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【実施報告】第1回データサイエンスコンペを開催

2023年04月17日(月)

難しい分析ではなく、適切な分析をわかりやすく伝えることからはじめよう

大阪経済大学経済学部では、2022年度にデータサイエンスプログラムを開設しました。本プログラムでは、分析手法の習得にとどまらず、それぞれの手法がどのような場面で利用され、分析結果がどのように活用されるのかについて実践をとおして学ぶことを重視しています。
そこで、データを利用して社会現象を読み解いて課題を設定し、考えた解決策を人に伝えることをシンプルに実践する場を創ろうと、教職員有志で約1年前からプレゼンテーションコンペの企画を検討してきました。
 
本コンペでは、SSDSE(教育用標準データセット)を用いて分析を行った研究・テーマが対象となります。参加資格は大阪経済大学に在籍する学生と教職員の個人またはチームで、記念すべき第1回は学年やゼミ、学部を横断した学生7チームがエントリーしました。
そして2022年12月8日、9日に説明会を実施、エントリーした学生たちは、2週間後の予選ラウンドに向けて岡島准教授指導のもと、テーマ設定から取り組みました。
 
12月23日(金)に行われた予選ラウンドでは、各チームが今回の意気込みを話した後に、テーマと分析データをもとにした仮説を中心に発表。発表直後に審査員それぞれから〇×の札が示され、質疑応答も含めて丁寧なフィードバックを受けました。
審査員は経済学部の藤井大輔先生、森本敦志先生、情報社会学部の野村友和先生、人間科学部の弦間一雄先生、教育・学習支援センターの鴨谷香先生が務めました。

予選ラウンドの審査の様子(審査員は左から森本敦志先生、鴨谷香先生、藤井大輔先生、野村友和先生、弦間一雄先生)

全7チームとも決勝ラウンドに駒を進め、審査員から示されたフィードバックを参考にしながら、年明けの発表に向けて研究内容をブラッシュアップしていきました。1月13日(金)に行われた決勝ラウンドでは、各チームが発表した後に審査員からの質疑・講評と他チームからの質問や感想がそれぞれ述べられました。
 
【発表テーマ(チーム名)】※発表順
 1.外国人観光客を呼び込むまちづくり(たけっちFC)
 2.子育てしやすい街を判断する方法 ~明石市はなぜ子育て世帯に選ばれるのか~(D班)
 3.高齢者の有業率増加への取り組み(小林班)
 4.中学生の学力向上に向けて(三谷民主主義人民共和国)
 5.政府の外食産業支援は有効であったのか~コロナ禍の外食消費量をもとに考察~(フードファイターHND)
 6.観光立国に向けた取り組み(よしおか)
 7.大学進学率について(AUNY)
 
決勝ラウンドの審査は採点方式。審査員4点(1人あたり1点×4名)と会場のメンバーによる投票結果1点の計5点で審査されました。審査員は経済学部の藤井大輔先生、森本敦志先生、情報社会学部の野村友和先生、人間科学部の弦間一雄先生が務めました。
 
 
記念すべき第1回目の勝者は?
審査の結果、記念すべき第1回目の最優秀賞はフードファイターHND「政府の外食産業支援は有効であったのか~コロナ禍の外食消費量をもとに考察~」が受賞しました。また、優秀賞は三谷民主主義人民共和国「中学生の学力向上に向けて」、アイデア賞はよしおか「観光立国に向けた取り組み」とD班「子育てしやすい街を判断する方法 ~明石市はなぜ子育て世帯に選ばれるのか~」がそれぞれ受賞しました。
 
フードファイターHNDの研究について、二本杉教授は「報道では、新型コロナによって消費者は外食を控え、飲食業界に大きな影響が出ると報じられていました。しかし、データ分析の結果、影響はあれども金額はそれほど大きくないということを明らかにしており、データを分析することの有用性を示した良い例だと考えます。特に、コロナ患者数の増加、まん延防止措置は外食に影響せず、緊急事態措置のときに影響することから、飲食店への助成金の在り方について考えさせる政策的な展望も覗けました。また、パネル分析を用いており、技術面において他の研究よりも精度が高い結果だったと考えます」と評価しました。

左から、最優秀賞:フードファイターHND、優秀賞:三谷民主主義人民共和国、アイデア賞:よしおか(右上)、D班(右下)

審査員を務めた野村准教授は講評のなかで「なによりまず楽しかったです。また思っていたよりレベルが高くて驚きました。私自身の論文のヒントになるような面白いものが多かった。今回はコンペなので採点による順位付けはありましたが、この場に来ている段階で皆さんはトップランナーだと思います。今後も研究を続けていってください」と学生を称えました。
 
また、本コンペの運営に関わったSCTL(教育・学習支援センター)の松山さんは「会場に流れるBGM、並べられたお菓子、コーヒーの香り。いつものプレゼン大会とは違った和やかな雰囲気のなか、データから何かを読み取ろう、何かを伝えよう、という参加者の気持ちがひしひしと伝わってくるものでした。ぜひ、いろんな学生にチャレンジしてもらいたいですね。」と振り返りました。

学生の声
学生実行委員
山中 翔太さん(経営学部経営学科1年)
今回、初開催となるデータサイエンスコンペの運営をさせて頂きました。データを扱う発表を聞いていて、様々な情報から正確な情報を見極めることや、伝えたいメッセージを強く主張することの大切さを実感しました。また、不慣れな司会も担当しましたが、達成感とともに良い経験になりました。運営にご協力いただきました、参加者の皆さん、審査員の先生方、関係者の方々、ありがとうございました。第2回大会が楽しみです。
 
参加者
浅井 稔晃さん(経済学部2年生)
授業でこのコンペがあることを知り興味が湧いたので、教授にお話を聞いてから参加を決めました。研究をしていく中で、他の人の意見を聞きながらも自分の考えをしっかり持つことの大切さを学びましたし、限られた時間の中で自分の研究を分かりやすく説明するプレゼン力が身についたように思います。
 
永井 嵩明さん(経済学部2年生)
授業で案内されたことがきっかけで、このコンペに参加しました。私にとって初めての挑戦だったで、はじめのうちは不安でいっぱいでしたし、実際にやってみて、研究に使うデータを探すのは大変でした。今回の経験を通じて、調べた内容をグループのメンバーに共有したり、お互いの考えを話し合うことの重要さを学ぶことができました。
 
宮崎 裕一郎さん(経済学部2年生)
所属するゼミの友人が参加すると聞いて、自分もデータを使った分析とその発表を経験したいと思い参加しました。このコンペを通じて、テーマに沿ったデータを収集し、分析の結果を踏まえて提案するという研究の進め方や、役割分担やメンバーとの連携、グループでのふるまい方といったグループ活動における大事なポイントを学ぶことができました。
 
※学年は2023年3月時点のものです