日本経済史研究所の紹介

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研究所の概要

日本経済史研究所は、世界の中の日本、アジアの中の日本という広い視野を大切にし、経済史研究にとって有意義な史資料の収集、多様な学術情報の公開、講演会の実施などを通して、経済史研究の発展への貢献、経済史研究と社会との関係の深化を目指しています。

所長あいさつ

新たな知見を創り出す

日本経済史研究所所長 閻 立(えん りつ)
 

 昨年を振り返ってみるとCOVID-19の流行に伴う世界的混乱について語らないわけにはまいりません。人間や社会の在り方を考察する歴史学はこのような文明の転換期にこそその真価を発揮し、より良い未来社会の実現に向け、新たな知見を創り出すことが求められます。
 新型コロナの影響に伴って日本経済史研究所主催の2020年度春学期の研究会と講演会を全て中止とするなど、従来の研究活動に大きな変化を余儀なくされました。こうした状況の中、研究所は急遽環境を整備してオンライン研究会へ転換しました。202010月にZOOMでのオンライン研究会を開催し、125日に対面とオンライン併用形式で第100回経済史研究会を開催しました。1995年の1回目から202012月の100回目まで、数多くの日本および海外の研究者が研究報告を行い、様々な分野にまたがって学際的な交流を蓄積してきました。
 そして、資料調査が制限されたことも研究者にとっては最大のコロナ禍でありました。研究所の活動の柱の一つである『経済史文献解題』データベースを、どんな状況であっても研究者たちの研究活動に役立つデータベースとして提供し続けることは研究所の使命でもあります。以前より、データベースを時代にあったより良いものに変えていこうと準備を重ねてきたこともあり、2020年よりシステムの再構築に取り組み20216月に新システムとして公開を予定しています。
 研究所がよりいっそう社会にとって価値ある魅力的な組織となり、日本経済史を中心に個々の専門的な研究をマクロな知の体系と関連付け、その存在感を示せるよう、研究所一同、努力してまいります。今後とも日本経済史研究所の活動にご協力、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


令和3年5月

研究所の沿革

 1926(大正15)年4月、京都帝国大学経済学部において本庄栄治郎教授の日本経済史演習が開始され、農学部の黒正巌教授、彦根高商の菅野和太郎教授も参加しました。黒羽兵治郎氏ら演習参加学生も含めたこの集まりは、やがて 経済史談話会、京都経済史研究会へと発展しました。
 1929(昭和4)年7月、本庄・黒正・菅野・同志社大学教授吉川秀造・大蔵省嘱託松好貞夫の5氏を委員として経済史研究会が組織され、11月から月刊誌『経済史研究』の刊行を始めました。
 同じ年にフランスではアナール学派の『社会経済史年報』が出され、1927(昭和2)年にはイギリスで『経済史評論』が創刊されています。経済史研究会と『経済史研究』は、まさに国際的な社会経済史研究興隆の一翼を担ったといえるでしょう。
 1932(昭和7)年12月、日本経済史研究所設立のために協議会が開かれました。大阪経済大学の前身である昭和高等商業学校の初代校長であった黒正巌博士は、私財を投じて京都帝国大学農学部隣接の土地約300坪を購入し、研究所の建設にとりかかりました。1933(昭和8)年515日に晴れて開所式が行われ、代表理事には本庄氏が就任し、理事として黒正・菅野・中村直勝氏が名を連ねました。
 研究所は幅広い事業活動を行い、全国にその名が知られるところとなりましたが、第二次世界大戦の激化によって活動は困難となり、『経済史研究』も1945(昭和20)年1月で終刊を余儀なくされました。
 1948(昭和23)年、研究所の図書は新制大学設置のため大阪経済専門学校に移管されました。翌1949(昭和24)年大阪経済大学が発足し、黒正巌博士が学長に就任しましたが、同年9月に急逝し、研究所の再開は宙に浮いたままとなりました。しかし、本庄、吉川、江頭恒治、堀江保蔵、黒羽、宮本又次、三橋時雄の各氏らの努力により研究活動は続けられました。
 そして、1959(昭和34)年頃から大阪経済大学日本経済史研究所として活動が再開されました。その後、歴代所長、研究所員、職員の熱意と尽力によって、経済史研究会の再開、『経済史研究』の復刊、『経済史文献解題』のデータベース作成、一般向け講演会など、多様な活動が行われるようになり、現在に至っています。

研究所略年譜

1929年7月「経済史研究会」が発足   
1929年11月月刊『經濟史研究』刊行
1933年5月日本経済史研究所開所
京大農学部の隣接地に建設
本庄栄治郎が代表理事に就任
1940年1月『日本経済史辞典』刊行
1946年11月研究所屋進駐軍に接収
1948年7月研究所図書を京都から現大阪経済大学へ移す
1949年9月黒正巌学長が急逝
1955年3月『経済史年鑑』(経済史研究会編)復刊第1冊刊行
1960年3月『経済史文献解題』(大阪経済大学日本経済史研究所編)昭和34年版刊行、以後毎年刊行
1961年3月研究叢書第1冊刊行
1974年3月史料叢書第1冊刊行
1983年7月日本経済史研究所開所50周年記念行事挙行
1995年7月第1回 「経済史研究会」開催
1997年1月『経済史研究』第1号刊行
1998年3月キャンパス整備計画により研究所がA館からG館1階に移転
1998年4月第1回「20世紀史研究会」開催
1999年7月第1回寺子屋「史料が語る経済史」開催
2000年7月研究叢書第10冊『20世紀の経済と文化』刊行
2000年9月学術シンポ「20世紀における社会経済史学の誕生と黒正巌」 開催
2001年3月研究所要覧を発行
研究叢書第11冊『社会経済史学の誕生と黒正巌』刊行
2001年10月写真展「上新庄と経大70年」開催
2002年5月「東アジア農業史国際シンポジウム」開催
2002年9月『黒正巌著作集』全7巻刊行
2003年4月文部科学省「オープン・リサーチ・センター整備事業」に選定され、経済史文献解題データベースの開発に着手
2003年5月日本経済史研究所開所70周年記念行事挙行
70周年記念論文集『経済史再考』刊行
第1回「春季歴史講演会」開催
2003年11 月第1回 「秋季学術講演会」開催
第1回「日本経世済民史研究会」開催
2004年4月「教育学術コンテンツ」補助金に採択され、経済史文献解題の遡及データ入力に着手
2005年7月第1回「日本経済史研究会」開催
2005年12月「経済史文献解題データベース」を日本経済史研究所ホームページ上で公開
2006年8月研究所要覧を改訂発行
2007年 12月文部科学省「オープン・リサーチ・センター整備事業」の一環として、国際シンポジウム「東アジア経済史研究会」(第50回経済史研究会)を日本・中国・韓国の9大学の研究者を招聘して二日間にわたり開催      
「経済史文献解題データベース」の英語版検索 システムを公開
2009年3月「経済史文献解題データベース」において、『経済史年鑑』復刊第1冊(昭和30年刊)までの遡及を完成
2010年2月研究叢書第17冊『東アジア経済史研究 第1集―中国・韓国・日本・琉球の交流―』として刊行
2012年3月研究所がG館3階に移転
2015年1月『経済史研究』研究所開所80周年記念号(第18号)刊行
2015年12月第80回「経済史研究会」開催
2016年10月研究所要覧を改訂発行
2020年12月第100回「経済史研究会」開催
2020年12月『経済史文献解題』データベース システム再構築に着手
2021年 8月『経済史文献解題』データベース 検索システムリニューアル公開