【経済学部】海外実習ドイツ(2023年度)

環境都市フライブルクで再生可能エネルギーについて考える

経済学部の正課科目「海外実習(ドイツ)」は15回の事前授業を経て、9月9日~17日(日本時間)の日程で、ドイツ南西部フライブルク市内および近郊地域でフィールドワークを行いました。参加学生は、経済・経営・情報社会・人間科学部の2~4年生の計16名。新型コロナ感染症の影響もあり5年ぶりの開講となりました。

この科目は、EU(特にドイツ)の温暖化対策、再生可能エネルギー普及を支えるシステムについて学び、再生可能エネルギー普及にたずさわる市民・学生と交流することを目的としています。春学期の講義でヨーロッパとドイツの政治制度、エネルギー政策、地球温暖化対策について基礎的知識を学んだ上で、現地ではドイツの温暖化対策と再生可能エネルギー資源普及活動についてフィールドワークに取り組み、帰国後にレポートをまとめます。
 
今回訪問したのは、ドイツ南西部、スイス・フランスと境を接する地方で「環境首都」と呼ばれるフライブルク市とその周辺「黒い森」地域。温暖化対策の先頭を走るフロントランナーとも言える場所です。現地では、気候危機やドイツの再生可能エネルギーについての講義を受けたほか、学生自身が市内のウォークラリーや省エネを考えるワークショップなどを行いました。
 
フィールドワークでは、フライブルク市にある包装フリー・量り売りの食品店や廃棄物処理センターをはじめ、市内でも先導的な取り組みを実施しているヴォーバン地区を訪問。木質バイオマスを利用した地域熱供給システムや、自動車を持つ必要がなく省エネルギー住宅を中心に作られた町など多彩な現場を視察しました。またフライブルク市近郊の「黒い森」にある再生可能エネルギーで自給自足するフライアムト村では、村全体で取り組む風力発電や太陽光発電、バイオガス発電等のほか有機酪農を視察しました。
また「黒い森」の農家を訪ねた際は、有機農産物を活用した伝統的な郷土料理を、フライブルク市内の大聖堂ではパイプオルガン演奏など現地ならではの文化も楽しみました。

学生の声

矢田 将之さん(経済学部1年)
訪問先の中で最も印象に残った場所は、ごみ処理施設「エネルギーの丘」です。なぜなら、日本とドイツの物の見方の違いを目の当たりにしたからです。 
そこでは、ゴミの廃棄を出来る限り削減する工夫がなされていました。日本ではゴミの分別は細かく先進的ではあるものの、ゴミの活用はドイツの方が断然優れていました。 
このことから、現在の日本のいい文化を保ちつつ、さらにドイツのように広い視野を持ちながら、環境問題について考えるべきだと感じました。

木暮 風夏さん(人間科学部2年)
この海外実習で印象的だったのは、プラスチック包装フリーのお店Glaskiste”ガラスの箱”です。瓶の中に入っている洗剤や食べ物を、持参した容器に入れ必要最低限の量を購入し、足りなくなったら継ぎ足しするといった方法をとっていました。低価格だからまとめ買いしておこうという思考はなく、それどころか梱包するプラスチックや取引の際に使用する袋でさえ、削減が徹底されていました。こういった小さな積み重ねが環境を守る為に不可欠だという固い意思が、日本人とは大きく違うなと感じました。また、使い終わった瓶やペットボトルを返却するとデポジットが返ってくるという仕組みはとても画期的で日本も導入したらいいのになと思いました。

西田 慶太さん(経済学部3年)
私が実際に見て印象に残ったものは、自動車がいらないまちづくりです。フライブルク市内中心部や住宅街のヴォーバンでは、車の便利さよりも、歩行者や自転車、電車などが使いやすいまちづくりすることにより、環境問題の解決や安全性向上に繋がり、誰でも住みやすい街になっていると感じました。そして、そのような街になったきっかけは市民参画なので、日本でも一人ひとりが環境問題などへの関心を持ち、積極的に意見を言うことが大切だと学びました。