EBPMの実現を目指す経済学部・籠谷准教授の研究 ー新たな教育プログラムへの活用も期待
経済学部・籠谷公司准教授と呉文欽(ウー・ウェンチン、台湾中央研究)氏の共同研究の成果がInternational Studies Quarterly に掲載されました。論文では、台湾への米国製軍事兵器の販売に対する中国からの外交的抗議が台湾の世論に与える影響が分析されています。
対外的な脅威が国民の間で愛国心を喚起し、リーダーや政策に対する支持を増加させることは、国際関係論においてラリー現象と呼ばれています。著者たちは軍事行動や経済制裁とは異なり、標的国の国民に物理的な損害を与えない外交的抗議がラリー現象を引き起こすのかどうかランダム化試験(randomized controlled trial)という統計的因果推論を行う方法を用いて検証しました。
具体的には、アンケートを行い回答者たちを、「外交的抗議の含まれた架空の記事を読むグループ」と「外交的抗議の含まれない架空の記事を読むグループ」へとランダムに割り当て、これらのグループの政治的態度の差を政策効果として偏りなく測定しようとしました。実験結果は、台湾と政治的争点を抱える宿敵国からの外交的抗議がラリー現象を引き起こすことを明らかにしました。したがって、宿敵国からの外交的抗議は標的国内で政治的反発を生み出し、標的国からの強硬な政策として跳ね返るブーメラン現象を生み出すことになります。