まず、䕃山氏は2011年以降、政府の経済戦略の一端として実施されたインバウンドの結果を紹介。2019年まで訪日外国人旅行は、人数、消費額ともに右肩上がりに増加。とくに来阪外国人は、2014年から2019年の間に来日人数は約3.27倍(全国は約2.37倍)、消費額は約5.89倍(全国は約2.49倍)と、爆発的な伸びを達成しています。䕃山氏はこの現状を、「大阪は、魅力的な観光資源に加え、中国をはじめアジア圏からの距離的な近さ、空港の発着枠の拡大といった規制緩和の効果がもっとも色濃く反映した結果」だと分析します。
ところが2020年に発生した新型コロナウイルス感染症により、訪日外国人は激減。なかでも東京オリンピック・パラリンピックの開催1年延長、翌年の無観客開催は、首都圏の観光、経済に大打撃を与えました。
大阪をはじめ、関西もコロナ禍における経済的影響は多大でしたが、「コロナの渦中にあたった東京オリンピック・パラリンピックとは異なり、関西で予定されている大阪・関西万博をはじめとする数々の大型開発・プロジェクトは、コロナが落ち着くであろう、これからに控えているのが幸い」と䕃山氏。その後、今後の関西の大型開発・プロジェクトを元バンカーらしく数値も示しながら説明されていきました。
【関西の大型開発・プロジェクト概要】
「大阪・関西万博」 時期:2025年 場所:夢洲
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。入場者約2,820万人、経済効果約1兆9,000億円を想定。
137カ国・地域、8国際機関が公式参加表明(2022年9月9日時点)。
「大阪IR(統合型リゾート)」時期:2029年秋~冬 場所:夢洲
カジノ施設、ホテル、MICE※施設、レストラン、エンターテインメント施設等が集結。
来訪者を大阪から日本各地の観光地等へ送り出すなど効果の波及が期待されている。
※MICE:企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語。
「うめきた2期開発」時期:2024年(2期まちびらき)場所:大阪北区
先行開発区域(グランフロント大阪)の西部に位置し、〈「みどり」と「イノベーション」の融合拠点〉を理念に、都市公園とイノベーション拠点、MICE施設の開発が進行中。2026年整備完了を予定。
「未来医療型国際拠点」時期:2024年 場所:大阪中之島
病院や高度検診センター、(公財)京都大学iPS細胞研究財団、産学医連携スモールオフィス・インキュベートスペースといった医療機関と企業、スタートアップ、支援機関等が集積する全国初の拠点。
このほかにも、鉄道や新幹線、高速道路といった多数インフラ整備が挙げられ、会場の参加者も改めて驚き、メモをとったり、PCにデータを打ち込んだりする姿が見られました。
「関西経済の今後は非常に明るいです。これだけのプロジェクトには、多種多様なチャンスがあり、そこに乗っていかない手はないと思います」というメッセージで、䕃山氏は第1部の講演を終えました。