17歳からのメッセージReport2011

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40 17歳からのメッセージ17歳からのメッセージグランプリ学生審査員賞金賞銀賞奨励賞学校特別賞応募参加高校一覧き方を選びたい。徳島県立城東高等学校(徳島県)下山敦志さん存在の意味夜遅く、塾からの帰りにふと空を見た。多くの星が煌めいている。「きれいやなあ。」そう思う。そうして、じっと星を見続けていると、不思議な気分になってきた。「どの星も何万、何億光年も離れている。それだけ宇宙は広いんだ。そんな宇宙の中の一つの小さな惑星にすぎない地球の中でさらに、たった一人のちっぽけな人間でしかない僕はどうして存在しているのだろう。毎日くたくたになるまで部活をして、将来のためにと勉強をする毎日。そして、どれだけ頑張っても、それが報われないこともある。それに、たとえ報われたとしても、この小さな地球すら、とてもじゃないけど変えられる気がしない。こんなちっさい人間の自分に意味なんてあるのかなあ…」そんなことを考えながら、ただいまと家に帰りテレビをつけると、また不況だの環境問題だのと暗くなるようなニュースが流れていた。嫌になってチャンネルを変えると、ドキュメンタリーをやっていた。ある医者が難病を抱える患者を手術して助けるという内容。手術が成功して、患者が喜んでいるとき、その医者は「このときが最高の瞬間だよ」と言った。さっきの疑問の意味はこれが答えなのかなと思い、僕はまた明日も頑張ろうという気になってきた。愛媛大学附属高等学校(愛媛県)河野文香さん思い込み「それって地毛?」一年に一度は言われる言葉である。元々私の髪は少し茶色い。それゆえ、初対面の人に言われることがある。なぜ、この疑問が浮かぶのだろうか。答えは簡単で、日本人は皆、髪が黒いと思い込んでいるからである。だから、あの人は黒くない、染めているのでは、と思いがちのようだ。でも、そう思う人たちでも、外国に行くとどうだろう。いちいち、初対面の人に「地毛ですか」と聞くだろうか。いや、聞かない。奇抜でない限り、きっと聞かない。外国人の髪の色は◯◯色だ、という思い込みが無いからだと思う。そう考えると、思い込みというのは、本当に恐ろしい。この思い込みが、もっと大きな事で、重大なものだったらどうだろう。例えば、◯◯に住んでいる人は悪い人だとか、そういうものだとしたら。説明くらいでは、解決できない誤解を招いたら。そうなった時はどうするのだろうか。正論を言ってしまえば、思い込みをしないことが、大事だ。それでも、思い込みが全くないようにするのは難しい。それならば、例外を認めるくらいの余裕を持ちたいし、持ってほしいと思う。例えば、日本人でも茶髪はいるのだ、とか。愛媛大学附属高等学校(愛媛県)中谷美里さん人類が手に入れた「言葉」「メッセージ」はすごく大切だ。世の中の出来事に意見を持ったり、何かを相手に伝えたかったりするとき、言葉は大きな力を持つ。しかし、それは一歩間違えればとんでもない誤解を生む、諸刃の剣である。CMや、広告など、メディアで発信されるメッセージは、心を持つようなものが多い。たった一言で人の考え方を変えたり、行動を起こさせたりする。今回の東日本大震災もそのいい例だ。被災地の人々のメッセージで、多くの人がボランティアに向かい、多くの寄付金や物資が集まった。誰もが何かをしたいと思い、心が一つになった。しかし、こんなに温かいメッセージがある一方で、それは時として人を傷つける。言いたいと思っていても、いなくても、一度口にした言葉をもう戻すことはできない。たった一言。それだけで一生後悔することになる。言葉とは、人と人とのコミュニケーションの道具とともに、人を傷つけるナイフであることを忘れてはいけない。これからの人生で、多くのメッセージにふれ、学び、感じ、傷つくだろう。しかし、そこからまた新しいメッセージが生まれ、人は成長していく。他の動物にはない、「言葉」を手にした私たちだからこそ、多くの可能性を秘めている。使い方を間違わず、相手のことを思って発するからこそ、メッセージには心を動かす力が込もる言葉になるのだ。愛媛大学附属高等学校(愛媛県)半田桃子さん「おじょうちゃん、これ、もっていき。」電車の中で、男子中学生二人組が笑っていました。誰か他人の人の顔を見て馬鹿にしたように。外は雨が降っていて、私の気分はすでにゆううつだったのに更においうちをかけるような出来事でした。彼らの声は大きく、聞かないようにしていても、嫌でも耳に入ってきました。私は心のどこかで言われているのが自分でないのかと不安になりました。そして自分じゃないと分かった瞬間「ホッ」とした気分になりました。私はなんて自分勝手なんだろうか……。頭の中はたくさんの自分をけなす言葉が浮かんできて、見ていた日本史のプリントを何一つ覚えられないまま電車から降りました。雨はあいかわらず降っていて傘を持っていない私は、タオルを頭にかぶして、家までの道のりを重い足どりで歩きました。「おじょうちゃん、おじょうちゃん」二回くらい呼ばれたのでしょうか。あわてて後ろにふりむくと、おじさんが笑っていました。「これ、持っていき。」おじさんは、ぬれている私を心配したように、傘を差し出してくれました。またいつ会えるかどうかも分からない他人の私に。おじさんの優しさにふれた私は、まるで自分までもが優しくなれた気さえしました。「人に優しくしたら、自分に返ってくるんだよ。」昔先生に言われた言葉を思い出しました。誰かに伝えたくて体がウズウズします。「昨日、とっても優しい人に出会えたよ」と。