研究関連

細川大輔

問われる日本のグローバル化への対応 【細川大輔】

アジアと欧米 それぞれに軸足

日本はアジアの中に位置しながらも、歴史的、文化的には中国とも東南アジアとも違います。例えば、薩摩藩や長州藩のように、幕府に対抗しうる経済力や文化力を持つ地方の諸藩が明治維新の原動力となった日本と、常に強固な中央集権を取り続けてきた中国とは近代化の過程が違います。また、上座部仏教のタイやカンボジア、イスラム教のインドネシアとも異なります。現代の日本社会は欧米と共通する価値観を基礎としており、今後の日本も欧米との協調関係を軸にしていくことは変わらないでしょう。その一方で、ダイナミックな経済発展と経済統合が進むアジアとの関係も大切にしていく必要があります。このふたつは決して矛盾するものではありません。アジア諸国の中には日本と価値観を共有し、ともに発展しようとする国がたくさんあります。

現在進行中の東アジアの経済統合への動きにおいては、これまで中国が主導するASEAN+3(日、中、韓)のスキームと、日本が提唱するASEAN+6(日、中、韓、印、豪、NZ)の構想が競合していましたが、日本が「環太平洋パートナーシップ協定(TTP)」に参加表明したことで、ASEANのイニシアティブにより日本の構想に基づいた「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」が動き出しています。片足をアジアに、片足を欧米にというのは日本の宿命といえると同時に、大きな力ともなるのです。私はこうした東アジアの国際関係と地域統合の問題を研究しています。

世界を肌で感じよう

グローバル化は避けて通ることは出来ません。そうであるならば、日本はこの試練を積極的に捉えるべきです。幕末の日本人がそうしたように。課題は内なる国際化でしょう。異質なもの、具体的には外国人・外国企業をもっと受け入れていくべきです。そうなったとしても、日本人は日本人らしさを失うことはないと思います。われわれはもっと自信を持つべきです。

講義ではアジア経済論、同特論のほか海外実習も担当しており、隔年でそれぞれベトナムとフランスへ実地研修に出かけます。ベトナムでは、日本企業が進出している工業団地で進出の背景や現状を視察するほか、政府開発援助(ODA)で実施されている青年海外協力隊の活動現場も見ます。フランスでは協定校のビジネススクールでフランスの社会や経済、日本との関係などの講義を受け、ベルギーのブリュッセルにも足を伸ばして欧州連合(EU)本部を訪問し、欧州統合について勉強します。日本のこれからを背負っていく学生たちには、外国の文化・社会や現地の人たちを肌で感じ、海外への関心を高めてほしいと思います。異質なものとの出会いが、自分を発見する大きな機会にもなります。