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PICKUP講義【人間科学部】メディアコンテンツ制作Ⅰ 白浜町観光促進PBL

2023年01月12日(木)

若者を白浜町へ。Z世代ならではの観光プランを立案

大阪経済大学は、和歌山県白浜町と地域社会の発展と大学教育・研究への寄与を目的に、2020年1月27日、「和歌山県白浜町と大阪経済大学との連携協力に関する包括協定」を締結しました。この協定のもと、学生たちはゼミ活動やPBL授業(課題解決型学習)において、白浜町が抱える課題をともに考え、町の政策や観光などに関する提案を行っています。
2022年度は、弦間一雄教授(人間科学部)の「メディアコンテンツ制作演習Ⅰ」を受講するメディアデザインコース2年生15名が白浜町の観光開発プロジェクトに取り組みました。
 
 
ミッションは、学生たちと同世代に向けた白浜町の魅力発信
白浜町の観光開発プロジェクトは、2022年7月よりスタートしました。まず、白浜町役場の滝本斉氏、南紀白浜観光協会の坂巻恵味氏による、オンラインでのオリエンテーションを開催。白浜町の概要、観光資源や観光客の現状が語られました。そうして、与えられたプロジェクトの使命は、学生たちと同世代の若者の観光誘致とSNSを活用したPR活動の施策提案です。
白浜町は、アドベンチャーワールドのパンダをはじめ、日本三古湯のひとつ白浜温泉、白い砂が特徴的な白良浜(しららはま)、三段壁や千畳敷などを有する日本屈指の観光地です。しかし、これら地域の魅力を十分に活かしきれていない、とくに若者へのアピールが不足しているという課題があり、今回の依頼となりました。
 
学生たちは、4つのグループに分かれ、アドベンチャーワールドを除く白浜町の観光スポットの魅力の検証、全国各地の観光地との比較を実施。施策の草案を描いていきます。
その後、9月13日から15日まで、白浜町を訪れてのフィールドワークを実施しました。学生たちは滝本氏、坂巻氏の案内のもと現地を事前の計画に基づいて取材。自由行動では、グループごとに、ターゲットである若者の目線で町の至るところを巡り、新たな魅力、活用方法を発見していきました。
 
フィールドワークを終えてからは、グループごとに具体的なプランを立案。プランの内容はもちろん、実現に必要な費用や広告宣伝方法など熟考を重ね、約1カ月半後の11月2日、滝本氏、坂巻氏への第一次プレゼンテーションに臨みました。
 
 
長期プロジェクトで一人ひとりが成長を実感
オンラインでの第一次プレゼンテーションを終えて、滝本氏と坂巻氏は学生ならではのプランを高く評価。一方で、後日、白浜町長と南紀観光協会会長に向けて行われる最終プレゼンテーションに向けては、費用対効果の明確化、プラン実現でのメリットとデメリットの提示といった細かい部分まで詰めることが必要との指摘がありました。
これを受けて、各グループはプランを再度精査。本学の客員教授でアートディレクターの姉川たく先生と後 智仁先生にもアドバイスを受けながらプレゼンテーションを作り上げ、11月30日の最終プレゼンテーションを迎えました。
 
当日は、白浜町の井澗誠(いたに まこと)町長、南紀白浜観光協会の藤田正夫会長、滝本氏、坂巻氏がオンラインで清聴しました。第一次プレゼンテーションからは短い期間だったものの、どの学生も「プランのバージョンアップができた」「伝えたいことをまとめられた」と自信に満ちあふれている様子。町長と会長を前にしても緊張することなく、堂々と提案を行いました。
 
今回、この演習を受講した2年生15名は、4カ月にも及ぶプロジェクトも、外部へのプレゼンテーションも初めてでしたが、担当した弦間先生は「私の想像以上にバラエティ豊かで、画期的なプランニングとプレセンテーションができたと思います」と評価。「私が専門とする広告コミュニケーションにおいても、あらゆる経済活動においても、『クリエイティブ』が不可欠です。他の人と同じでは、価値はない。今後も自分だからできること、新しいことを実現していってほしいです」と学生たちにメッセージを送りました。
 
白浜町に提案したプランは、今後、町で検討される予定。実現に向けて始動すれば、学生たちも関わっていきます。
 

白浜町観光開発プロジェクト施策提案一覧
グループ1
「平草原公園にイルミネーションツリーハウスを建設」
若者とファミリー層を誘致すべく、広大な敷地の平草原公園に、和歌山の県産材を用いてツリーハウスを建築。夜間にイルミネーションを行う。各地で冬のイルミネーションが人気を集めているが、白浜町は白良浜で限られた期間の実施のみ。加えて、夜間の観光スポットが少ないため、年間を通してイルミネーションを行い、夜間の観光客の集客を狙う。
 
