学長・野風草だより

No.744

No.744 2016年11月1日(火)

3期目の学長就任にあたって

 秋深しです。左京・吉田の自宅から鴨川沿いに自転車で四条の河原町駅まで走って、32年が経ちました。早いものですね。最近、河原でススキの穂波をよく見かけ、秋を感じさせてくれます。農業史の研究仲間に話しますと、とんでもない事実が明らかとなりました。これはススキではなく、オギ(荻)なのだそうです。同属ですが、乾いたところにススキ、湿ったところにオギというすみ分けがあるそうです。ええっ!!!そして以前はセイダカアワダチソウが繁茂していたはずやのに、ススキに変わったんだなと思っていたら、セイタカアワダチソウは、他の植物の生育を阻害する物質を根から分泌するために、一時的に植生密度が高まるが、しばらくすると己の毒で消えていき、その後にはその風土に適合している植物が繁茂することになりますと、教えていただきました。少しのことにも、先達はあらまほしき事かな・・・
 秋は実りの季節です。我が家の庭の「そよご」も赤い実をつけてくれています。雌雄異株で、雌株にだけ実がなります。風に吹かれて葉がこすれあうと、「そよそよ」と音を立てるところから、「そよご」の名前がついたそうで、粋ですね。吉田山からメジロ、シジュウカラ、ヒヨドリなどの鳥たちが、赤い実を食べに来るのを楽しみにしています。縁側にじっと座って、バードウォッチングです。

 11月1日より、3期目の学長を拝命いたしました。大変光栄なことです。今後ともよろしく、ご指導、ご支援のほどお願いいたします。
 この2期6年間、私は、「ゼミの大経大」「マナーの大経大」「就職の大経大」の3つを一貫して掲げ、大学改革を進めてきました。ご支援、ご協力いただいた教職員、関係者の皆さまに心から感謝いたします。高校・予備校などからも「ゼミの大経大」教育の評価が定着してきており、4年連続の志願者増につながっています。マナーアップ活動や体育クラブの近隣地域の子供たちを対象にしたキッズカレッジの活動に対して、12月には大阪市体育協会から特別表彰を受けることになりました。進路支援センターを中心とした就職支援、キャリア教育は、「就職の大経大」にふさわしい活動を行っており、就職希望者に対する就職率は90%弱までなりました。
 こうした活動の中で、何よりも学生さんたちが大きく成長してきてくれているのは、大きな喜びです。ゼミでの付き合い、クラブへの応援、就職後に会う卒業生などなど、6年間、学長として教育の仕事に携われたことに感謝しています。

 教育の質保証とよく言われますが、教職員の皆さんの努力により、地道に学生たちの大経大へのアイデンティティを高めて、満足度を高めてきました。何事も人と人との交わりが「教育」です。フランスの詩人ルイ・アラゴンが言ったように、「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」です。目先の成果だけでなく、生きる希望を育てていく、傲慢・怠惰ではなく、誠実に生きていくこと。これが教育の原点であり、決して忘れてはいけないと思います。私がこの間、「そっと手を添え、じっと待つ」教育を主張してきたのも、同じ意味です。初代学長の黒正巌博士が言われた「道理は天地を貫く」もまた、この教育の到達点を表現したものでしょう。何よりも学生目線で一人ひとりの学生を大事にしていくことが必要です。日ごろから学生と接している現場の教職員の意向が尊重されなけれななりません。そして、筋を通すべきところは、きちんと筋を通していかなければなりません。
 この6年間で「地固め」ができたように思います。陸上競技の3段跳びではありませんが、ホップ・ステップ、そしていよいよ3期目はジャンプです。2022年の90周年に向けて、大経大をさらに大きく飛躍させたいと思います。とくに新学部や新学科の創設など、全学的な再編、組織的な改革を重点的に進めて参りたいと思います。中規模の都市型大学として、「人文・社会系の総合大学」をめざしていきたいと思います。理事会とも緊密に協力しながら、各学部での議論と合意を尊重しながら、全学で一致して改革を進めて参ります。
 これからの3年間、「つながる力。No.1」の心で、以前にもまして、ご支援、ご協力のほどお願いいたします。