【2023年度】本村光江ゼミ 人と動物の共生について議論

奈良県で3学年合同ゼミ合宿を実施

動物福祉に関わる新たな知識を得て、ゼミ生の交流も促進

経済学部の本村光江ゼミは、2023年11月21日から22日の2日間、奈良県でゼミ合宿を実施しました。「うだ・アニマルパーク」で人と動物の共生について学ぶプログラムに取り組んだほか、歴史ある町を散策するなど、地元の方々とも交流しながら奈良県宇陀エリアの旅を満喫。2~4年生のゼミ生31名が参加し、学年の垣根を越えてゼミ生同士の関わりを深める機会にもなりました。

うだ・アニマルパークで「いのちの教育」を受講

本村ゼミでは、動物福祉の考え方をベースに人と動物との関係に関する研究を行っています。今回のゼミ合宿の最大の目的は、うだ・アニマルパークの動物福祉に関わるプログラム「いのちの教育」を体験すること。このプログラムでは、動物にも感情や要求があることを知り、私たち人間と同じ「いのち」を持つ動物がより良く生きるために、人がどのような責任を負い、果たすべきなのかを考えます。
 
合宿1日目、うだ・アニマルパークを訪れた学生たちは、アニマルパークのスタッフから動物福祉についてのレクチャーを受けた後、6グループに分かれ、人と動物が関わる中で起こるさまざまな問題についてディスカッションをしました。多頭飼育、動物実験、高齢者とペット、野良猫との関わりなど、各グループでテーマを設定。動物たちのどのような自由が奪われているか、人間社会にとっての問題は何か、どうすれば人と動物の共生がより良い形で実現するのか、動物福祉の考え方を踏まえて議論を深めていきます。問題を明らかにした上で解決策を探り、最後はグループ発表を行いました。
 
動物実験をテーマにしたグループの安藤正真さん(3年生)は、「難しいテーマなので途中で議論に行き詰ってしまいましたが、アニマルパークの獣医師の方から『動物にいかに恐怖やストレスを与えないようにするかという観点から考えればいいのでは』との助言を受けたおかげで、積極的に意見交換することができました」と振り返ります。太西彩月さん(4年生)は、「高齢者とペットの問題を取り上げた私のグループでは、宅配システムを活用して高齢者宅にペットのエサを届けるといったユニークな意見も出ました。グループワークだからこそ、いろんな意見が聞けて興味深かったです」と話します。

一方で、他グループの発表を聞くことで、それぞれの問題について考えるきっかけにもなりました。「私はペットを飼っていることもあり、高齢者とペットの問題は他人事ではないと気づきました。人と動物の関わりの中で多様な問題があるのだと認識でき、動物のためにできることをしっかり考えていかなければならないと思いました」と、堀瑠菜さん(4年生)は言います。普段のゼミ活動とは異なる環境下で、専門家の助けを得ながら進めるグループワークは、新鮮な気持ちで取り組めたのでしょう。どのグループも「活発に議論ができた」と、学生たちは活動に充実感を得られたようです。
 
またアニマルパークでは、ヤギ、羊、牛、馬などの動物と触れ合うこともできます。「思っていた以上にたくさんの動物がいて驚きました」と、井上梨夢さん(4年生)。「エサやりをし、間近で触れ合えて楽しかったです。観察していると、おとなしかったり活発だったり個体によって性格が違うことが分かります。たくさんの動物がいたからこその発見でした」

廃校を活用した施設に滞在し、深まったゼミ生の関わり

宿泊先は、廃校になった小学校を利用した「奈良カエデの郷ひらら」。1935年に建築された木造校舎をそのまま活かしつつ、リニューアルした施設です。昭和の時代に紛れ込んだようなノスタルジックな雰囲気。周囲は自然に囲まれ、日常では味わえないすがすがしい空気が感じられます。夜は賑やかにバーベキューを楽しみました。施設は貸し切りで人里からも離れているため、気兼ねなく過ごせたと言います。ボードゲームをしたり、会話を楽しんだり、これまで交流がなかった学生同士も一気に仲が深まりました。
 
上級生に就職活動の相談をもちかける後輩もいたそうです。相談を受けた井上さんは、「動物に関わる企業の探し方や就職活動の進め方などアドバイスしました」とのこと。和やかに話しやすい雰囲気だったので、いろんな話ができたそうです。学生たちは皆、「とても楽しい時間を過ごせた」と口を揃えて合宿の夜を振り返りました。

2日目は、関係者の方より、奈良カエデの郷ひららの宿泊客数増加に向けた取り組みや、宇陀市の様々なイベントを通じた関係人口(地域と多様に関わる人々)増加に向けた取り組みについてのお話を伺いました。その後、地元のボランティア観光ガイドの方の案内で、近世から昭和前期にかけての町並みが残る宇陀松山エリアを2時間半ほどかけて散策。「案内人の方にとても詳しく説明していただき、地元に対する愛情が伝わってきました」と話す、大西さん。「観光地として知られている奈良の中心部以外にも、こんなに魅力的な場所があるのだと知れました」

学生それぞれの学びや成長が得られたゼミ合宿

1泊2日の短い旅でしたが、密度の濃い時間を過ごせたゼミ合宿。堀さんは、「コロナ流行下で学生生活がスタートし、人と関わる機会が少なかった私にとって、在学中にゼミ生や宇陀の方々とコミュニケーションできたことが良かったです。グループワークにも積極的に取り組め、上級生や下級生との会話も楽しめたので、社会人になるにあたってこの経験を活かしていきたいです」と話します。ゼミ長として学生たちをリードした安藤さんは、「施設の方への挨拶、スケジュールを円滑に進めるための段取りなど、率先してできたのではないかと思っています。責任感をもって行動できたことで、自信になりました」と語りました。新たな学びの知識を得るだけでなく、グループワークや多くの人との交流を通じて、学生たちは自身の成長を感じ、楽しい思い出も得られたようです。
 
本村教授は、「いろんな場面で個々の力を発揮するなど、今までのゼミ活動とは異なる学生たちの姿を見られたことが印象的で、それぞれの学生が持つ力を再発見できました。特にグループワークでは、これまでの各自の学びを活かしながら、想定していた以上に議論が盛り上がっていました。効果的な教育プログラムであり、こうした取り組みを今後のゼミ活動でも取り入れていきたいと思いました」と、今回のゼミ合宿を評価しました。
 
合宿後のゼミ活動では、以前よりも積極的に学生たちが交流できているとのこと。深まった知識と学生同士の関係性により、今後さらに充実したゼミ活動が展開されることが期待されます。