グループ2
「白浜に行きたくなる新しいサイクリングアイデア」
白浜観光の移動手段としてもっとも利用されている車に代わり、自転車を活用する観光プランを提案し、観光客の増加を図る。現在、南紀白浜観光協会でもレンタサイクルを行っているが、コースが限られ若者に魅力が伝わっていないため、若者が好むカフェやラーメン店なども盛り込んだ新たなサイクリングコースを提案。自転車のデザイン変更、レンタルサイクルの貸し出し拠点のリノベーションも行う。
 
グループ3
「白浜町の観光名所に大きなオブジェを設置」
フィールドワークにて白浜にしかない景色に感動。しかし撮影した写真を見返すと、どの場所か曖昧になってしまった。そこで、写真を見た瞬間、白浜のどこなのかがわかり、思い出も甦る撮影ができるように巨大なオブジェを設置する。オブジェは白良浜、三段壁、千畳敷、番所山公園に設置し、白浜の唯一無二の風景をより魅力的に見せる。SNSでの発信によって集客にもつながる。
 
グループ4
「白浜町に新しい人工の観光場所を作る」
白浜町の観光資源は、白良浜や三段壁、千畳敷など自然由来の場所が大半で、これらは西側海岸沿いに集中している。そこで、あえて人工物を設置して観光の目玉にする。制作するのは白良浜の白い砂を使ったドーム型の「噴水風砂時計」で、チョコレートファウンテンの原理で、ドーム内に砂が溜まると砂が落ちていく仕組み。砂時計完成までの様子をSNSで発信する。

白浜町総評
白浜町 町長 井澗誠氏
大経大の学生の皆さんの若く、斬新なアイデアに驚きました。私たちには観光資源も自然環境も当たり前になり過ぎており、新発想での白浜町づくりを進めていく必要があります。皆さんの提案は、次年度に向けて観光協会や経団連などと協議してまいります。これからも学生の方々の新しい知恵をお借りしたいと思っています。
 
南紀白浜観光協会 会長 藤田正夫氏
白浜町は小さな町ですが、日本一、いや世界一の観光地を目指しています。今回、学生の皆さんの提案を受けて、より一層、その目標に向かって前進していかなければと思いました。提案の中には、白浜町の魅力を活かしきれていない、施設や広報活動が古いといった指摘もありました。しかし、批判がなければ進歩はしません。今後も皆さんの協力をお願いします。
 
白浜町役場 滝本斉氏
当初はきちんとしたものができあがるだろうかと不安もあり、第一次プレゼンテーション後はいろいろと指摘もさせてもらいました。しかし、皆さんがそれに応えてくれて、最終プレゼンでは頼もしさを感じました。
 
南紀白浜観光協会 坂巻恵味
皆さんが白浜町の魅力をしっかりと捉え、新しいモノ、コトをたくさん提案していただきました。地元出身の私としては、メジャーな観光地以外の公園や神社などにも着目していただき嬉しく思っています。
 
 
学生のこえ
グループ2「白浜に行きたくなる新しいサイクリングアイデア」の立案・提案したメンバーに代表してコメントをもらいました。
 
友成陽菜さん
私自身、運転免許をまだ取得していないので、「若者なら自転車で」というアイデアが浮かびました。フィールドワークで実際に自転車に乗って巡ると、海の風も香りも心地よく、これを多くの方に味わってほしいと実感しました。プロジェクトでは、自分視点だけでなく、周りの意見に耳を傾け、精査していく大切さを学んだと思います。
 
奥陽菜さん
第一次プレゼンテーションで、費用の提示の指摘を受けたので、プランの広告宣伝についてリサーチ。細部までしっかり詰めることの大切さを改めて感じました。今回のプロジェクトを通じて、より伝わりやすいプレゼンテーションのノウハウ、わかりやすいパワーポイントの作り方、見せ方のスキルが身についたように思います。
 
稲葉惠さん
私は、レンタルサイクルの貸し出し拠点での写真の現像・送付サービスについて考えたのですが、先方からは関わる人びとの作業効率や人件費、収益についても検証することを求められました。単にアイデアを伝えるだけでなく、いろいろな視点から考察することの重要性を学ぶことができてよかったです。
 
友井和希さん
こういったプロジェクトやグループワークは初めてだったので、思い通りにいかないジレンマも感じました。しかし、メンバーでディスカッションを深めるうちに、自然と役割分担、協力体制ができあがっていきました。今後もグループワークやプロジェクトの機会が多数あると思うので、この経験を活かしていきたいです。

※「メディアコンテンツ制作Ⅰ」は、2024年度から情報社会学部の科目「広告デザイン基礎」として開講予定です