学部/大学院・教育内容

楠本 秀忠

高等学校での模擬講義・内容詳細

テーマヒトの反応について
担当教員楠本 秀忠(人間科学部 人間科学科)
講義内容ヒトの四肢を含め、目、耳、は左右対称にできています。ヒトの体は、視覚的に捉えれば左右対称になっています。しかし、機能的に見れば全く同じ働きをしていると言えるでしょうか。周知の様に細かく見れば、左と右とでは、機能的には非対称性を持っています。皆さんが感じるこの左右差は、利き手と非利き手の違いとして、認識されていると思います。それでは、この違いは、先天的に決まったものなのか、それとも後天的にトレーニングすることで変更することが可能なのでしょうか。この疑問は、スポーツに興味がある人にとって長年解決されていないものではないでしょうか。身近な例を挙げますと、バス等に乗車中に急に揺れた時、とっさに出る手は、どちらでしょう。生徒にこの質問をすると、決まって「右利きは右手」と答えてくれます。では、野球を長年行っている右利きのヒトはどうでしょう。左手でキャッチするトレーニングを続けているために、非利き手である左手の方が先に出る可能性はないでしょうか。ここで取り上げた「ヒトの反応について」というテーマは、これらの疑問を生徒の皆さんに投げかけることによって、ヒトの体の不思議さに気付いてもらい、スポーツや運動に興味を持っている人に、少しでも科学的な視野をもって、今行っているスポーツへの視点を広げることを目的に、講義を行っています。具体的には、ヒトが何かに反応するという行為を簡単に説明しつつ、実際に「反応棒」を用いて、各自が左右の反応時間を測定し、左右差について、質問を投げかけることによって、生徒の皆さんの興味を喚起するような講義を展開してます。

これまで、予備的に棒反応実験を行い、左右手の差異について500名を超える被験者を用いて検討してきました。その結果、両者に統計的な有意差は認められませんでした。しかし、棒反応実験では、多くの測定誤差が含まれるため、さらに詳細に解析する必要があると判断し、光刺激反淳反応時間測定装置を自作し、利き手非利き手の反応時間の測定を行ってきました。その結果、利き手と非利き手の反応時間の間には統計的に有意な差異がありました。この差異の要因として大脳・α運動ニューロンの興奮性、一つの運動ニューロンとそれに支配された筋線維群の動員パターンの違い、動員される筋線維の違いなどが示唆されています。現在は、測定の例数を増やすとともに。下肢についても、同様に検討を行っています。