報告会当日は、江島ゼミから参加した3チームのほか、京都産業大学経営学部(2チーム)や近畿大学経営学部(3チーム)が最終成果報告会に挑みました。パートナー企業にはコンサルティング会社や物品レンタル会社、パッケージ制作会社などさまざまな業界から8企業がエントリーしました。
2番手で登場した江島ゼミBチーム。パートナー企業であるIKIGAI WORKS株式会社は、さまざまな組織の健康増進、エンゲージメント向上を支援する企業。今回は、「学生による学生のためのIKIGAI企業のモノサシ作成」「マイプロジェクト(※1)作成」「IKIGAI企業のPR」というお題が出されました。それに対してBチームは、「学生はネームバリューや周囲の評価を気にして就職活動しているのではないか」という課題提起をもとに、①自分にとって良い職場とはなんなのか ②どうすればマイモノサシ(※2)を発見できるのか、という2つの問いを掲げることからスタート。
※1 マイプロジェクト…過去の経験を振り返ることにより、自分の中に眠っている本当の気持ちを認識し、プロジェクトという形に移すことによって生み出されていく世の中との繋がりであり、またその手法、場所、哲学のこと
※2 マイモノサシ…働きがいを感じられる企業の魅力を測るために個々人が定める基準
まずは自分自身の過去の経験を振り返り、マイプロジェクトを作成。発表を担当した学生は、陸上競技を13年間続けた結果「自分の好きなことは長く続けられる」というマイプロジェクトを作成し、それを基に「自分がしたいことが実現できる企業」というマイモノサシを定めました。その後、他者の視点を得るために経営者の方々へのインタビューを実施。インタビューした方々のマイプロジェクトを学生がまとめます。そこである経営者の「関わるすべての人をハッピーにする事業」という価値観に心動かされた学生は、「自分がしたいことが実現できる企業」から「世界中の人を幸せにできる事業を展開する企業」へとマイモノサシを変更。この完成した「マイモノサシ」を使って、就職を希望する企業を探していきます。さらにこの一連のプロセスを他の学生にも追体験してもらうため、複数の質問項目に回答していく形式のオンライン診断システム「かちノシス」を作成。「かちノシス」利用者はその診断結果から、自分の価値観に合った企業のPRページ(経営者インタビューを基に学生が作成)を見ることができるという提案を行いました。
4番手の江島ゼミCチームは、コクヨマーケティング株式会社からの「文房具やオフィス家具の企業向け通販サイト・べんりねっとの市場シェアを拡大する」というお題に取り組みました。これに対してCチームは社会課題解決という観点から「障がい者の方がより働きやすいオフィス空間を創造する」というゴールを設定。
実際の企業訪問から「自分の(障がいに)合う家具がない」などの課題をピックアップ。次に、ショールームに足を運ぶなどの移動が困難な障がい者に配慮し、メタバース空間上で、障がい者向け家具やオフィス空間を公開します。メタバース空間で家具やオフィス空間を疑似体験した人たちの意見を集約し、それらを反映した家具や、オーダーメイド可能な商品を作成。それらの商品をべんりねっとで販売するという解決策を提案しました。さらに「メタバース空間ではなく実際に試したい」という人向けにはコクヨマーケティングのショールームを活用する、「自分の意見が反映された商品が実際に販売されているのか分からない」という問題には、べんりねっと利用者にIDを付与して個別に情報を提供する、などのこまやかなフォロー案も提案しました。
8番手で登場した江島ゼミAチームは、パッケージ制作会社・株式会社明成孝橋美術から出された「社会課題を解決し、ありがとうを伝えるパッケージデザインを作る」というテーマで活動。自分たちにとって身近な「フードロス」という社会課題を解決するために、家庭などで余った食料品をフードバンクや慈善団体に寄付する活動である「フードドライブ」を行い、食材を運ぶ段ボールを制作するという提案をしました。フードドライブを実際に行っている団体に訪問したことで、Aチームは、①人手不足 ②認知度向上 ③物流費の捻出に着目。フードドライブの拠点として小学校を活用し、子どもたちに食材を持ってきてもらうことで①、②を解決し、給食センターなどの学校出入り業者の協力を仰ぐことで③を打開しようと考えました。肝心の段ボールは統一デザインにQRコードを記載し、寄付した人・された人がお互いに「ありがとう」を伝えられる投稿フォームを作成することを提案しました。