研究関連

研究ピックアップ

経済学部

研究テーマ:戦略的提携と不完備情報の交渉ゲーム理論

「ゲーム理論」という言葉を知っていますか?自分だけでなく相手の決断に大きく影響される状況で、最大の効果や利益が得られる道を探ろうとする理論です。身近な例で説明してみましょう。好きな女性との初ディナーでどのワインを注文すれば良いでしょうか。あまりにも安いと自分の気持ちが軽いものだと思われるし、かといってそんな高いものも払えない。こんなケースもゲーム理論で分析すれば、複数の選択肢の中から女性と今後良い関係を築くためのベストの選択がみえてきます。現在取り組んでいる研究では、だれかと手を組み(戦略的提携)、情報を共有したり隠したりする(不完備情報)状況下で、起こり得る利益交渉や駆け引きをゲーム理論から分析。その理論を企業提携から国家間の自由貿易交渉まで適応する可能性を探っています。


経済学部准教授
宮川 敏治

研究テーマ:日本の高齢者介護保障政策

少子高齢化が進む日本では2000年に介護保険制度が導入されました。しかし、人それぞれ状態も環境も異なる介護に対して、その人自身が望む生活を支援するためには、多くの場面で制度上の課題がみられます。例えば要介護度ごとにサービス利用限度額が一律に決められていること。介護は、たとえ同じ要介護度に認定されたとしても、個々人の精神状態や生活環境によって、その必要な支援は異なります。また、リハビリなどを積極的に行って状態が良くなることはとても良いことですが、要介護度が軽くなることでサービス利用が減り、その結果また状態が悪化してもとに戻ってしまうというような悪循環もみられます。このような政策を作る側と利用する側のミスマッチ解消を目指し、政策や改正内容を研究すると共に現場リサーチから問題点を抽出。改善案を追求しています。


経済学部教授
森 詩恵

経営学部

研究テーマ:アントレプレナーシップ・ 成長中小企業のマネジメント・ 中小企業政策の評価

全企業の99%は中小企業であり、日本経済において非常に重要な存在と言われています。これは日本に限らず、アメリカやヨーロッパでも位置づけは同じ。現在、世界中の中小企業が非常に多様化しており、弱者の立場に甘んじている会社もあれば、なくてはならない存在として優位性を保つ会社もあります。フェイスブックのように世界規模で急成長をとげるボーングローバル企業(創業と同時に市場はグローバル)も登場しています。スタート地点ではみんな小さい会社なのに、なぜある企業は大きく成長をとげ、ある企業は衰退していくのでしょうか。こういったテーマに対して、経営学の視点から客観的かつグローバルにデータを収集・検証。そこから答えを導き出し、経営現場や政策立案者・実務家への情報発信を行っています。


経営学部教授
江島 由裕

情報社会学部

研究テーマ:放送制度と社会的コミュニケーションに関するマスメディアの規範理論の再構築

私たちは身近な事柄から社会規範・政治まで、あらゆる場面でテレビ等のマスメディアに影響を受けています。例えば、テレビで見た「流行」がいつのまにか「自分のお気に入り」に変わっていく。自分の個性を表しているはずの要素さえもテレビによって方向付けられているわけです。このような影響力の大きさから「テレビはこうあるべきだ」という実体の伴わないルールが厳しくなり、逆にそれがテレビの表現をどんどんしばりつけるようになってきました。しかしインターネット時代を迎えた今、人々はテレビのコントロールされた情報に不信感を抱きつつあります。そこで、この研究では本来テレビのあるべき姿や果たすべき役割を追求し、その規範理論を進化させようと試みています。


情報社会学部准教授
林 怡蓉(リン・イヨウ)

研究テーマ:エージェントベース経済学

エージェント・シミュレーションではコンピュータの中にさまざまなタイプの代理人(エージェント)を登場させ、取引などの経済行動をとらせる事によって、結果の推測や仕組みの提案を行います。これをベースにいくつかの研究を進めていますが、その中の1つ、政治経済の分野で投票を扱ったものを例に挙げてみましょう。人はお金がからむと比較的合理的に行動します。しかしお金がからまない投票では、「頼まれたから」「その日の気分で」と合理的ではない行動をする人もたくさん出てきます。このようなモデルをコンピュータに構築し、どうすれば全体の意見構成に近い総意を抽出できるのか、それにはどんな仕組みが望ましいのかを探求する研究も行っています。


情報社会学部教授
細井 真人

人間科学部

研究テーマ:虐待を受けた子どもや発達障害の子どもの精神分析的心理療法

英国対象関係論をベースとした子どもの精神分析的心理療法の実践と研究を行っています。近年、心理療法の世界では、認知行動療法など、比較的即効性のあるものがもてはやされてきました。その経済効率の良さに注目が集まっているんですね。それに比べて、精神分析的心理療法は時間がかかり、費用対効果的には好ましくないと考えられている心理療法です。ただ、即効性のない分、長期的な予後は良好であるというエビデンスが提示されるようになってきています。これは、「いかに早く、安く、結果を出すか」という今の時代の流れには逆行するようですが、じっくり来談者と向き合うことこそ心理療法の真髄ではないでしょうか。日本には、精神分析的心理療法を実践、指導、研究している大学は非常に少なく、本学ではこうした高い専門性を有した臨床心理士を目指すべく、大学院進学への道も開かれています。


人間科学部教授
鵜飼 奈津子