17歳からのメッセージReport2011

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17歳からのメッセージReport2011

審査講評自分の言葉で意見を語る、その楽しさに出合うきっかけに。今年は東日本大震災という未曽有の出来事の影響があったのだろう。家族をテーマにした、それも祖父母が登場した作品が多かった。三世代の共存など「昭和」を感じさせる作品も見られた。その中で、グランプリに輝いた3作品はそれぞれに輝くものがあった。「反抗期のススメ」は、母親がいない中で弟の面倒を見るという重くなりがちな状況の中で「十五歳のババアは今日も頑張る」と軽妙な文体で明るく描いている。「笑って、笑って」は、お弁当に入っていた何でもお見通しの母からの手紙。その短くも的確な一言にほろりとさせられる。「ばあちゃんのいなりずし」は、読んでいて思わず食べてみたくなるような感覚に襲われる。「僕も孫にいなりずしをお腹いっぱい食べさせてあげたいな」という締めも素晴らしい。どの作品も、自分の言葉で自分の意見をストレートに語っている。今回、感じたその楽しさを今後も続けて欲しい。震災後の日本も、彼ら彼女らに任せておいて大丈夫。太鼓判を押します。地震と津波は、おびただしい数の命と暮らしを奪い去り、自然への畏れを私たちの脳裏に刻みつけました。その一方で、日本人は自らの慎み深さや忍耐強さに改めて気づき、さらには世代を超え、地域を越えた「絆」の大切さを体感することとなりました。全国の高校生から寄せられたメッセージは、必ずしも震災に題材を取った作品ばかりではありません。しかし、選び抜かれた言葉に込めたどの思いも、傷ついた心に「通奏低音」のように響くだろうと思うのです。人と人とのつながり、思いやりや優しさ。大きな悲しみを体験した今だからこそ言わなければならない「絆」の重みです。学校や家庭の日常を切り取った作品であっても、そんなふうに行間まで読んでしまいます。家族とのかかわりを通じて自己を虚心に見つめ直し、未来に思いをはせる、そんな17歳がたくさんいたことも、うれしい発見でした。素晴らしいお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。もっと自慢してもらってかまわない。これなら、震災後の日本を、彼ら彼女らに安心して任せることができること請け合いです。そこまで言い切るのは、楽観的に過ぎるでしょうか。読売新聞大阪本社論説・調査研究室長本多宏氏進研アド『マナビジョンブック』編集長蓮見浩一氏情が「15歳のババァは今日も頑張る」という言葉に端的に表われているように、ほほえましく伝わってくる作品です。「ばあちゃんのいなりずし」は、素朴な文章の中から「ばあちゃんが大好き」という筆者の気持ちがほのぼのと伝わってきて、審査員の中からは「このいなりずしを食べてみたい」という声もありました。今年は特に、東日本大震災に関連した作品がかなり含まれていたことが特徴的でした。中には、お父さんが原発での仕事に志願して行くことになった時に感じた不安と誇らしい気持ちを描いて金賞を受賞した「私の誇り」のように、直接的な体験を描いたものもありましたが、自らは直接被災してはいないものの、被災した地域の人びとの気持ちに寄り添い、自分たちに何ができるかを真剣に考えようとしている作品がたくさんありました。誰もが言葉を失ってしまうような事態の中で、それをあえて言葉にしようとすると、どうしても傍観者的になったり、紋切り型になったりしがちですが、できごとと懸命に向き合い、自分の中の焦燥感や無力感をなんとか表現しようとしている姿が伝わってくる作品がいくつもありました。今回は、①今までの自分、これからの自分②世の中の出来事から考える未来③今、これだけは言いたい!(自由論題)の三つをテーマとしましたが、①と③に比べて②の応募作品は比較的少なく、質的にも少し物足りない印象を受けました。世の中の出来事と日常の自分を重ね合わせ、そこで考えたり感じたりしたことを文章で表現するということはたやすいことではありません。そのことは十分承知の上で、これからそれにチャレンジした作品がもっと増えてくれることを期待しています。04 17歳からのメッセージ