研究関連

黒木賢一

独自の「曼荼羅描画法」により 「無意識」の世界に迫る 【黒木賢一】

臨床の現場で学んだことを学生に伝える

 私の専門分野は臨床心理学です。本学で講義しながら、不登校、神経症、躁鬱病、統合失調症などの人たちのカウンセリングを行っています。現在、人格障がいや発達障がいなどが増加しているように、心の問題は時代により変化しているので、常に、臨床の現場で学んだことを学生たちに教えることが大事だと思っています。例えば、不安になったり、何かに怯えたり、一つのことにこだわったりなどの症状の奥には「無意識」の世界があり、そのメカニズムに対してカウンセリング技法のひとつとして「芸術療法」を取り入れています。

 芸術療法とは、描画・音楽・ダンスといったアートを利用した治療法のこと。例えば、虐待やいじめを受けたりして人間関係に傷ついた子どもたちに絵を描いてもらうことで、心の中に溜まっていたものを解放し、トラウマを小さくすることができます。一般的には四角い紙を使用しますが、私は円を描いた画用紙や円の画用紙を用いた「マンダラ描画法」、「マンダラ・コラージュ」を実践しています。上下左右がない円形だと、望遠鏡を覗いた時のような心理メカニズムが働き、その人の無意識の有りようが現れやすいからです。

自分と向き合い、人との関わりを知る

「芸術療法」は本学の実習授業でも導入しています。主な目的は学生に自分自身を知ってもらうこと。その人の無意識の部分が顕著に現れますから、議論などを通して気づきが生まれ、将来の就活で求められる自己分析にもつながります。
また臨床心理の世界をめざす人には、基本的な知識をしっかりと学んでほしい。そのうえで、ボランティアなどを通じて、人は「人と関わりながら生きている」ことを実感することが非常に大事だと思います。
 臨床心理の分野では、2015年9月、「公認心理師」という、日本では初めての心理系国家資格を設ける法律が成立しました。2018年から「公認心理師」の国家試験が始まります。臨床心理を学んだ人たちの活躍の場が大幅に広がると思われ、本学も、質の良い公認心理師の育成をめざしカリキュラムなどの準備を進めています。