【2023年度】小川貴之ゼミ 「資産形成学生論文アワード2023」優秀賞受賞

松本航輝さんが「資産形成学生論文アワード2023」で優秀賞受賞!

2023年12月20日、東京証券取引所内の東証Arrowsにて、一般社団法人投資信託協会主催「資産形成学生論文アワード2023」の表彰式が執り行われ、本学の松本航輝さん(経済学部4年)が、優秀賞を受賞しました。
 
■論文テーマ
家計の金融資産保有の決定要因 ~G7を対象とした国際パネルデータ分析~
 
■論文の概要
1999年から2020年までの22年間を対象とし、家計のリスク金融資産保有割合および無リスク金融資産保有割合のそれぞれの決定要因を統計学的な実証分析によって明らかにするとともに、日本とG7との推定結果を比較する事で決定要因の差異を検証する
 
「資産形成学生論文アワード2023」は今回が第1回開催であり、募集対象は大学生と大学院生です。投資信託協会の松下会長は、「日本でもようやく金融教育が高校で必修となり、計画的で長期的な資産形成がますます重要となっていく中、政府も新しいNISA制度の拡充を含め、資産運用立国実現に向けたプランを実行しようとしています。そのような環境下、本アワードは、今後の投資による資産形成の在り方について、将来の日本を担う若い人たちに考えてもらいたいという思いから創設しました。」と述べられています。
 
松本さんの受賞論文について、審査講評では「個別の国の事情で考えてしまいがちな家計の金融資産保有の決定要因について、OECDデータからG7データとの比較で分析した点はオリジナルティが高く、また、基本分析から始まり問題意識に応じて破綻なく論理展開がなされていた」と、高く評価されました。
 
本アワードの入賞作品は、優秀賞1点、佳作1点、敢闘賞1点、アイデア賞1点の計4点。松本さんはその中でも最上位の賞にあたる優秀賞の受賞となり、表彰式では受賞者代表のスピーチを務めるなど、見事大役を果たしました。
 

 
 

受賞者の声

松本 航輝 さん(経済学部4年)
 
―本アワードに挑戦されたきっかけは?
卒業論文作成を進める中で、小川先生から、自身の制作テーマに関連する本アワードの情報を提供いただいたことをきっかけに、せっかくなら挑戦しようと思い、応募しました。
 
―論文テーマを設定した経緯は?
近年、日本において計画的な生活設計や長期的な資産形成の重要性が議論される中で、株式投資や資産運用がアメリカなどの諸外国と比較し少ないことを耳にしていました。その要因を考えたときに、日本では1990年代初頭のバブル崩壊で「投資=危険」という心情面がマイナスに作用しているのではと自分なりに推察しました。しかし、2008年のリーマンショックを経験するアメリカでは、なぜその法則が当てはまらないのかが疑問となり、何か別に具体的な経済的要因があるのでは?と思い至り、論文テーマに設定しました。
 
―論文執筆にあたり、苦労した点や工夫した点は?
データ収集を幅広く進めたものの、求める項目や年数が欠落している、国別で金融資産の振り分け方が異なるなど、適切な分析材料が揃いませんでした。しかし、小川先生の講義の中でOECDデータの存在を知り、そこに引用元を一本化することで先述の課題を解決することができました。
 
―優秀賞を受賞されての率直な感想は?
投資分野の重要性がますます高まっていく中、本アワードは今後も継続されると思っていますが、その記念すべき第1回で受賞できたことを大変光栄に感じます。
 

指導教員の声

小川 貴之 教授(経済学部長)
 
―学生が外部コンテストに参加する意義は?
本アワードに限らず、外部の専門家に客観的に評価していただくという事に、非常に意義があると考えています。コンテストへの参加は、受賞の有無に限らず、多くの事を経験できる重要な機会となります。論文のテーマはゼミ生に自由に設定してもらっていますが、テーマに合うコンテストがあれば、対象の学生に紹介するようにしています。
 
―論文指導にあたり、大切にしている点は?
「ロジカルな思考を鍛える」「オリジナリティのある主張をする」ということを大切にしています。ゼミでは実証分析を教えていますが、私自身はロジカルな思考が鍛えられる理論分析を専門としています。このロジカルな思考は実証分析でも重要であり、ゼミ生の論文作成時には、分析や議論の進め方に筋が通っているかを何度も確認し、思考を深めてもらうようにしています。文章力を鍛えることは社会に出てからでは難しく、大学生の内にしっかりと身に付ける必要があります。一貫したロジカルな思考、そこに先行研究と比較したオリジナリティを加えることで、明確な主張ができる良い論文や研究に繋がると考えています。