の心理臨床・2」(共著, 日本評論社, 2008年)

 [主な論文]
「長期入院患者のグループにおけるリーダー交代」(集団精神療法, 211, 2005年)
「手話と臨床心理士」(こころの臨床alacarte, 244, 2005年)
「精神科通院中のろう者を対象とした集団精神療法」(集団精神療法, 212, 2006年)
「私はグループをどう体験してきたのか」(集団精神療法, 242, 2008年)
「グループセラピストとは何者か」(集団精神療法, 282, 2012年)
 石野泉
(主任カウンセラー)
私は、本学の人間科学研究科附属心理臨床センターの主任カウンセラーです。京都女子大学大学院家政学研究科児童学専攻を修了しました。その後、私設の開業オフィスを主な仕事場とし、同時に高校の相談室や大学の学生相談室でもカウンセラーとして働いてきました。
 私は、私の心とは何なのだろうと高校生の頃から考えていました。それで最初に読んだ本がフロイトの『夢判断』でした。当時は全く理解できなかったものの、人の心の複雑さと深さに対する誠実な姿勢に感銘を受けました。現在も精神分析理論に基づき、心理療法に展開する人間関係を大切に考えて実践を重ねています。
 心理臨床センターでは大学院生が実習をしています。また、心理臨床センターは地域の方々に対する社会貢献のための施設でもあります。この素晴らしい職場で新しく臨床心理士になる方々と共に心理療法ができることはとても嬉しいことです。
 さて、個人的なことですが、私は小さい頃からずっと犬と共に生活していました。今は、老猫の世話をしています。そして愛車をポチと呼んでいます。

[主な論文] 
転移と反復―その防衛機能―
(児童学研究第24号 京都女子大学家政学部児童学科刊1996年)
初回面接における陰性転移の抵抗機能に関する一考察
(児童学研究第26号 京都女子大学家政学部児童学科刊1998年)
病理的身体イメージの臨床像
(児童学研究第31号 京都女子大学家政学部児童学科刊2003年)

注)教員の担当科目は変更する場合があります。