卒業生・在学生からのメッセージ・エピソード


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  世界はグローバル化という戦時下にあり
   経営学部経営学科  昭和49年3月卒業  愛知 哲 様

 1975年大経大卒業後コピーライターとしてスタート。1988年東京の広告代理店N社に再就職。バブル崩壊を挟んで、躓きつつも、仕事は前進していたように思う。1998年4月のある朝だった。N社社長から重大な報告があると社員全員緊急招集された。「当社は本日から社名が変わります…」と社長の声。すなわち米国T社によるN社買収について、すでに了承したというのだ。突如降って沸いた信じられない事態。社員は互いに顔を見合わせ、何が起きているのかを測りかねていた。やがて社内がざわつき、局長らが浮き足立った。翌々日には総務局に3人の米国人がやって来て、経理のフォーマットをあっという間に入れ換えた。1週間後、制作局にCEO兼局長としてY氏が来た。Y氏は日本人、元外資系広告代理店の役員。英語と仏語を話す。東大卒とか。カンヌ国際広告祭の受賞者。米国本社とのやり取りをY氏が行う。制作本部長は子会社へ、制作局長は営業局へそれぞれ配転。45歳以上の正社員は全員リストラ。Y氏による大胆な人事。すなわち傀儡政権。日々疑心暗鬼、砂嵐舞う社内。T社はなぜN社のようなちっぽけな代理店を買収したのか。2年後、ようやくその答えが見えてきた。N社の主クライアントはN自動車会社。世界企業だ。この会社の広告事業を世界規模で奪取する。そのアジアでの足掛かりとしてN社が選ばれたのだ。驚いたのはこの件に関して、日本の大手広告代理店H社と水面下での業務契約があったことだ。北米、欧州、アジア、日本、それぞれをT社とH社の2社で活動し、適宜分配を行う。遠大にして周到な世界戦略。中堅の広告代理店N社はそのための捨て石として利用され廃棄された。世界はいまグローバル化という戦時下にある。うかうかとしてはおれない。だからこそ「それは何を意味するのか」を、目を凝らして見つめなくてはならない。ぼくはその翌年の春ついにリストラされた。あの朝の緊急会議で社長は言い放った。「たとえ社名は変わっても私は一人の解雇者も出さない」と。しかしどうだ、400名いた社員は5年後120名になった。すなわち弱肉強食の世の中、しかしたとえ組織が呑み込まれ消え去っても、個人は消えることはない。個人は弱者であってはならない。足元を見つめ今自分に何ができるかを考え行動することで、必ず明日は開けていく。そのことを深く肝に銘じている。

 

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