本学日本経済史研究所が保管する歴史資料につき、国の文化審議会により、重要文化財の指定にかかる文部科学大臣への答申がなされました。
 
・部門   歴史資料
・指定名称 飛脚問屋井野口屋記録(ひきゃくどんやいのくちやきろく)
・所有者  学校法人大阪経済大学(保管 大阪経済大学 日本経済史研究所)
 
飛脚問屋井野口屋は、享保 8年(1723)に尾張藩から御用飛脚(ごようびきゃく)の認可を受けた後、明治 2 年(1869)まで、藩主や家臣の書状・金銭・荷物等の輸送を無償で請け負う代わりに、同藩領内の町村と主に京・大坂との間の通信運輸業務の独占を認められました。
『飛脚問屋井野口屋記録』(以下「本記録」)は、井野口屋内部で作成されたものとみられ、袋綴装(ふくろとじそう)四ツ目綴(よつめとじ)の冊子装 33 冊からなります。記事の時期は享保8年(1723)から天保14年(1843)にわたります。井野口屋山田家の由緒、尾張藩の御用飛脚を務めるに至った経緯、その後の尾張藩との交渉や営業、家政等の記事が収録されています。
飛脚問屋の家に伝来した資料が限られる中で、本記録は名古屋や京・大坂で活躍した町飛脚について、成立期から衰退期までの経営を俯瞰することができる貴重な史料で、社会経済史上に学術的な価値が高いという理由により、指定の運びとなりました。
本記録は、戦前、当研究所の代表理事だった本庄栄治郎らによる史資料収集事業により当研究所に収蔵されたものとみられます。