【経営学部】地域企業連携実習(2023年度)後編

「志プロジェクト」最終成果報告会を実施

稲岡大志准教授が担当する「地域企業連携実習」の2023年度秋学期の授業で取り組んできた「志プロジェクト」の最終成果報告会を2月8日に実施しました。(【前編】企業と大学を結びつけ、人材育成と地域活性化を目指す「志プロジェクト」)今回は求人施策・コンテンツをテーマとし、受講生は4つのチームに分かれて担当企業と交流を重ね、学生ならではの視点を活かした提案を行うべく、取り組みを進めてきました。報告会には、本プロジェクトに協力いただいた企業の方にも参加いただき、学生の発表を聞き入りました。
 
プロジェクト参加企業
◉株式会社アピックス
 デジタル印刷、総合文書情報管理サービスを中心としたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開
◉千房ホールディングス株式会社
 お好み焼き「千房」を全国・海外展開、冷凍食品販売も手掛ける総合外食企業
◉株式会社日本電気化学工業所
 アルミニウムの腐食を防止する表面処理加工の専門企業
◉日本鏡板工業株式会社
 化学・食品プラント施設などに用いられる、圧力容器用の「鏡板」を製造・販売

チームごとに特色ある求人施策・コンテンツを提案

各チームは、それぞれの担当企業の特色や人材採用の課題を踏まえた求人施策・コンテンツを提案しました。発表内容をご紹介します。
 
【発表内容】

株式会社アピックス チーム

就活生が情報収集のために活用するインターネット上で、同社の良さが伝わる情報が少ないと指摘。また、日本企業で働く意欲のある外国人の雇用に着目し、海外人材向けのインターンシップ採用を提案しました。インターンシップ採用では、相互に理解を深めてから入社につなげることが可能となります。同社が先駆けとなり、周囲の企業にも海外人材採用に向けた取り組みを広めていってほしいとの期待を語りました。

千房ホールディングス株式会社 チーム

就活生が企業を選ぶ基準から見た同社の強みと弱みを分析した上で、具体的な採用計画を提案しました。さまざまな価値観を持つ大学生とマッチングするためのコース別採用、採用コスト軽減とマッチングミス防止を狙いとしたアルバイトから始めるエスカレーター採用、同社の魅力をSNSで発信した応募者の中から選出するSNS採用、人材不足を補うサポーター社員の採用と、多様な角度から考えた人材採用案を提示しました。

株式会社日本電気化学工業所 チーム

企業取材時、求人チラシをなかなか手に取ってもらえないという課題を聞いたことから、人の目に留まるチラシとイメージキャラクターの作成に取り組みました。リクガメとアルミニウムをモチーフに、「トークル」と名付けたキャラクターを考案。企業理念を記号で表すなど、同社の特色をキャラクターの中に取り入れました。チラシは、インパクトのあるデザインを採用し、同社が求める人材像をキャッチコピーで表現しました。

日本鏡板工業株式会社 チーム

同社の公式キャラクター「鏡ミライ」が登場する、約12分の動画を作成しました。動画の前半ではキャラクターが工場を案内して「鏡板」の製造工程を説明。後半は取締役社長、営業部と製造部の社員が登場し、経営理念に込めた思いや会社の魅力、学生へのメッセージなどを語ります。キャラクターを活用して親しみやすさを演出しながら、業務内容や社風、同社で働く人の思いが伝わる動画が完成しました。

企業と学生の双方に新たな気づきをもたらしたプロジェクト

発表後は、企業の方と学生との交流会を実施。発表の感想を話し合うなど、和やかな時間を過ごし、今回のプロジェクトは終了しました。
 
企業は、「学生ならではのフレッシュな発表が良かった」「密度の濃い取材を行い、発表につなげていた」「取材を通じて、その企業のアピールポイントを見つけてくれた」と、取り組みを評価。また、「学生側からの忌憚のない意見を聞けたのは貴重な機会だった」「今の学生の就活のやり方や興味を持つポイントが分かった」といった声が聞かれ、企業にとっても価値のある取り組みとなったようです。
 
稲岡准教授は、「企業に連絡・訪問する、プレゼンを行うなど、学生には緊張やプレッシャーを感じる場面の多い授業だったでしょう。これらを乗り越えて責任感を持って取り組み、成果発表というゴールまでたどり着くことができ、学生たちは頑張ったと思います。他チームの学生とも情報を共有して意見を出し合い、より良い成果のために協力して活動できたのが今年度の取り組みの良かった点です」と振り返ります。
 
また、学生にとってこのプロジェクトは、企業を見る目を養う場にもなっていると稲岡准教授は言います。「実際に企業を訪問して話を聞くと、空気感や熱量といった、インターネットなどの文字情報からは得られないものが感じ取れます。しかも、これほど率直に企業人と学生が話せる機会はなかなかありません。例えば、経営理念や社訓なども、経営者の考えが分かると学生側の受け止め方が変わってきます。知名度や企業規模の大小にとらわれず、いい会社とはどのような会社なのか、考える機会になると思っています」
 
企業と学生との交流を通じ、新たな気づきや学びを双方にもたらす「志プロジェクト」。次年度はまた別テーマを設定し、継続していく計画です。

学生の声

中井 千陽 さん(2年・株式会社アピックス チーム)
企業と関わる取り組みを経験したのは初めて。一つの企業について深く知り、勉強になることが多かったです。ビジネスの場におけるマナーも学べました。授業内では他の受講生にならってプレゼンの練習を行い、プレゼンスキルを向上させることができました。
 
江草 宏海 さん(4年・千房ホールディングス株式会社 チーム
企業説明会のように企業側の話を聞くだけではなく、自分で考えた質問ができるので興味深く話が聞けました。学生と社会人の考え方の違いなどを知れました。また、チームのメンバーと役割分担をして力を合わせ、成果物を完成させることができました。
 
小谷 僚 さん(3年・株式会社日本電気化学工業所 チーム)
自分から積極的にコミュニケーションを図ることを心掛けました。チームで活動する中で自分の意見を伝え、それぞれの力を活かして取り組みを進められたと感じています。企業に取材した内容を盛り込んだ独自の成果物を作成することができ、達成感を得られました。
 
鎌仲 奏太朗 さん(2年・日本鏡板工業株式会社 チーム)
最後までやり切れたのは、企業の方々のサポートのおかげ。社員の皆さんと関わる中で、その企業の良さを知ることもできました。成果物の完成度をもっと高めたかったという反省点はありますが、人との関わり方や計画的に取り組みを進めることなどにおいて、自身の成長が感じられました。